大江戸演芸捜査網
〜楽屋口と客席の間で〜

(72) 2003.8.16 ■圓朝まつり2003、お客さまに聞きました


2003年8月10日、日曜日、晴れ。この日の東京の最高気温32.5度。強い陽射しの中、二回目の「圓朝まつり」(落語協会主催)が催されました。東京谷中・全生庵にいらしたお客さまは、何を期待して足を運ばれたのでしょうか。

謹んで圓朝師匠のお墓にお花を供えて手を合わせてから、当日会場にいらしたお客さまにインタビューをさせていただきました。質問したのは基本的には以下のことです。

*どちらからいらっしゃいましたか?
*去年はいらっしゃいましたか?
*(初めての方に)どうやって知りましたか?
*(二度目の方へ)去年と今年、どう違いますか?
*お目当てはどなた・どこですか?

赤字が【女性】、青字が【男性】です。(ブラウザによっては色が出ないよ)


【男性】「いや、楽しいですね。今年初めて来ました」

【女性】「都内から来ました。去年は奉納落語会を聞くために来たのですが、今年は屋台を楽しみにして朝から来ました。お目当ては喬太郎さんです。(会えましたか?)はい。会うことができて嬉しかったです」

【男性】「埼玉から来ました。今年のほうが人が少ないかな? お目当ては扇辰師匠や喬太郎師匠です」

【女性】「港区に住んでおります。去年は知らなかったのですが、今年はぜひ、と前から楽しみにしておりました。わたくし、ひょんなことから落語にご縁がございまして、落語家さんとご一緒したりしまして、よくはわからないのですが、落語が好きになりました。落語家さんの名前と顔は一致しないんですが、お目にかかったりしますと、つい図々しくこちらから声をかけてしまいますの。そうしますと、円菊さんなんか『おう!』って声をかけてくださいますのよ。それがもう嬉しくて・・・・写真もいろんな方と撮ったりしまして・・・お礼に手づくりのしおりを渡しておりますの。(バッグから写真を取り出す)これは寄席で左楽さんの襲名披露の時に撮った写真です。わたくし、寄席で写真を撮っちゃいけない、って知らなくて、パチパチやった後、終わったら場内放送で注意されてしまいまして・・・・。今日は引き伸ばしたものを持ってきたので、ぜひお渡ししたいな、と・・・」
(わたしもしおりをいただいてしまいました。恐縮です)

【男性】「住まいは江東区です。来るのは今年初めてです。東京新聞で紹介記事を見て、どんな雰囲気かな、と思って来ました。暑いところに人がいっぱいいますねえ」

【男性】「こらこら、こういう人たちに聞いてはいけません。もっと純真な客に聞きなさい(以下略)」
(会場にいらした演芸に過剰に詳しい方々)

●本堂二階の休憩所で
【女性】「家は杉並です。去年と今年とでは、物販と食べ物と、屋台がまとまっていて見やすくなりました。去年はバラバラだったじゃないですか。(何か買いましたか?)いや、食べるだけ。あ、福扇(注1)は買いました。扇遊師匠の手ぬぐいが入ってました。隣の彼女のは、寄席の招待券が入ってました。(当たり、ですね)でも、手ぬぐいが・・・・(笑)。(お目当ては?)(即座に)ゴミ隊!(笑)(注2)。あそこで(と言って下を指さす)三太楼さんがゴミ拾ってる。いじらしい(笑)。みんな浴衣とか着て、『師匠!』とか言われてサインとかしてるのに、あれじゃ誰だかわからないじゃないですか。偉いですよ〜。来年は他の一門にやらせればいい(笑)」
注1:「福扇」=福袋。今年は小三治師匠の筆が入った扇子+芸人さんの手ぬぐいのセット。「当たり」には全寄席の招待券が入っていたそうです。2000円。
注2:「ゴミ隊」正式名称・ゴミ拾い隊。柳家権太楼師匠をリーダーに、「TEAM TRASH 2003」の揃いのTシャツで、当日の会場の清掃とパフォーマンスに多大なる貢献をされました。

【女性】「わたしはこちらの地元に住んでいますが、今年は秦野に住む姉と来ました。にぎやかな空気がいいです。特にお目当てというほどではないですけれども、雲助さんに会いたいですね。いらっしゃらないのかしら?」

●以下、「馬生のソロバン占い」に並んでいた方々です。
【女性】「寄席でチラシをいただいて来ました。家は新宿です。なんかすごいですね。圧倒されました。馬生師匠のファンです」

【女性】「北区に住んでます。来たのは今年初めてです。いろいろ見たくて来ました。さっき小三治師匠と写真が撮れて嬉しかったです」

【女性】「東京の外れ(笑)から来ました。お目当ては“あたりや”(注)です。まだ食べてません。去年は来ることができませんでした。(どうですか?)充実してます(笑)。なんか、・・・いつも舞台で見ている人たちがいて、『昭和な』空気が・・・(笑)・・・『アナログな』感じがする・・・・」 【女性】「(上の彼女と)いっしょに立川から来ました。ふだんなかなか聞くことができないお囃子を聞いたり、お話をしたり、応援したいな(笑)と思ってます」
(タンクトップと着物姿のティーンズ)
注:「あたりや」橘家文左衛門師匠の食べ物屋台。

【男性】「立川から来ました。去年は知っていたけれども、来れなくて。けっこう面白いですね。こんなに落語ファンがいるのか、と驚きました」(女性とカップルで並んでいた男性)

●ゴミ隊のパフォーマンスを見ながら
【男性】「あきれて物が言えない(笑)。目黒からです。二年続けて来ました。全部お目当てです。いろいろ買いました」
「今年初めてきました。家は足立です。ゴミ隊いいですねえ。なんか見ていると感動がこみ上げてくるものがあります(笑)」
(若い方、おひとりは浴衣姿)

●突然名刺を渡されました。
【男性】「今年は(夏休みに)旅行に行かずここに来てしまいましたよ。予算は二万円。こんなに(といってふくらんだバッグを示す)買って、ほとんど使ってしまいました。(まだ、オークションがありますよ?)えっ、そうなんですか。どうしようかなあ」
(お名前を拝見しましたら、こちら(大江戸)に原稿をいただいたサイトの方でした。ありがとうございます)

●本堂の裏、お団子をほおばるおじいちゃん
【男性】「去年はダメだったけど、今年は奉納落語会、聞きました。ウチは新宿。文朝さん、良かったね〜。こんど真打になる人、菊之丞さん、て言うの? この人も真打の価値は十分にある」

お子さま連れの方・年配のご夫婦など、まだまだいろいろな方がいらっしゃいましたが、時間切れでインタビューはここまで、となりました。お話を伺うことができたのは、いらしたお客さまのほんの一部の方です。

会場の暑い、熱い空気が少しでも伝わりましたでしょうか。突然のぶしつけな質問にお答えをいただいた皆さま、そして落語協会さま、ありがとうございました。



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