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(109)

1999.09.04
社会学からのアプローチ「現代演劇のフィールドワーク」が出版された!

かなりスゴイ本です。労作ですし、こんなのはお願いしたって作れない。演劇にとって、ラッキーとしか言いようがない。時間とガッツのある人は読んで見てください。424頁、きっちり詰まってます。演劇側からの回答を期待したい。


佐藤郁哉・著「現代演劇のフィールドワーク〜芸術生産の文化社会学」
(東京大学出版会 1999年7月12日初版) 本体5200円
A5判424頁 ハードカバー

取材対象:夢の遊眠社、第三舞台、遊◎機械/全自動シアター、青年団、キャラメルボックス、青年座、青年劇場、文化庁、セゾン文化財団、国際交流基金、劇団主宰者、行政担当者、制作者など。


目次

序章●芸術と社会の不幸な出会い
1、出会いの諸相
2、分析フレーム
3、現代演劇と社会の出会い

第一部■小劇場ブームから文化行政ブームへ
第一章●サクセス・ストーリーのてんまつ〜ビジネス化の可能性と限界
1、小劇場ブームと「右肩上がり」の動員拡大
2、サクセス・ストーリーの誕生と終焉
3、商業主義化の物語
 (1)商業主義化論の概要
 (2)商業主義化論の問題点
 (3)大衆文化論としての商業主義化論
4、小劇場演劇のビジネス化の諸相
 (1)市場構造
 (2)収益性と演劇人のスタンス
 (3)小劇場のディレンマ
5、物語の終わりと新たな物語のはじまり
第二章●新たな物語のはじまり〜被助成化の可能性と限界
1、「小劇場すごろく」のオルタナティブ
 (1)公演チラシとサクセス・ストーリー
 (2)もう一つのサクセス・ストーリー
 (3)芸術の収支構造と助成の拡大
2、文化行政ブームと日本の芸術支援における四つの「事件」
 (1)自治体文化行政の転換
 (2)新国立劇場の開場
 (3)芸術文化振興基金・アーツプラン21の創設
 (4)企業メセナの進展・芸術系民間財団の誕生
3、「文化国家」と「文化都市」の成功神話
 (1)四つのキイワード
 (2)「文化国家」と「文化都市」のサクセスストーリー
 (3)物語に対する疑念〜神話としての「文化の時代」
4、文化行政ブームの実相
 (1)完全行政と「ストリートレベルの官僚制」のあいだ
 (2)「ゴミ箱モデル」と「増分主義モデル」
 (3)無政府的組織としての政府と文化行政
 (4)文化行政ブームの一般的背景
5、パトロネージをめぐるさまざまな問い〜行政と演劇人の説明責任
 (1)行政の説明責任
 (2)芸術家の説明責任

第二部■演劇界の誕生・演劇人の誕生
第三章●演劇界の誕生〜業界化
1、「タコツボ」としての演劇界
 (1)「紙屋町さくらホテル」
 (2)新国立劇場・芸術監督人選問題の経緯と「演劇界」
 (3)タコツボとしての演劇界
2、演劇村から演劇界へ
 (1)国内的鎖国をうち破る「大きな風」
 (2)業界団体の再生と誕生
3、演劇界誕生とそのサブプロセス
 (1)芸術助成の拡大と「組織フィールド」の構造化
 (2)日米の相違
 (3)演劇界再構築のためのクリティカル・マス
第四章●劇団制のゆらぎとオルタナティブの模索
1、劇団制とそのオルタナティブ
 (1)劇団造反史
 (2)プロデュース公演の増加と劇場専属劇団の誕生
2、劇団とは何か?
 (1)三つの演劇生産システム
 (2)組織化のディレンマ
 (3)劇団組織の四つの顔
 (4)組織アイデンティティの拡散
3、多様化〜新たな演劇生産システムの模索
 (1)新たな動き
 (2)組織環境の変容と問題点
第五章●演劇人の誕生〜プロ化
1、現代演劇のアマチュア性とその起源
 (1)新劇「職業化」の歴史
 (2)現代演劇の構造転換とプロ化の展望
 (3)プロ化の三つの意味
2、プロ化のサブプロセス
 (1)職業化
 (2)専門化
 (3)専門職化
3、演劇人の誕生〜芸術の専門織化のディレンマ
 (1)専門職化と報酬システムの転換
 (2)専門織化の落とし穴
 (3)「芸術の専門職化」のパラドックス

第三部■文化産業システムの可能性
第六章●結論〜制度化と独創性のディレンマを超えて
1、鏡としての芸術・制度としての芸術
2、芸術の制度的自立性
3、制度の「強度」と芸術の社会制度化
4、芸術の制度的基盤に見られる「ねじれ」と歪み
5、制度化と独創性のディレンマ
6、文化産業システムの可能性
 (1)文化産業システムと報酬システム
 (2)文化産業センター間の分業関係

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