週刊StagePowerTopPage
日刊StagePower

乾坤一滴
NYの日本人俳優
西山水木の使い方

野平総研!!
テレビ文芸時評

レコメンの殿堂
お気楽鑑賞記
目撃者
TheStageTribune
特集:さいたまGT
特集:小劇場史
週刊SP企画室

NEWSバックナンバー
過去の連載・記事
取材のお願い
Onlineインタビュー
このサイトは?
燐光群特集 (2)

1999.11.08
坂手洋二インタビュー

by 一寸小丸

「いかに自衛隊がダメであったか。そのことを知っていただきたいんです。」

坂手洋二は壇上からパルコ劇場の観客に向かって、激しくアジっていた。阪神大震災における自衛隊の初動のダメさを、逐一データを示しながら大声で演説していた。それまでの劇作家さんたちのノンキな出し物と、全く毛色の違ったものである。阪神大震災のチャリティ企画であった劇作家協会主催の1日限りのイベントは、その10分間だけが全く性格の違ったものであった。

その場の雰囲気には全くそぐわない演説であった。まるで青年将校であるかのように…。唐突に始まった場違いな演説に、私はちょっと笑ってしまった。けど、同時に、ちょっとだけ、かっこいいと思った。

坂手洋二氏は、今の演劇界にあっては、最もアクティブで、最も過激な存在である。ハデな事件は起こさないが、時に静かに、時に大声で、自説を披露する。こういう存在が、いまのこの国には必要なんだよねえ。もっと広い場所で、坂手さんにアジってもらいたい気もするよ。

ところで、今度の新作は1年半ぶりだとか。この間、アメリカ留学もしてきた。この新作には手塚とおるや小林さやかといった、いままでの燐光群には考えられないような出演者も登場する。何かが始まる予感・・・。期待して、インタビューを始めた。

(インタビューは週刊FSTAGE編集部員の一寸小丸により、11月8日深夜1時より電話にて行われた。稽古が0時まであり、その後も打ち合わせが入ったとかだが、全く疲れた様子が感じられない坂手さんであった・・・)


坂手洋二
手塚・小林インタビュー中に現れた坂手さん

小丸:
今回の「天皇と接吻」は戦後のGHQが「接吻映画」を推奨し、「天皇に関する描写」を禁止したという史実に基づく評論が原作となってますが、なんでまた、それを取り上げたんですか?
坂手:
ジャパンソサエティの招きでNY公演をやったんです。で、去年、その下見でNYに行った時、ジャパンソサエティの映画の方の担当だった平野さんに会ったんです。そしたら、「天皇と接吻」を見せてくれたんです。
小丸:
そこで初めて知ったんですか。
坂手:
そうです。平野さんは、芝居になるんじゃないかと思ってたみたいです。
小丸:
そういえば、坂手さんは留学してましたよね。あれって、なんですか。
坂手:
ACC(アジアなんたらかんたら)ですよ、今年の4月から7月ですけど。マキノノゾミとか川村毅とかも行ったやつです。
小丸:
留学で、いったいぜんたい、何を学んでたんですか。
坂手:
なんでもいいんです。基本的にはいろんな人に会わせてくれるんです。
小丸:
あああ、それはいいですねえ。
小丸:
でも、評論を芝居にするってのは、大変ですよね。
坂手:
芝居になりません。
小丸:
んじゃあ、何かポイントがあったんですか。
坂手:
面白いキャラクターがいたんです。原作には4行ぐらいしか出てこないんですが、こいつは面白いなあ、というのが二人ほどいまして、この二人で芝居にできると思って・・・。
小丸:
それはいいですねえ。(ちょっと安心した)
小丸:
でも、こういう評論が芝居になると、またまた情報量が多いんでしょう。小林さんも、セリフが多くて大変だといってましたよ。手塚さんも、「一行飛ばしたら、わけわかんなくなる」と言ってました。「飛ばすんですけど」とも。
坂手:
でも、手塚くんは大丈夫ですよ。大丈夫だって、本人が言ってましたよ。
小丸:
まあ、大丈夫でしょうねえ。でも、坂手さんは、「調べもの」好きなんですか。
坂手:
そんなことないですよ。ただ、人の知らないことを芝居にするのが好きなんです。
小丸:
知らないことですかあ。
坂手:
みんなが知ってる事件とかって、あんまり興味ないんです。演劇的な事件って、いっぱい起きますけど、それは芝居にしようと思わないんです。そうじゃなくて、社会と事件の間にあるようなところが好きなんです。
小丸:
大事件は扱わないんですね。
坂手:
マスコミが取り上げないようなものを芝居にするのが好きなんです。

坂手洋二

小丸:
ところで、今回の芝居はGHQと同時に、現代の高校生の映画研究会が舞台ですってね。どうですか? 坂手さんにとって、今時の高校生は?
坂手:
わけわかりません。
小丸:
ですよね。あれは、どうなんでしょう。かなりヤバイって感じじゃないですか。
坂手:
ヤバイと思います。上の世代をバカにしてるわけです。まあ、私らもそうでしたけど。で、上の世代が怒ったりしたわけですけど、今のやつらは怒られないから。若いってことに価値があるみたいにしちゃったから。
小丸:
ガキがのさばってるって感じですよね。
坂手:
ひどいもんです。別にいいんですけど、でも、顔黒いのいるじゃないですか。あれはひどい。あんなのいいわけないですもの。
小丸:
まあまあまあ。
坂手:
顔黒くして、髪の毛白くして…なんなんですかあ。
小丸:
バカなんです。流行ってるんで、マネしてるだけです。
坂手:
あれだけはわかりません。
小丸:
ところで、今回、小林さやかさんが出演することになったのは、どういう経緯でしょうか。
坂手:
うちの劇団の女優が病気したりで、出てくれる女優を探していたんです。小林さんは、「青空のある限り」で知ってました。で、先日の芝居を見にきてくれて、で、打ち上げで「出てよ」っていって決まったんです。25分ぐらいで決まりました。速いです。
小丸:
速いですねえ。ちょうどタイミングが良かったんですね。で、どうですか小林さんは。
坂手:
ああ見えて、けっこうがんこですね。
小丸:
それはそれは…
坂手:
次も出てもらおうかと思ってます。
小丸:
楽しみです。今日はどうもありがとうございました。
坂手:
ありがとうございました。ぜひ、いいこと書いておいてください。
小丸:
個人的に「面白そう」だと思ってますので、大丈夫です。
坂手:
ありがとうございます。
小丸:
お世話になりました。



1:30am終了

とまあ、こんなもんかしら。電話だと、ちょっと大変でした。表情読めないしね。坂手さんはピッチなんで、時々音が悪くなったりするの。なんかバカ話で脱線できない気になるしね。にもかかわらず、ガキの話しで盛りあがったのだけが印象に残ったという・・・。すみません。

でも、原作が評論だけど、そこにちょっとだけ登場していた人物から芝居が生まれた、というのはいいですね。期待できます。いっぱい書いてあった人物じゃなくて、ほんの数行しかなかった人物が「面白い」というあたり、いいなあ。あと、坂手さんにしては珍しい「メタシアター構造」も。普通の小劇場的なメタシアターじゃないらしいです。そんで、いまどきのバカ高校生をちゃんと描いているのかも興味深い。あまり、燐光群を見ない私ではあるが、ちょっと楽しみだ。


手塚とおる・小林さやかインタビュー(速報)
坂手洋二インタビュー
燐光群「天皇と接吻」公演情報
燐光群「天皇と接吻」稽古風景
手塚・小林インタビュー詳細版
燐光群ホームページ

取材募集

back
next