大江戸演芸捜査網
〜楽屋口と客席の間で〜

(63) 2003.4.21 ■「落語とWeb、そして私(16)」

日落ちて道遠し―落語遠眼鏡由来(2)

はやしよしあき

落語遠眼鏡

●落語遠眼鏡の作り方

 時々、寄席等で知り合った方が「更新は大変でしょう」と言って下さることがありますが、それほどでもありません。そもそも、大変だと思ってまでやるつもりはありませんので、大変にはなりようがないのです。

 更新を行う日や時間は決めていません。落語を聴きに行かず、飲みにも行かず、その他のどこへも行かずに家にいる日と時間が更新をする時になります。

 情報源の第1は寄席や落語会場で集めてきたちらしです。ちらしを集めるために落語を聴きに行くことはありませんが、いろいろと聴き歩いているうちに自然に各会場を巡回するようなことになっています。

 寄席では特に池袋演芸場。ここは定席では唯一ウェブサイトを開設していませんので、通常の番組表が貴重な情報源です。その他の落語会のちらしも豊富ですし、中に入らなくてもちらしがもらえるのはありがたい、なんて書くと怒られるでしょうか。もっとも、私が池袋に行くときの9割以上は演芸場が目的なのですが(残りの1割は東京芸術劇場)あと、国立演芸場は意外なちらしがおかれている「穴場」です。

 寄席定席以外ではお江戸日本橋亭、お江戸上野広小路亭、お江戸両国亭。それぞれ、さまざまな落語会が開かれているだけあって、ちらしの種類も豊富です。日本橋亭には「雷蔵八百夜」「柳家小満んの会」の予定が貼り出されていますが、これらはちらしにはなっていないのでデジカメで撮影しました。両国亭は圓楽党のちらしがたくさん置かれているのですが、なかなか足を運ぶ機会がありません。その他、なかの芸能小劇場日暮里サニーホールでも自分のところで行われる会を中心に、さまざまなちらしが置かれています。

 これらのちらしに、主催者や出演者から送られてくる案内の葉書、新聞の記事を合わせたものが、いわば「オフラインの情報」となります。

 もうひとつの大きな柱が「オンラインの情報」、即ちインターネット上の情報です。この収集に役立っている、いや不可欠といっても過言ではないのがオンラインソフトのWWWCです。

 このソフトは、登録したウェブページが更新されているかどうかを短時間で確認してくれるもので、「更新されている」となったものを自分で実際に閲覧して、新しい情報が掲載されていないか、掲載されている情報に変更がないか、と確認します。原稿執筆時点で登録している数は、落語会情報収集のためのものだけで322あります。休眠状態のところも少なくないのですが、この数の多さには自分でも驚きました(笑)。ちなみに、それ以外に落語会レポート等のページも登録してあり、新しいレポートが掲載されるとすぐに読むことができるようにしてあります。

 このようにして情報を収集すれば、あとは入力をするだけです。開演時間や料金等の数字の情報、特に問い合わせ先の電話番号は間違わないように気を配っています。ここまで幸いにもクレームを受けたことはありませんが、時々間違っていることはあるようです。どこかに免責の一筆を入れておいたほうが良いのかもしれませんが、サイトが堅苦しくなりそうなのでしていません。

 オンラインで得た情報はもちろん、オフラインで得た情報でも可能な限り情報源や会場のページにリンクを張るようにしています。リンクを張らない(張れない)場合でも、会場の場所を知るために、検索サイトで調べてページを閲覧することがあるのですが、意外と「どこにあるのか(最寄り駅や地図)」「連絡先(電話番号等)」を見つけるのに苦労することがあります。このあたりはサイト作成者の方には気にしていただきたいところです。

 これだけの作業をするのにどのぐらいの時間が掛かるのか、それは考えないことにしています。少なくとも、私にとっては適当な時間ではあるようです。

●落語は続くよどこまでも

 過去、現在と書いてきましたので、ここから「落語遠眼鏡」の今後について書くのが普通でしょう。いくつか考えている企画や改良したい点はあるのですが、ここに書いてしまうと自分を縛ることになってしまいそうなのでやめておきます。あくまでも自分の楽しみとして作成しているものですので、「気が向いたら」を基本にするようにしています。

 最後に掲示板について少し触れておきます。前にも書いたように「内容は情報に徹すること」としていましたので、掲示板での交流は意図していませんでした。あれば落語会の情報やサイトに対する意見、情報に関する質問等を書いてくださるのではないかと思って、いちおう設置したのですが、いつの間にやら多くの方が集まってくださるようになり、なかなか楽しい掲示板になりました。

 その結果、「落語遠眼鏡」のいわば「事前情報」に対して「事後情報」と言いましょうか、寄席・落語会の演目、感想等が数多く寄せられるようになったのはありがたいことです。書き込みをしてくださる方に共通しているのは、あくまでも「落語を楽しむ」姿勢でいらっしゃることで、掲示板に関しては私も1人の参加者として楽しませていただいています。

 最初の方にも書きましたが、私の「落語を聴きに行く」という趣味は2000年の1月に始まったものです。ここ10年ほど、2〜3年に1度ぐらい、新しい趣味が生まれて一気に深みにはまるということを繰り返しており、いつ、何に興味を持つのかは自分でもまったく予測できません。ですので、もしかしたら一瞬にして落語への熱が冷めてしまう時が来るのかもしれませんが、そうでもなければ「落語遠眼鏡」は続けていきたいと思っています。

 これからも末永く御贔屓いただければ幸いです。

(この項ここまで)



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