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【No.017】

日本全国一万劇団計画

1.小劇場の現状

月刊演劇情報誌シアターガイドが2005年6月号から2006年4月号まで連載した企画「小劇場に明日はあるか?!」(文・徳永京子)は、「ああそうですか」と普通に納得して終わってしまうには惜しい企画だった。現在の小劇場を取り巻くさまざまな状況を浮き彫りにした素晴らしい企画だった。なので、敬意を表して、分析してみたいと思う。

この企画は、第一回においてスタートの動機を示している。なぜ「小劇場に明日はあるか?!」と思ったのか。その理由は、「かつて演劇界全体の刺激、火元、脅威となりえた小劇場のパワーがいま、小ぶりになっているのは事実」であり、「粗削りだが面白い」「次に何をやるか想像がつかない」という劇団にめったに出会えなくなった・・・からだ。つまり、「小劇場に明日はある」というためには、演劇界全体にインパクトを与えるような劇団の登場が必要だということだ。小ぶりでなく、なんか想像もつかないようなムチャクチャなことをやってくれそうだと期待させる劇団の登場を求めているのだ。それがいないのが現状であり、どうすれば登場するのか、を模索する企画なのだった。だから、サブタイトルとして「出てこい演劇の未来を背負う若手劇団」としている。

この現状認識にはとても共感した。同感だ。上手な劇団、面白い芝居はたくさんあるが、未来に向かっての可能性を感じる劇団というのは・・・あまりない。全然ないわけじゃないけど、ポテンシャルはあっても、総合的に見てワクワクできる劇団が・・・私も見つけられないでいる。

企画の第二回からは劇場、プロデューサー、劇作家、演出家、制作、などなどへのインタビューで現在の小劇場がかかえる問題をひとつひとつ挙げている。何がダメなのか、何が必要なのか、を現在活躍している人に挙げてもらっている。また、キャラメルボックスや青年団という現在活躍している劇団サイドの意見も伺って、成功事例を示している。

そこで出てきたのは、「勉強不足」「戦略がない」「制作不在」「自己主張のなさ」などなど。これは確かにその通りだろう。ただ、結論として、「これらを解消して明日を切り開いてくれ」というのには違和感が残った。これらの理由は、「継続的な劇団運営」のために必要なものではあるが、「演劇界にインパクトを与える劇団が登場しない」理由は別だろう、と。もっと根源的な問題があるはずだ、と。(つづく)

週刊StagePower編集部
神保正則
2006.4.25


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