2000.04.04
演技をプログラミング、コナミのエモーション・ボイス・システム
プレイステーション2は、それまでのゲーム機と全く違うシステムを搭載している。その最大の違いは、リアルタイムで画を描画している点だろう。それまでのゲーム機では、あらかじめたくさんの絵を書いて、記録させておき、シーンごとに呼び出して画面に映していた。PS2では、高速のCPUにより、リアルタイムで必要な画を計算して描いている。あらかじめ記録するのは、物理条件のようなものだ。まさに、この世界に近い環境が構築されているといえるものだ。
さて、画は計算で描けるとして、サウンド、特にセリフはどうなのだろうか。ほとんどは、あらかじめ声優さんに読ませたものを録音しておくわけだが、ここにきて、新しい概念が登場している。まさに、「演技をプログラミング」というものだ。
コナミの恋愛シミュレーションゲーム「ときめきメモリアル2」(PS)では、プレイヤーの名前を入力すると、それをシーンに合わせた情感で、呼びかけてくるシステムとなっている。これが「エモーション・ボイス・システム」だ。決して、あらゆる名前を、あらゆる情感で読んで録音しておいたわけではない。与えられた文字すなわち音の羅列を、シーンに合わせて、悲しいシーンでは、悲しい読み方、楽しいシーンでは楽しい読み方、と区別して発音させているわけだ。ここでポイントとなるのは、楽しいシーンにおける「楽しい読み方」などのプログラミングであろう。楽しいからと言って、バカみたいに明るい声で呼びかけられてもシラケてしまう。声の大きさも重要だし、音程も、音質も重要だ。どこまで再現できるのか、恋愛シミュレーションだけに、注意したいものだ。
いずれにしても、「演技をプログラミング」という発想は、末恐ろしい。そこいらにいる下手な役者はヤバイだろう。また、それを抱える演出家さんは垂涎ものだろう。いや、とんちんかんな演技こそが「味」だという人もいるだろうが・・・。
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