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劇工房ライミング、只今公演中
2000年11月公演
「THE CUSTOM OF THE COUNTRY」
@TOKYO FM ホール

公演二日目を見てきました。>2000年11月27日(月)

TOKYO FMホールは、東京の千代田区、皇居の隣りにあります。地下鉄の半蔵門駅から徒歩2分ほど。内堀通り沿いにあり、ロケーションはオフィスビルばっかりの殺風景な場所。FM放送局の場所としては利便性が高いんでしょうが、芝居の小屋の場所としては、なんか場違いな感じ。と言っても、ライミングはこれまでベニサンピットという倉庫・工場街にある元・倉庫の劇場で公演してきたのであり、これもまた計算のうちかしら。ビルの地下駐車場に続く入口には、おっかけ少女達がたむろしてました。誰を待つやら・・・。

さて、みなさんはTOKYO FMホールをご存知でしょうか。あまり芝居はやられてないでしょうね。私も渡辺香津美のライブで一度来たぐらいです。普通の劇場じゃないです。異空間です。四角くて、天井が高くて、座席もステージも架設で建て込みます。劇場のロケーションも変だけど、劇場の中も、違和感があります。そして・・・

こんなこと書くとあれですけど、開演15分前に着いた私が劇場に入ったら、客が10数人しかいなかったという・・・。その後、徐々に増えてはきましたが、そのでかい空間と、200〜300はあろうかという座席と、お客の数とのギャップが、またまた変な感じをもたらしました。この気持ち悪い感じ・・・楽しい。

芝居ってのは、足を運んで体験するイベントです。いつもと同じ劇場に行き、いつもと同じような芝居を見ていては、段々飽きてしまいます。やっぱ、未知の体験こそが楽しいものです。思わずテンションが上がってしまいます。さて、開演です。

稽古場ではエロいシーンばっかりでしたが、全体を見ると、それ以上に、人々の欲望が渦巻く芝居ですね。金や名誉への欲望があからさまなセリフが続きます。どろどろです。そんで、エゴのぶつかり合いです。さらには、イギリスの上級階級さまさまが土地の人間を見下しまくってます。すごい差別意識が丸出しです。いやあ、面白いホンです。構成も見事です。次々と事件が起き、いったいどう決着がつくのかと見つづけさせます。まあ結局、意外なほど大団円に終わりまして、ちょっとがっかり。イギリスエンタテインメントというのは、やっぱアレなんでしょうかね。いや、私の性格が、ヒネクレまくってるから、残酷な終わり方を期待しすぎてるだけで、一般的には、そこそこひねりのきいた終わり方かもしれません。まあ、ノンキに楽観視してると、やられてしまうかもしれません。気をつけましょう。

役者さんは、最初、新劇調の大仰な芝居が気になりましたが、徐々に乗って行きました。あ、ウワサの瓜生さんは、かなりヒキョーですね。気持ち的には、もっと出番があると面白かったかもしれないと思わせます。あと、稽古の時にさんざんチェック入れられていた石井さんが、全体を通して、かなり重要なポジションだったのでびっくり。ぎりぎりで頑張ってました。(もうちょいかもなあ・・・)

まあ、ホンがどろどろの関係を描いているのに、役者がかならずしも十分に描き切っていたかというとちょいと疑問。もちろん、あまりやりすぎてお客さんをイヤ〜な気持ちにしてもアレかも、という演出的な配慮の可能性もあります。私としては、やっぱこういうホンは、エゴ丸出しで、バカを曝け出して欲しいとか思ってしまうんです・・・やっぱ私が歪んでいるのかしら。

とはいえ、少ない客席がもったいない芝居であることは確かです。いや、大人計画などのどろどろ芝居を見なれている人は物足りないと思うでしょうし、「小屋がでかすぎる」という感じは残ります。タイトな小屋で、密閉状態で、濃密に、息苦しい芝居だったら、全然違う印象になるでしょう。その意味で、このホンはいろんな広がりを持つ作品です。かなり感心させられましたよ。

終わってみると、小屋の雰囲気も含め、かなり楽しんでいた私でした。一睡もしなかったし。2時間15分(途中休憩15分)、12月5日まで。当日券は下記ライミングホームページからどうぞ(週刊FSTAGE割引あり)。


稽古場訪問レポート

劇工房ライミングホームページ
(出演者プロフィールなどは、ホームページをご覧ください)


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