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(483)

2002.01.06
NYの日本人俳優(4)

舞台・ 俳優 そして芝居

Act II
scene I

私はダンスの勉強をする為に1986年にNew Yorkにやって来た。それまで私は、Los Angelesに住んでいて、趣味でダンスやカンフーを習ってはいたけれどまさか自分が俳優という仕事にここまで惚れ込むなんて思ってもいなかった。これこそ私が求めていた仕事だったのだ。しかしそこまでたどりつくには長い道のりがあった。

もともと私のプロフェッションはヘアーデザイナーだが、小学生のときから叔父の経営する美容室でアルバイトをやっていてそのままプロになってしまったようなものだ。ちなみに私は玄界灘を望む福岡県は北九州市の小倉区、あの「無法松の一生」で有名な祇園太鼓のある街で育ったれっきとした九州男児。そんな私がどういうわけか今ニューヨークという街で役者という仕事をやっている。

私の所属する劇団バットシアターカンパーとその劇場フリーシアターが発足してこの4月で5年になる。しかし9月11日のテロ以後New Yorkのシアター業界は大きな打撃をうけている。そんな中いろんな劇団、劇場が生き抜くために必死の思いで試行錯誤しており、バットシアターカンパニーも例外ではない。

今回のテロで命をかけての救出活動にあたったNY消防庁、通称FDNYの消防士300人以上もの勇敢な彼らの命もこのテロの犠牲になってしまった。そんな彼らをテーマにした芝居がフリーシアターで3週間の期限限定公演として行われている。「The Guys」ザ・ガイズ。「男たち」とでも訳すのか。NYのある消防署のキャプテンとテロで命を犠牲にした8人の消防士達のストーリーだ。キャプテン(ニック)が彼等の葬式で述べるための弔辞を、NYに住むある作家(ジョーン)にお願いすると言う話で、背景はブルックリンにあるジョーンのアパートのリビングルーム、キャラクターはニックとジョーンの2人だけ。ニック役にはハリウッドスターのビル・マーリー、ジョーン役はエイリアンのシガニー・ウィーバー。二人のハリウッドスターがニューヨークのオフオフブロードウェイの小屋で今回のテロ事件をテーマにした芝居をやる。しかもチケットは15ドル。私はニューヨークという街が持つイメージの偉大さを強く感じた。

私は自分が役者としてそして日本人として何かできる可能性が無限大であり、そしてその無限大の可能性に向かって突き進むことの出来るニューヨークという街に生き、今バットシアターカンパニーの一員として仕事が出来ている事に命の力を実感する。

劇団は劇場維持のため来年1月14日にブロードウェイのニューヴィクトリー劇場でベネフィット公演を行う。もちろんシガニー・ウィーバー、ビル・マーリーをはじめ各界の著名人が出席するが、私も99年にオビィ賞を取った「BENTEN KOZO」からの一シーンを披露する。

これが今の私が役者としてニューヨーク復興のために出来ることではないか、、、、。


やっぱりやってるんですねえ、「同時テロ」を題材にした芝居。素晴らしい。近松の昔から、演劇だけがリアルタイムで今を表現できるんです。日本でも、やってんのかなあ・・・。(じ)


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