大江戸演芸捜査網
〜楽屋口と客席の間で〜

(67) 2003.5.17 ■「落語とWeb、そして私(20)」


どこにもないサイトなら自分で作ってしまおう(2)

やました編集室 山下秀成

geinin.jp

 今でこそ「SEO(*1)」というフレーズで知られるようになった検索エンジンへの対策ですが、geinin.jpに関しては2年前のサイト開設当初からかなり意識していました。titleタグに各芸人さんの名前を入れるのは当然として、同じくページの上部にh1タグで芸人さんの名前を入れたり、サイト全体のデータ量が多くても「.html」で表示させることにこだわったりしてきました。その結果、現在ではgoogleなどで芸人さんの名前で検索したときに検索結果の上位にリストアップされる確率がかなり高く、狙い通りの結果に喜んでいます。また、面識のない人の個人サイトの日記の中で、出てくる芸人さんの説明として、geinin.jp内のその芸人さんのページにリンクされていることも多いんですが、これも期待通りなので気付いた時にはすごく嬉しいです。しかしまだ見た目の調整が中途半端なので、今後CSS(*2)を使って徐々にカスタマイズしていく予定です。

 情報の収集については、4年前に比べるとかなり探しやすくなりました。1999年頃のWeb上にある情報は、非常に限られたものでした。googleが普及する前だったため、賞の名前や「芸人さんの名前+受賞」などで検索しても、検索結果をすべて閲覧するのに大した時間はかかりませんでした。いずれも公式データと呼べるものは少なく、個人サイト上で記憶を頼りに書かれているような、断片的で不確かな2次情報ばかりでした。その頃に比べると、現在は楽です。4年前にはなかった松竹芸能やマセキ芸能社などの所属事務所の公式サイトや、賞を主催している団体のサイトに受賞データをまとめた公式ページが用意されるなど、1次情報が大幅に増えました。それから、検索エンジンの技術の進歩をしみじみと感じています。以前は同じ条件で検索すると検索結果に出てくる情報はいつも見覚えのあるものばかりでしたが、最近では新しい情報もすぐにリストアップされるようになってきました。geinin.jpに関して言うと、googleのクローラー(検索エンジンのロボット)は毎日訪れているようで、頼もしい限りです。また、収集する情報は、Web上にあるものだけでなく、関連する書籍やCD、DVDなどがあれば、購入して参考にすることも多いです。

 その書籍やCDやDVDなどについては、amazonのアソシエイトプログラムという広告サービスを利用して、各芸人さんのページからamazonの商品ページにリンクしています。それらのリンク経由で商品が売れると、いくらかのキャッシュバックがあるというものです。これはamazonに申し込んで、amazon側の審査に合格したサイトだけが契約できるサービスです。私はサイトを開設して間もない頃に申し込んで、(おそらく)あまりにも未完成だったために1度amazonに断られたことがあります。その後、まだまだサイトは未完成でしたが、将来どうなるのかがわかるように改善して再度申し込んだら、今度は許可が下りました。当時はamazonもサービスを始めたばかりだったのでこのサービスを利用しているサイトはごく少数でしたが、今ではいろんなサイトで目にするようになりました。このサービスによる利益は今のところサーバ代程度にしかなっていないため、作業量を考えると儲かっているとはとても言えない状態ですが、いつも「これで生活できたらどんなに楽だろう」と思っています。

 geinin.jpにはいわゆる従来のバナー広告も貼ってあります。これは、広告配信会社でカウントしているバナーの表示回数などをチェックして、アクセス状況をいろんな角度から把握したい、というのが主な目的でした。また、バナー広告が貼ってあることで「まともに運営されているサイト」として認識してもらえるんじゃないか、という目論見もありました。しかし、前者については別の方法で確実なアクセス数を毎日手軽に把握できるようになりましたし、後者については現在ではバナー広告による収益は皆無に等しいことが一般的に知れ渡っていて、実際その通りですので、今ではほとんど無意味になってしまいました。私も邪魔だと感じるようになってしまいましたし、逆に「いまどき無意味なバナー広告を貼っている、ユーザビリティを考慮していないサイト」と見られてしまうかもしれないので、近いうちに外そうと思っています。

 先述の通り、geinin.jpは古今東西すべての芸人さんの情報を閲覧できるサイトを目指しています。コンセプトは大きく構えていますが、現在のところ、掲載している情報はテレビで活躍している芸人さんのものに偏り気味で、噺家さんに関してはかなり不足しているのではないかと思います。特に、FSTAGEをご覧のみなさんを含む落語通の方にとっては、物足りないサイトかもしれません。手もとに未掲載のデータは山ほどあるんですが、本業が忙しくてなかなか時間を割けないため、サイトの更新がままならない状態です。

 サイトを運営している中で、少数ですが、芸人さんご本人やその家族の方からメールをいただくこともあります。また、一般の方からサイトの感想や励ましのメールをいただくことも多いですが、なかなか期待に添えなくて申し訳なく思っています。とりあえずもっと時間に余裕のある仕事に転職しないと解決しない問題かもしれません。

 今後のgeinin.jpについては、まだページを用意していない芸人さんや既存ページの情報を充実させたり、受賞データをまとめたり、CSSに完全に対応させたりなど、やることは山ほどあります。好きが高じて続けているサイトで、今やライフワークだと思っていますから、途中でやめてしまうことはおそらくないと思います。ぼちぼち進めていきますんで、どうぞ気長に応援していただければありがたいです。

■----注釈----

(*1)SEO(検索エンジン最適化)とは、検索エンジンのロボットに読まれやすいサイト構成やページ作りを行うことで、ページに無駄がなくなってユーザビリティの向上に繋がったり、ターゲットに合った検索結果で上位に表示されてユーザーを導きやすくなるなど「ユーザーのためのサイト作り」を実現するためのノウハウやテクニックです。なお、検索エンジンを騙すような、いわゆる「検索エンジンスパム」はSEOには含まれません。

(*2)CSS(カスケーディングスタイルシート)とは、Webページの外観(見た目)の情報を記述するためのものです。段組みなどの見た目をデザインするためにTABLEタグを使ったり、文字を強調するためにFONTタグでサイズを変更したりすることはよくありますが、本来HTMLは文書の構造を記述するためのものですので、そういったことはあまり好ましくありません。デザイン要素はCSSに任せて別ファイルにしておくと、デザインの変更が楽になりますし、ページの情報を再利用する場合などにも便利です。また、データの容量も少なく抑えることができます。

(この項ここまで)



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