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2006.10.3
AERA【現代の肖像】に北村明子

朝日新聞社の週刊誌AERA10月9日号(2006年10月02日発売 定価:360円)の連載「現代の肖像」は演劇プロデューサー北村明子だ。記事はジェンダー問題を多く扱う島崎今日子が書いたためか、生い立ちや女性観に深く切り込んだ文章となっている。通常の演劇プロデューサーインタビューとは一線を画す深い内容だ。

記事では、北村明子を「今、演劇界はこの人を中心に動いている」と絶賛。ちょっと褒め殺しな印象があるぐらいだ。

北村明子は野田秀樹の舞台を制作し、大竹しのぶ、堤真一らのマネジメントを行う演劇制作会社「シス・カンパニー」の代表。もともとは野田秀樹の劇団夢の遊眠社の制作を行い、所属俳優のマネジメントを行っていた。それが、劇団解散、野田の舞台制作ユニットNODA・MAP設立、演劇系タレントのマネジメントへと進化してきた。近年、野田関連以外の舞台製作にも進出し成功している。

記事は非常に濃い内容で、興味深いフレーズが並んでいる。北村に対し、同業者の笹部博司氏のコトバとして「冷酷で計算高いくせに情にもろい、アナーキーで現実主義者なのにロマンチスト」との評を紹介している。これって実は、演劇制作者の必須条件だろう。マトモな舞台は冷酷で計算高いくせに情にもろくアナーキーで現実主義者なのにロマンチストが制作でないと作れない。

小劇場演劇史において、80年代の小劇場ブームから「プロデュース」の時代を経て、商業資本導入の時代へと変遷してきた。しかし、実は現在の商業資本は有能なプロデューサーと演劇製作会社の登場の上に成立している。シス・カンパニーやRUPという小劇場出身のプロデューサーがいて、資本の投入が可能となったものだ。よって、注視すべきは商業資本の動きではなく、プロデューサーの動向なのである。当人は望んでいないだろうが、今後もプロデューサーにスポットが当たり、その動向が紹介されることを期待したい。

AERA 2006年10月9日号

シス・カンパニー


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