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(915)

2005.3.17
小泉総理が芸術振興と寄付税制見直しを促す

小泉総理は3月4日、国会参院予算委において、浮島とも子氏の質問に答える形で、芸術振興の重要さと、芸術活動への寄付のあり方について語った。また、それを受けて、片山財務大臣が寄付税制の見直しの必要性を語った。近年、芸術文化への予算拡充が顕著であるが、そこにおける公明党の役割の大きさが証明されたといえよう。このことは手放しで褒められることではなく、むしろ公明党が与党にいることの結果であると理解され、その危うさを指摘する声も多い。

小泉総理は、自らの幼き日の芸術体験から、教育現場での芸術体験の重要性を説いた。学校教育の中での芸術体験、それも鑑賞だけではなく、演ずるなどの参加の機会を作ることが必要だと述べた。また、芸術家の地位向上に関しては、具体的な施策は現段階では述べられないが、世界的に見て、アニメや漫画を含めてわが国芸術の水準は高いとし、それへの支援は必要だと述べている。その意味で、寄付税制は欧米にも遜色ないレベルになっているとの認識の上で、民間の意識の変化を求めている。つまり、寄付が少ないのは税制がネックになっているのではなく、民間の芸術への敬意が少ないせいだと。わが国の芸術は世界的にみてレベルが高いのだから、民間ももっと支援すべきだと。

また、これを受けて片山財務大臣もまた、寄付税制は西欧と遜色ないレベルであるとしているが、芸術振興の観点から、今後も推進していきたいとし、寄付税制についてももっと便利なものに見直していく必要があるとの認識を示した。

現在、公益法人やNPOへの寄付税制は確かに整備され、個人なら全額控除、企業なら全額損金扱いとすることが可能となった。よって劇団のNPO化が志向されるようになっている(ク・ナウカなど)。しかしながら、一般の劇団や芸術家の公益性が問われるとなると、この税制が充分に機能するとは言いがたい。そもそも、人々を楽しませたり勇気を与えたりすることが「公益」であると認識されていないからである。その意味で、今後はシンプルに、「公益である」と言い切ることが求められる。浮島氏の言うように、それは「財産」であり、優遇すべき対象であるのだろう。

今回の予算委における質疑応答は、決して具体的なものとは言えないが、国会の場で言及されたという意義は大きいだろう。小泉総理が「学校教育の場で芸術体験が必要」と語ったことは、施策に反映されると期待したいし、片山財務大臣の「寄付税制見直し」発言もまた、実行に移されることを期待したい。また、わが国芸術の水準の高さに対する民間の意識改革についても、それを促す施策が実施されることを期待したい。国会で一国の総理が言及した以上、それが施策となって現れることは当然のことであると思われる。今後も注視していきたい。

参考:企画室「国会予算委で小泉総理が芸術振興を語る」


近年の芸術振興の動きは「公明党が与党だから」という理由だけではないと思うが、「今のうちにどんどん推進しとかないと」という気がしてしまう。また、単純に予算の増額だけじゃなく、制度や意識の改革も進めておかなと、二階に上がってハシゴをはずされる、みたいなことになってしまうんじゃないかと心配してしまう。(じ)
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