(since 2003.1)
【No.011】
アゴラ支援会員生活
アゴラ支援の日々を送っている。なんてね。
それは魔が差したとしか思えない2003年1月のある日から始まっている。1月12日、シアターフォーラムのオフ「シアターガッツ@下北沢駅前劇場」にうっかり出席してしまったためだ。めったにオフに出ない私だし、ましてや「シアターガッツ」という個人的な趣味からかなり離れた芝居のオフに出てしまったのは、もう魔が差したとしか思えない。もちろん、観劇だけでオフが終わればなにごともなかったわけだが・・・。
当然のように、観劇のあとは宴会である。10人ぐらいのうら若くもない男女が下北の小じゃれた店に乗り込み、芝居のつまらなさ(トゲ!)に関してはほとんど触れずに、なんだかんだと時をすごす。と、私の席からはるか離れた数人が「アゴラがどうたら」と話している。私は「なんのことかなああ?」と思った程度で、気にもとめなかった。で、何事もなく宴会も無事終了し、「じゃああとでメールします」なんてコトバが飛び交って、お開きとなった。いつものことである・・・。
翌日、不審なメールが届く。「昨日はどうも。例の件でメールしました。下記の掲示板で話し合ってますので、ぜひ参加してください。よろしく。」と・・・。私は、なんのことだろう? という疑問しかなかったが、ヤバイ取り引きがあるとも思えないので(ちょっと期待したが)、その掲示板に行ってみた。ざっと読んでみたが、意味はよくわからなかった。どうやら、別の掲示板で話し合われていた話題が、新たに作られた場所で継続して具体的に話しあわれているようだった。しかし、オフの席で話題についていかなかったので、なんのことかよくわからない私だったのだった。
とにかく、「アゴラ支援会員制度」の法人会員になりましょう、というのが主旨であることだけは理解した。これは、週刊StagePowerでさんざん採り上げ来たアゴラ劇場の新しいシステムの一つだ。私が理解していたのは、アゴラ支援会員として年会費を払うと、アゴラ劇場での公演が安く見れる、というぐらい。シアターフォーラムの有志は、具体的な動きを始めていたのだった。
で、驚いた。複数の会員のうち、年会費5万円の「法人会員」になると50枚のチケットがもらえるのだそうだ。チケット一枚千円になる見当。しかし、「法人会員」ってぐらいだから、会社組織でないと無理じゃないのか、という当然の疑問が沸く。が、アゴラに問い合わせてみたところ、大学のサークルや劇団での参加も可能であり、任意団体でも問題ないということだった。
アゴラ劇場での公演の中には3000円以上する芝居も多い。「もしかしてお得ではないのか!」と三日後には思い始めていた私だった。で、集金目標の5万円まであとわずか、と聞き、さっそく5枚分5千円を申し込んだのだった。1万円を払う人も何人かいたが、公演予定一覧を見て、まあ5枚ぐらいかな、と当時は思った私だったのだ。
ところで、支援会員制度がスタートするのは4月後半。私が掲示板に参加したのは1月後半。約3ヶ月ある。その間、法人会員に登録する上で、なんという名前にしようか、がマジメに論議された。候補としては、「中年団」「桃年団」「ダメ人間」などなどが挙がっていた。40候補ぐらいが、ある意味で「でまかせ」に出ていた。結局は無難(!)なものに落ち着いた。
と並行して、会員の募集もしばらく続けられていた。目標の一口五万円はすぐに突破し、気がつくと5口25万円が集まっていた。総会員数は30人弱に・・・。シアターフォーラム以外の方も参加していた・・・。なんと貧乏人の多いことか、と率直に思った。(メンバー間では、「なんとダメ人間が多いことか」との嘆きが聞こえていた)
そんなこんなで法人会員として、アゴラ支援会員の日々はスタートした。私には5枚のチケット引換券が渡されていた。あれから3ヶ月。すでに引換券は残り2枚となったが、アゴラ劇場で見た芝居は3本だけではない。アゴラ支援の日々は思いのほか充実した日々となっている。
まず、「アゴラ支援会員招待」という公演が3ヶ月で2度あった(もっとあったが私が見たのは2度)。うち一つは青年団が企画に参加しているもので三軒茶屋シアタートラムでの公演であった。さらにアゴラ劇場で行われる公演で料金2000円以下のものは「1枚の引換券が2回分」となった。実は、五反田団の正規料金は1500円だし、青年団の「ヤルタ会談」は1000円である。これに引換券1枚使うのはもったいないなあ、とも思ったわけだが、2公演分になってほっとひと安心。
とうことで、この三ヶ月でアゴラ関係の6本の芝居を見ることができた。これは同じ期間に見た20本の芝居のうちの3割である。まったく「アゴラを支援しているんだ」という気持ちにはならないけれど、かなりのアゴラ率であることは間違いない。それと、こういう機会がなければ絶対に見なかっただろうという芝居を見れたことに大きなメリットを感じている。特に青年団が関わった国際交流プロジェクトの海外の作品などだ。今後も、青年団および平田オリザさんの活躍に期待し、多くの公演が格安で見れればと思ってやまない。楽しみだ。
と同時に、アゴラの試みが広まることを期待したい。最近の世田谷パブリックシアターの動きを見ていると、次の芸術文化拠点形成事業への採択を狙っているんじゃないかと予想している。世パブでもアゴラみたいな支援制度ができれば嬉しい。というか、ぜひやってもらいたいものである。期待したい。
今思っているのは、なんだかんだ言っても3ヶ月で3枚使っちまって、残りは2枚だよ、どうするよ、ということだ。弘前劇場も面白いみたいだし、風琴工房もフラジャイルも東京オレンジもboundもある。松田正隆・作、平田オリザ・演出ってのもある。来年からはもうちょっと考えて申し込まないとなるまい、と反省している。転売禁止なので、それはもう仕方がないんだよね。あと、あんまりこのグループが大きくなるのもどうかと思ってるし。まあ、参加者が増えたら、きっと分割されるんだろう。その結果、ますますへんな名前の法人会員が増えるんだろうか・・・。まあ、いいんじゃないんでしょうか。
2003年度アゴラ支援・法人会員一覧
- ブランドロジスティクス有限会社
- 特定非営利活動法人ク・ナウカシアターカンパニー
- 有限会社ひつじ書房
- ぴあ株式会社
- 観劇法人(仮)
- 早稲田大学演劇倶楽部
- EUジャパンフェスト日本委員会
- SCAフェローズ
- 東京医科歯科大学教養部 『現代パフォーミングアーツ入門』
こまばアゴラ劇場HP
週刊FSTAGE編集部
神保正則
2003.8.1
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