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座" K2T3 東京公演


劇団名は、座" K2T3 です。これで "ザ・ケイツーティースリー" と読みます。平成2年10月結成。福岡市を拠点に活動を続ける女性のみで構成される劇団。

代表作に「不思議ノ国デありんす」 (イムズ芝居'95演出戯曲賞受賞) 、「Adolescence」 (平成9年度九電文化の森シアター出演) 等がある。表現したいのは、きっと日常で誰もが感じたことがあるであろう様々な思いである。自分たちが観たい芝居を創ろうと日々稽古に励んでいる。

5月の福岡での公演 (6ステ) は、連日の大入りでした。動員数では今や福岡一 (?) です。

 
チラシ表・裏。

座" K2T3 Vol.12
◎作品名:「不思議ノ国デありんす」
◎作・演出:後藤香
◎出演:小島美紀、後藤政子、工藤景子、高橋奈月、笹本順子、長美知、秦佳代子、後藤香
◎会場:東京・下北沢駅前劇場 (ペルモビル3F)
◎時間: 6/15 6/16 6/17
(火) (水) (木)
15:00開演---
19:00開演---
◎料 金:前売り 2,000円
当 日 2,500円
◎チケット取り扱い:チケットぴあ、ローソンチケット
(日時指定、全席自由)
◎お問い合わせ:K2オフィス 092-752-4727
E−mail:k2t3@mx6.nisiq.net

【K2T3とは?】

まず劇団名の由来は、博多弁でいうところの「こことっとーと」です。で、博多の人以外は分からないと思いますが、これは「ここ (の席) 、取ってるんですか?」という意味で、”客席でこんな会話が交わされるぐらいお客さんでいっぱいになるような、おもしろい芝居のできる劇団になろう”という願いを込めてつけられています。もちろん、今では福岡で公演を打てば連日女性ファンが押しかけ満員になるという現象がおきています。

【座長の後藤香とは?】

座" K2T3 として13回の公演がうたれていますが、第2回公演より、作・演出をこの後藤香がやっております。9年の長きに渡り、劇団を続けることが出来たのも、ひとえに彼女の頑張りがあったからだと思います。では、座長のごあいさつを。

【座長からのごあいさつ】

これまで9年間地元福岡市を拠点に活動を続けてきましたが、今回初の東京公演というのをやります。

福岡の観客に見守られてきた私たちが、東京でどんな風にたたかれるのか、受け入れられるのか、怖くて楽しみです。
1人でも多くの方に観に来て頂いて感想等聞かせてもらえればと思います。
私たちはめちゃくちゃ楽しませるつもりでのりこむんですけど…。

では劇場でお待ちしています。

座長・後藤 香








1999年6月15日 (火) の午後1時25分、劇場に到着した私を、明太えびせんが出迎えてくれた。パリパリの薄々おせんべい。辛さはそれほどでもなく、ただただ、ショッキングピンクの色 (中身) のインパクトが大きい。制作の小島さんから渡される。食い物に弱い私であることを、見抜かれている。

劇団に対する予備知識はほとんどない。FSTAGEへの書きこみで知っていることと、いただいた資料にあった過去の公演履歴ぐらい。旗揚げは1991年12月なので、もう8年目。過去の公演一覧を見ていて気付いたのは、97年8月に「ナツヤスミ語辞典」を劇団風三等星との合同公演として上演していること。芝居のタイトルも「アリス」とか「Dear dear」とか、キャラメル系なのかしらと思わせる。

主な公演
旗揚げ「しんしゃく源氏物語」1991.12
第2回「KINGYO」1992.8
第3回「Adolescence」1993.4
第4回「THE★見合い」1993.11
第5回「Dear dear」1994.4
第6回「不思議ノ国デありんす」1994.11
第8回「ルナのビー玉」1995.10
第10回「沙羅−sahla−」1996.10
第11回「海になれる日」1998.4
第12回「不思議ノ国デありんす」1999.5

第2回公演より作・演出を後藤香さんが担当しているらしい。

さて、ゲネプロが1時半より予定されているが、なんだか知らないけど、舞台もロビーも静かである。普通、ゲネ前っていったら、裏方も役者も走りまわっているもんだ。不気味なぐらいの落ち着きぐあい。この芝居、実はひと月前に福岡でやってきているんで、できあがっているってことなんだろうか。初演は94年で、再演でもあるし。

ぼさーっとして客席で待っていたら、「じゃあ、そろそろ行きましょうか」の後藤さんの声を合図に、いきなり客電がアウトして、始まった。











ゲネプロが始まった。「不思議ノ国デありんす」は、やっぱ「不思議の国のアリス」と関係があるみたいね。でも、このタイトルは、ちょっとださくないか、とか考えていたら、いきなりOLシーンから始まった。テキパキ働くおねーさんたち。年相応の動き。おねーさん劇団なのだろうか・・・結成8年ってことは、20代前半で旗揚げしたとしても、もう・・・などと失礼なことを考えていたら、いきなりのカラオケシーン。ちょっと地味かも。

本番とゲネの違いは、まず第一に化粧してないこと。それと、照明さんがまだ試行錯誤していることだ。つっても、かなり安定した照明だった。駅前劇場ってのは、明かり屋さん泣かせのとこがあり、タッパないのに間口が広いという困ったとこなんだけど。

さて、芝居は予想通り、アリス達の登場シーンへと進む。かなりファンタジーしてて、チラシの印象と違っている。チラシはもっとヘビーなのを予想させていたんだ。やっぱかなりキャラメル入っているかもしれない (「キャラメル」ってのは、ファンタジーものを得意とし、一回の公演で5万人ぐらいを動員する有名劇団キャラメルボックスのこと) 。

それにしても、安定している。役者さんもうまい。めちゃくちゃ凄い、ってんじゃないけど、かなり達者な役者さん揃いだ。細かいリアクションとか完璧にこなしている。動きもいい。主演の後藤さんのノドがピンチな以外は、ほとんど落ち着いて見ていられる。まあ、芝居を落ち着いて見られちゃヤバイかもしれないけど。

笑かすシーンもそこそこうまい。ぬるい、と言えなくもないけど、でも、この内容ならぬるさも気にならない。ちょっとしたくすぐりとかがいいんだ。

で、芝居は後半になり、かなりシビアな現実を提示してきた。けっこうキャラメルよりも現実を描いているかもしれない。主人公に対し、現実をつきつけている。その痛さもちゃんと描いている。役者さんも、ちゃんとそれを表現している。なかなかのもんだ。思わず関心してしまう。



ゲネプロが終わり、ダメ出し。リラックスムードではあるが、後藤さんのテンションだけがやたらと高い。っていうか、みんな聞いてねー。あと、あまりダメがない。完成度が高いってことなのだろうか。芝居としては、かなりできあがっているんだろうね。トラブルらしいものもなかったし。ちょっとパネルの移動とか、危なかったけど (その後、練習していた) 。で、思わず聞かれてもいないのに、「上手奥の明かり漏れが気になりました」とか言ってしまう私だった。







ゲネが終わったのが3時半頃。本番は7時からなので、時間余裕。直しらしいものもなく、明かり屋さんが、「それじゃ、記憶しようかなあ。」とか言ってるノンキさ。駅前劇場の卓はメモリが使えるんで、シーンを作って記憶させれば楽なのだ。でも、終演後に聞いたら、まだメモリに入れる段階じゃないんで、手でやってましたと言ってたけど。

で、4時過ぎ頃も、なんかノンビリムードで、私退屈しちゃった。普通、初日前なら、地獄のような忙しさなんだが。私が二日前までやってた公演 (私は照明) なんか、初日の本番前、時間との戦いで、シュートしてたっけ。開場を遅らせることだってある。なんか、めちゃめちゃうらやましいぞ。まあ、5月に福岡で完成させてきてるせいだと思うけどさ。旅公演って、いいよなあ。

●後藤さんが言ってた。東京へは飛行機で来たとか。芝居で登場する「羊さん」は手で持って飛行機に乗ったんだとか。スチュワーデスさんに変な目で見られたらしい。そりゃ確かに、あんなでかい異様なモノを持ちこんだら、ナニモンだと思われる。きっとテンションの高い声で応対したんだろうし。ノド涸れてるし。

●本番は、ほとんど無難に進行していたんだけど、一箇所、シュノーケルを配るシーンで、それがひっからまってて、右往左往していたのがおかしかった。4つのうち、2つはすぐに渡せたのに、残りの二つがからまって・・・。ギリギリで間に合ったけど。

●本番では、かなりどぎついメークなんで、元の顔の原型をとどめていないぐらいだった。終演後にどの役の人だかわからない。でもまあ、後藤さんの豹変ぶりが最たるもんだよな。普段は普通のおねーさんなのに、小学生とかを平気でやっちゃうんだもんな。明かり屋さんと「サギまがいですね。」とうなずきあっちゃったよ。

●客入れとかを手伝っていた子 (男) が二人いた。劇団の知り合いらしかったんだけど、そのうちの一人が双数姉妹の子とかで、芝居の話しで盛りあがってしまった。名前聞いておけばよかった。拙者ムニエルが前週に駅前で公演があり、かなり面白かったとか。演クラとか劇研ってのが通じるのが嬉しい。


終演後、客出しをしてから、ロビーで「野菜ジュース」で初日乾杯。みんな飲まないんだとか。双数の子が一人で「飲みに行こう」と叫んでいたが、相手にされていなかった。で、ニフティで知った客が一人来ていたことがアンケートから発覚。狂喜する小島さん。私にお礼を言われても・・・。だが、どうやら割り引きしてなかったとかで、受付の子と右往左往。お客さんがニフティ割引を言ってなかったことを確認して、落ち着く。そんな大騒ぎする問題でもないと思うけど・・・。

そうは言っても、劇団にしてみれば「一般客」は嬉しいんだろうね。なんせ、後藤さんにしてみれば、「東京の人」ってだけで、斜に構えるみたいで。自分たちの表現が東京でどう受けとめられるのかは、とても重要な問題。うちわの客じゃなくて、一般の客にこそ見てもらいたいと思っている。けど、駅前でチラシ撒いても、それで見に来る人は少なく、地方劇団における東京公演の難しさがそこにある。ニフティみたいに、全国規模で情報が伝わるのって、そんなにあるわけじゃない。楽日のあと、うちの留守電に「打ち上げやってるんで、ぜひ来てください」と入っていた。FSTAGERがけっこう見たんだろうね。喜んでいただいて嬉しい。15日に速攻で初日レポートをアップしたかいがあったってもんだよ。

後藤さんは、東京で公演することに関し、「いい男を見つけられれば、それでいいです。」と、きっぱりと断言していたが・・・それはどうだったんでしょうか。一回じゃ、難しいかもしれません。それなら次回公演では、東京でお手伝いする人間をFSTAGEから送りこんで、その中から選んでもらうか・・・それじゃあんまりか。まあ、いい男は、いるとこにはいるんで、頑張っていただきたい (なんのこっちゃ) 。

初日の後、客が10人だったらどうしよう、みたいな心配に対し、50人ぐらいの動員があり、ほっと一息でした。客の反応も「福岡よりも良かったかもしれない」と言ってた。後藤さんの声もゲネよりも良くて一安心。クオリティは高かったと思いますよ。キャラメル系のファンタジーものは、東京でも動員できるものですし、新しくもなんともないとは言え、需要はあるんだったりします。確かにコレ系の劇団はいくつかありますから、突出した存在になるるかどうかは、一回じゃなんとも言えませんが、最初の公演としての感触は悪くなかったと思います。さて、今後、どうするんでしょうかしら。大赤字だとは思いますが、頑張って働いて貯金して、また東京公演をやって欲しいと思います。アゴラの大世紀末展 (21世紀もあるのか?) とかもあるし。大塚の国民宿舎よりも安く泊まれるとこってあるかもしれません。まあ、次回を楽しみに待っています。頑張ってくださいな。


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