1999.09.23
仙台発:刑務所で受刑者が家族崩壊演劇「ピカチュウ vs ドラえもん」
受刑者教育の一つであるロールプレーが注目されている。これは、「ピカチュウ」や「ドラえもん」の仮面をつけて劇を演じるものであり、仙台市若林区の宮城刑務所では覚せい剤など薬物依存癖からの脱却の一助となっているという。この取り組みの成果は24、25の両日、東北大で開かれる日本犯罪心理学会で発表される。
ロールプレーでは、受刑者が「家族と再会した」という想定で、ピカチュウなどの仮面をつけながら割り当てられた役柄を演じる。特に台本はなく、受刑者が自由にせりふを話す。例えば、同じ受刑者が1回目の劇で「出所してきた夫」、2回目に「妻」の役割を演じると、「夫」の言動が家族(妻)に与えた痛みが実感できる。「妻」を演じた途端に全く言葉が出なくなる一幕もあったという。
「仮面をつけることで、受刑者は自分の精神的弱さを認めやすくなる。薬物依存癖を他人や社会環境のせいにして正当化してしまいがちな傾向に歯止めをかける一助になるのではないか」と説明する。
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