第3話 お台場SHOW-GEKI城のクリスマス 2006.12.27更新
この連載の主人公は、場粍蓄光(ばみり・ちっこう)氏。現場主義。事件は現場で起こっている。
場粍氏の足取りを追う。2006年12月25日(月曜)夕暮れ、彼は東京・お台場に現れた。若者のカップルであふれるお台場だ。それもフジテレビイベント広場方面だ。
この日行われているイベント「お台場SHOW-GEKI城」を見るためだ。フジテレビは夏休みシーズンと冬休みシーズンに大きなイベントを開いている。が、おそらくは夏の規模のほうが圧倒的に大きく、冬のイベントは3分の1か4分の1ぐらいだろう。それでも毎年、この「HOT FANTASY ODAIBA」というイベント全体には100万人近くが訪れている。クリスマスにぴったりのホットな出し物が揃っている・・・。そこに「小劇場」・・・?
りんかい線東京テレポートの駅から場粍氏は歩いていく。若いカップルだらけ。何が目的でこんな12月25日のクリスマス日を選んだのか。着飾ったカップルや女の子グループが華やいでいる中、場粍氏はもくもくとフジテレビへ歩いていく。
24日までは街路樹にも電飾が施されていたが、この日はほとんど消えていた。25日の夜ともなると、クリスマス気分はなくなっているのか・・・いや、フジテレビイベント広場には巨大なクリスマスツリーがそびえ立ち、ホットな空間が広がっている。一人、黒づくめの場粍氏がコートのエリを立て、通り過ぎる。
場粍氏は立ち止まった。そして、会場のマルチシアターに向かわず、あたりを散策しだした。が、出し物が少ないため、すぐに戻ってきた。ロクなものがない。ツリーやドラマのセットを背景として記念写真を撮るものがほとんど。もちろん、カップルには楽しいのだろう。長蛇の列ができている。並んで待っている大勢の人に見守られて、照明が煌々と当たる中で写真を撮られるのはどんな気持ちだろうか・・・こっ恥ずかしいぞ。場粍氏は浮き立つカップルをにらみつけてから、会場へ入っていった。
受付に着いたのは17時55分。いつもぎりぎりだ。受付で「当日券ありますか?」と場粍氏は尋ねた。この「お台場SHOW-GEKI城」に参加しているのは当代の超人気劇団ばかり。それに加えてアイドルが一人ずつ各公演に参加している。満員で入れない可能性もあると思うのだが・・・。
受付嬢は「はい、1500円です」と。無事当日券で入れた。
しかし、いくら1時間だけの公演とは言え、1500円は安い! 確かにお台場までの交通費が往復1000円ぐらいかかるのだが、それでも「小劇場カタログ」としては素晴らしいイベントだろう。一日4公演の日もあるので、交通費を考えると一日で複数公演を観るのが正解なのだろう。
劇場に入る。場粍氏は一瞬立ち止まった。ガラガラなのだ。開演3分前だというのに、30人ぐらいしかいない。劇場(フジテレビ1階マルチシアター)のキャパは150程度(15席×10列)。そこに30人というと、かなりガラガラすかすかだ。定刻の18時でも50人ぐらいだったろう。聞いた話では他の日でもこんなもんだとか。この日の「ピチチ5」だけじゃないらしい。この不人気ぶりはいったい・・・。
場粍氏にとってピチチ5は初見。あっと言うまの1時間(正確には55分)をかなり楽しんでいた。マルチシアターという試写会やお笑いイベントで使う舞台(奥行きがない)をなんとか使い、高いテンションの芝居を行っていた。イベントだから、という予想を大きく上回るクオリティを達成していた。アイドルの芝居がちょっとアレでも、他が頑張ってたし。もちろん、みんなからコクられるヒロインという設定は、アイドルならではの説得力か。
楽しんでいたわりには、ほとんど笑うこともなく、場粍氏は会場を後にした。が、ふと立ち止まり、この「お台場SHOW-GEKI城」のチラシをチェックし始めた。後半の日程を確認している。どうやら他の日にも来て見ようという考えのようだ。1月3日の楽日にチェックを入れ、電飾の彼方へと去っていく場粍氏であった。
フジテレビ「お台場SHOW-GEKI城」
G−up「お台場SHOW-GEKI城」
週刊SP:2006.11.02■「お台場SHOW-GEKI城」の中身は?
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