2000.01.08
演劇の街下北沢を舞台にした映画、撮影中!
“演劇の街”東京・下北沢を舞台にした映画「ざわざわ下北沢」の制作が進行中だ。仕掛け人は昨年、この街にミニシアター「シネマ下北沢」をオープンさせた映画好きたち。大手興行会社系の映画館ではかからない、ひと味違う映画を作り、自前の「小屋(映画館)」での上映を目指している。夢に賛同してメガホンを取るのは市川準監督。主演の原田芳雄さんはじめ広末涼子さんら豪華出演陣も手弁当で参加、地元住人と一体となっての撮影が始まる。
「シネマ下北沢」は下北沢の老舗劇場ザ・スズナリの隣りにある。大手興行会社系の大型映画館では上映しない新作や名作を発掘して紹介する活動を続ける。「経営は苦しい」とはいうが、作品によっては一カ月に観客三千人を動員するなど奮闘中だ。
経営者は映画にスタッフとして携わってきた方々。スタイリストさんや美術デザイナーさんたち。みんな実際の映画の世界で活躍する映画人だ。その人たちが「いつかもっと刺激的で面白い映画を自分たちで作ろう」と思いを温めてきた。だが、完成しても上映してくれる映画館を探すのは難しい。「それじゃ先に映画館を」と昨年この映画館を開館させた。
現在制作中の映画の制作費はわずか五千万円ほど。主役の原田芳雄さんはじめ柄本明夫妻、樹木希林さん、渡辺謙さん、岸部一徳さん。さらに、広末涼子さんや鈴木京香さんらも手弁当で参加してくれることになった。
舞台となる下北沢は、商店街や住宅地の中に、いくつもの劇場やライブハウスが点在する、創造力とエネルギーがみなぎる街だ。物語は、下北沢に魅せられ、劇場で舞台を踏み続ける中年俳優と若いカップルなど、カフェ「カラス」に集うこの街の人々を丹念に描く。中年俳優役は原田さん。カップル役には新人の北川智子さん、小沢征悦さん。カラスのママは歌手のりりィさんが演じる。実際に地元ライブハウスで活動するミュージシャン有吉康平さんも出演。曲も提供し、CDデビューする。
老夫婦や劇場主、居酒屋の店員など地元住民も出演。集まったエキストラやスタッフは二百人を超えた。商店街、劇中劇で使われる劇場など下北沢の日常がふんだんに画面に取り入れられ、地元と一体となった映画制作になるはずだ。
夏のシーンを昨年夏に撮影、本格的な撮影は2000年1月より。7月、同館で公開される。
(東京新聞より)
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