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(713)

2003.4.15
劇団に週50万円支援@アゴラ劇場

当サイト「The STAGE Tribune」のNo.8「アゴラ劇場の挑戦」で伝えたように、4月からのこまばアゴラ劇場は「劇場支援会員」と「助成金」をベースに利用劇団の「劇場費無料」を実施していくが、「さらなる援助」が明らかになった。小屋代がタダになるだけでなく、一週間の公演あたり50万円を補助してくれるという。2週間公演なら100万円。それも、公演の三ヶ月前に先に300万円が支払われ、公演後に200万円分だけが精算される形だそうだ。

それもこれも、このたび、アゴラ劇場が「平成15年度文化庁芸術拠点形成事業」に採択されたからだ。この制度は平成14年度は公共ホールのみが採択され、民間の採択がゼロということで、ピントのずれ具合が非難されたものだ。そもそも、公共ホールの「自主事業」とは、パッケージ公演を呼んで来て行う「売り公演」がほとんどであり、「自主」と呼べるものは少ない。よって「拠点形成」からはほど遠いものへの支援となっているのが実情。これと比べると、アゴラ劇場が行っている「口の出し方、手の出し方、金の出し方」はハンパじゃない。このシステムの成否は、演劇界に大きな影響を与えることが明白である。

ちなみに平成15年度の芸術拠点形成事業は12館に14億円が計上されている。劇場の規模に合わせた助成が実施されよう。・・・かなりでかいぞ。

さて、アゴラ劇場が行う「口と手と金」の出し方を順序だてて書いてみよう。

対象事業の全公演は、アゴラ劇場のプロデュースという形となる。形態は「アゴラ劇場自主公演事業」となるわけだ。

  1. アゴラ劇場が上演演目を選定。
  2. 劇団(あるいは演出家個人など)側と作品制作についての契約書を交わす。この際に金銭面以外の、スタッフ・キャストのサポートなどの内容を決定する。
  3. 作品制作に必要な費用を、契約に基づいて前渡しする。通常、2週間の公演の場合、公演の3か月ほど前に300万円を、劇団側に支払う。スタッフ・キャストサポートがある場合は、この額が実費分だけ少なくなる。
  4. 劇団は、その費用で作品を作り、従来通りの広報活動、チケット販売などを行う。アゴラ劇場は、広報、チケット販売などをサポート
  5. 公演(作品提供)
  6. 公演終了二週間後に、チケット売り上げとして、劇団はアゴラ劇場に200万円を入金(差額分の100万円=2週間公演費は、そのまま劇団の収入となる)。

こまばアゴラ劇場を一度でも使ったことがある劇団なら知っていようが、商業地のどまん中であるにもかかわらず近所迷惑やりたい放題の劇団員のばかちんどもを、「忍耐」と「笑顔」でサポートしてくれる。いや、笑顔がひきつっていることは気づいております。それでも、公共ホールとは比べ物にならない親身の扱い。まあ、多くの民間劇場は親身ですけどね。今回の試みが、「前例」なしでは動かない方々にとっての「前例」になり、多くの民間劇場へと普及していくことを願わずにはいられない。

こまばアゴラ劇場


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