2004.1.4
平成中村座 江戸の娯楽をNYに再現
歌舞伎俳優、中村勘九郎さんが江戸の芝居小屋の雰囲気を再現しようと発案した「平成中村座」が七月にニューヨーク公演を計画していることが分かった。日本から劇場ごと運んでしまおうというもので、歌舞伎の海外公演でも初のケース。「これまでは西洋皿(ホールや劇場)に和菓子(歌舞伎)を載せたようなもの。皿ごと持っていく」と関係者は期待を膨らませている。
平成中村座のきっかけは、勘九郎さんが十九歳のときに見た劇作家、唐十郎さん率いる状況劇場のテント芝居。「江戸時代の庶民も同じように楽しんでいたはず」。平成十二年、東京・浅草の隅田川沿いに約八百席の仮設テント小屋を建て、公演を行った。歌舞伎発祥四百年の昨年は十月に浅草寺境内で公演した。勘九郎さんの家は江戸時代の芝居小屋「中村座」の座元だった縁もある。
ニューヨーク公演は勘九郎さんの「かねての念願」。セントラルパーク西側にあるリンカーンセンターで公演を計画している。同センターは六つの劇場、メトロポリタン・オペラ、ニューヨーク・フィルなどが本拠にする芸術の殿堂。毎年七月、世界中の舞台作品を紹介するリンカーンセンター・フェスティバルが行われており、その一環として公演する。センター敷地に平成中村座を建てるという。
演目は季節に合わせて「夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)」。大阪を舞台に男だてたちの義理と人情、その女房の献身ぶり、だんじり囃子(ばやし)が流れる祭りの風俗などを描いている。勘九郎さんは昨年六月、「渋谷・コクーン歌舞伎」で上演した作品を持っていく。幕切れにパトカーが登場したのも大きな話題となり、ニューヨーク公演では現地でパトカーも調達する予定という。
また勘九郎さんは来年、父親の勘三郎の名跡を襲名することになっており、勘九郎最後の年に実現するビッグプロジェクトに喜んでいる。
(産経新聞)
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