2002年10月23日午後９時（日本時間24日午前２時）、ロシアのモスクワ中心部にある文化宮殿劇場（キャパ1163席）に、自動小銃で武装した数十人の集団が発砲しながらミュージカル公演中の舞台に乱入した。観客と出演者あわせて約800人を人質に立てこもり、連邦政府に対して要求を発した。

一部の人質は解放したものの、約700人を客席を監禁しながら、「チェチェン戦争の終結」を政府に要求している。犯行グループ（ロシア軍の攻撃で死亡したチェチェン武装兵士の残された妻たちで構成する自爆部隊）はインターネットで犯行声明を発表した。1994年より、ロシア軍の進攻で始まったチェチェン紛争の終結を求めている。

チェチェンはソビエト崩壊前の1991年11月に独立を宣言した。人口100万人程度のチェチェンはロシア軍の攻撃により、10万人ほどが死亡・行方不明となっているという。

昨年９月11日のNYテロ以降、チェチェンへの攻撃は「テロ撲滅」の名のもとに、激化していたという。対抗手段としての今回の行為だが、劇場は血の海、死体の山と化した。

10月26日早朝（日本時間26日午前）、ロシア軍特殊部隊約100人の劇場への突入により、反乱軍の多くを射殺し、人質を解放した。しかし、突入の際に使用された特殊ガスにより、100名以上の人質が死亡した。人質は、反乱軍に射殺された２人以外の100名以上は、この特殊ガスによる死亡となったもよう。

この事件は、昨年September11のNYテロ以降の一連の暴力の連鎖の一部。今後も続くだろう。テロを支援するアルカイダのカゲも見て取れる。ディスコも劇場も、けっして安全な場所ではない。不幸な時代に突入している。