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2004.12.04
亜門版「太平洋序曲」開幕!

宮本亜門演出の「太平洋序曲」が本場ブロードウェーで開幕した。11月12日からのプレビュー公演を経て、12月2日から本公演が始まった。

日本人演出家として初の米国ブロードウェー進出となるミュージカル「太平洋序曲」は、ニューヨークの「スタジオ54」で幕を開けた。日本の演劇界にとってもまさに記念すべき舞台。拍手喝采のカーテンコールに登場した亜門は「夢がかなった」と感激のあまり涙が止まらなかったという。

 子供の頃からの夢が現実になった。客席はスタンディングオベーション。スポットライトを浴びた亜門の目から大粒の涙があふれた。「僕はきょう、今までにない最高の経験をさせてもらった。泣くまいと思ったけど、自然に出てくるものを止めることができなくて」。記念すべき第一歩を踏み出した直後、スポーツニッポン紙に国際電話でその興奮ぶりを伝えてきた。

 カーテンコールでは、主演のB・D・ウォンから「日本から初めて来た演出家。彼はもっと早くこの場に来るべきだった」と粋な紹介も受けた。亜門は「素敵なキャスト、スタッフに支えられてここまでこられた。この瞬間を一生忘れません」と頭を下げた。

 ブロードウェーへのあこがれは、かつて舞台で活躍した母・須美子さん(故人)の夢でもある。幼い頃に「ニューヨークこそエンターテインメントの本場。必ずブロードウェーを目指しなさい」と教えられた。その言葉が今も胸の奥に刻まれている。「ここに立てただけで幸せです」と、涙の裏にはきっと今は亡き母の姿が映っていたのだろう。

 「太平洋序曲」は、スティーブン・ソンドハイム作詞・作曲で1976年に初演された。黒船来航で混乱する日本人の姿をシニカルに描く名作で、今回は亜門の独特のタッチで斬新に表現。全編英語で、出演者は亜門本人が現地のオーディションで選考した。デザイナーのコシノ・ジュンコさんの衣装も光った。11月12日のプレビュー公演から話題となり、満席の幕開け。

 亜門は「これでやっと1ページをめくった感じ」。まさに、日本の演劇界にとっても歴史的な快挙。公演は来年1月末までの予定だが、ロングランの可能性も十分だ。

舞台美術は松井るみ。本当にロングランが実現すれば、それこそ快挙。もし1月末で終わったとしても、その評価によっては次の亜門作品が決まるだろう。あるいは松井るみへの発注もあるかも。今回の実績も快挙ではあるが、「次」が決まるかどうかも注目したい。


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