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2008.7.7
新国立劇場芸術監督交代余波

新国立劇場の演劇部門の芸術監督の交代が決定したことを、大手新聞が問題視している。

読売新聞は、「演劇部門 唐突な印象」として「疑問の声が上がっている」と7月1日付けで紹介している。今回の3部門同時交代について、オペラ・舞踊部門については「既定路線」だったが、演劇部門については「唐突だ」と。現在の演劇部門芸術監督鵜山仁氏は55歳と若く、他の2部門の二人が73歳だった事情とは違う。鵜山氏再任の声も出ていたという。が、劇場運営財団理事会理事長の遠山敦子氏に一任した結果、「鵜山氏は(他の舞台を多数手がけていて)あまりにもお忙しく、いろんなコミュニケーションが難しかった」として交代を決定した。

思うに、「忙しいから」というのは役人やサラリーマンの世界では通用しても、この世界ではヘタな言い訳でしか使わないのであり、どうだろうか? 宮田慶子氏も充分人気演出家であり、忙しい人だ。ましてや長年勤めた栗山民也氏はさらに3倍ぐらい忙しく活躍している。遠山氏の意見は役人ならではでしかない。通用しない。

朝日新聞の7月7日付の「社説」では、「新国立劇場―芸術の場らしい議論を」として、議論なしでトップダウンで決まったことに疑問を呈している。理事長の決定は理事たちの理解を得られていない、と。新国立劇場は、あらゆることの「モデル」となる場だ。社説では「大いに議論したらいい」と提案している。

この問題、まだまだ論議が続くような気がする。というか、続けていただきたい。こじれると宮田氏にプレッシャーがかかることになるかもしれないが、それでもやはり、前例を残さないためにも、大いに議論してほしい。それでなくても、役人仕事が問題視されている新国立劇場なのだから。厳しい目にさらされている「独立行政法人」なのだから。

新国立劇場:芸術監督決定(2008.6.30)


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