大江戸演芸捜査網
〜楽屋口と客席の間で〜

(66) 2003.5.10 ■「落語とWeb、そして私(19)」


どこにもないサイトなら自分で作ってしまおう(1)

やました編集室 山下秀成

geinin.jp

 古今東西の芸人さんの情報をまとめているサイト「geinin.jp」の山下です。ちょっと長めですがお付き合いください。

 まずはサイトの成り立ちから。

 もともとは1999年のはじめ頃、笑芸に関する受賞データを調べようとしたら、Web上のどこにもまとまったデータが見あたらなかったので、それなら自分でまとめてしまおう、と思ったのがきっかけです。

 私は1999年4月から2001年9月にかけて@niftyのFCOMEDYというところのスタッフを勤めていました。また、そのフォーラムのWebサイトの制作や運営も担当していました(このWebサイトはすでになくなっているようです)。そこで、まずはこのFCOMEDYのサイト内の1コンテンツとして、フォーラムに参加している方々のご協力を得ながら、「笑芸受賞データベース」という形で制作を始めました。このコンテンツは2000年9月に公開しています。当時はとりばかまさんにも芸人さんの受賞データに関する詳しい情報を提供していただき、大変助かりました。現在も参考にさせていただいています。その節はありがとうございました>とりばかまさん。

 しかし当時はすでにパソコン通信が廃れはじめている時期で、ユーザー側もサービス提供者も、インターネットに移行するのが必然、という流れに差しかかっていたと思います。パソコン通信である@niftyのフォーラムサービスについては、Webブラウザからも利用可能にはなっていましたが、いろいろと不便な点も多く、まだまだパソコン通信上で利用するのが主流でした。その頃のネットの利用形態としては、インターネットとパソコン通信の両方を利用するユーザーが多かったわけです。その後、インターネットの普及につれてWebサイトが飛躍的に増え、Web上の情報が充実してくると、フォーラムサービスを含むパソコン通信サービス全体の魅力が薄れてしまい、パソコン通信の利用をやめてインターネットに専念する人が増えていきました。幸いにもシアターフォーラム系はそんなことはないようで何よりですが、FCOMEDYの場合はいろんな意味で放任主義だったため、それが祟ってか、会議室の発言は減る一方で、フォーラム全体の活気がなくなり、フォーラムのWebサイトも存在意義を失っていきました。また、詳しい内容は控えますが、フォーラムとは直接関係のないところで起きたつまらない問題に巻き込まれてしまったため、いい機会だからFCOMEDYのスタッフを辞めることにしました。2001年9月のことです。

 その少し前の2001年6月から、受賞データがメインではなく、芸人さんの情報全般をフォローするサイトとしてgeinin.jpを作り始めていました。当初はフリーランスとして自宅で仕事をしていたため、サイトを作る時間を確保できたのですが、常駐の編集者として通勤を始めた2001年10月からは、多忙のため時間を割くことがほとんどできなくなってしまい、そのままズルズルと現在に至る、という感じです。

 geinin.jpでは、各芸人さんごとにページを分けています。また、1人(あるいは1組)の芸人さんの情報はページを複数に分けず、かならず1ページにまとめています。こうすることで、アクセスログを見ればどの芸人さんへのアクセスが多いのか、つまり、今どの芸人さんが人気があるのかが、概ねわかるというわけです。

 最近の総アクセス数は平均7000ページビュー/日です。芸人さんの冠婚葬祭や事件などが起きると、アクセス数がはね上がることがあります。サイト開設以来の最高値は、Yahoo!のニュース速報で江戸家猫八師匠の訃報から直接リンクされた時の、6万ページビュー/日でした。近いところではキングコング梶原の病気療養、ウッチャンの不倫報道、青空球児の世田谷区議選当選、石井光三のひったくり被害などで変動しています。特定の芸人さんのアクセス数に変動があると、「今日はこの芸人さんに何かニュースがあったな」というのがわかるし、毎日続けて見ているとその話題に対して世間の興味がどれくらい続くのかもわかって面白いです。一方、ニュースのない日はダンディ坂野がほぼ毎日トップです(2003年5月現在)。こういったブレイク具合もわかります。

 4月に入ってから週間アクセスランキングの発表を始めました。毎週更新しています。先週のランキングなどを見るためのページはこれから用意する予定ですが、なかなか面白いコンテンツになるんじゃないかと思っています。

(この項つづく)



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