歌舞伎俳優の中村勘九郎（49）が主宰する「平成中村座」の歌舞伎公演が17日、ニューヨーク・リンカーンセンターの広場に建てられた芝居小屋で始まり、江戸情緒たっぷりの舞台で行われた迫力ある立ち回りに地元市民から熱い拍手が送られた。

　現地のホールではなく、日本から持ち込んだ資材を使って芝居小屋を仮設した。この形態で歌舞伎を上演するのは米国で初めて。勘九郎演じる団七が義父を殺害し、捕り手から逃れる物語「夏祭浪花鑑（なつまつりなにわかがみ）」が上演された。ニューヨーク市警の警官が突然登場し団七らを取り押さえる最後のシーンでは、米国人観客から「オー」と驚きの声が上がり、カーテンコールでは、約560人で満員となった観客席は総立ちとなった。

　平成中村座は桟敷席を設けるなど江戸時代の雰囲気を再現した舞台。日本では00年から東京と大阪で計4公演が行われた。映画「ラスト・サムライ」に明治天皇役で出演した二男七之助（21）も出演している。