大江戸演芸捜査網
〜楽屋口と客席の間で〜

(60) 2003.3.17 ■「落語とWeb、そして私(13)」

「吟醸の館」初めの一歩

吟醸

吟醸の館

 4年前、息子の卒業記念にとパソコンを1台贈る事になりました。Windows98が入った当時の最新版でした。私は当時Dosの環境で落語のテープの整理をしたりしていましたので、触るのは怖くありませんでしたので、息子にお願いして空いている時間貸してもらう事にしました。たまたま新橋の「酒プラザ」に日本酒を吟味しに行っていました。隣のビルにNECのパソコンショウルームがあって冷やかしのつもりで入ったら親切なガイドさんがホームページの作り方を手取り足取り教えてくれました。

 ほんの30分程で概略を実演して見せてくれたのです。「おッ、これなら私でも出来そうだ」と思ったのが深みへの第一歩だったのです。その内、”庇を貸して母屋を取られる”ではありませんが、誰のパソコンか分からなくなって、気が付いたら『お部屋のクリーニング』が完成していました。後はいつUPするかの問題とホームページの題名の命名です。お酒の事も書きたかったので、『吟醸の館』とし、2.3ヶ月で小さなホームページが誕生したのです。息子曰く「あれあれっと思っている内に創ってしまった。僕より使いこなしている」。ははは、誰の為に買ったか知らなかったのか、と内心思いながらの船出です。

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 そこで『お酒の話』です。私は20年近く吟醸酒を飲み続けています。仲間との会も持っていますので、そこで飲んだ吟醸酒の味わいをリポートすることにしました。最初の頃は吟醸酒と言っても肩書きばかりでだまされる事が多かったので、本当の品質を知ってもらいたいが為に書き始めた様なもので、最近は美酒が多くなって楽しみながら飲む事が多くなりました。それでも不味い酒に出会うと、ついキーボードがすべります。

 そんなきつい事を言っても、その蔵元さんがリンクを張ってくれたのには頭が下がりました。

 このころになると、私へのメールも来る様になりました。一番嬉しかったのは正直、内容の良さ(?)を褒めてくれた時でした。ホームページをやっていると最初は自己満足のところで書いていますが、その内にむなしくなってくるのです。いったいこのホームページを見てくれる人がいるのだろうか、また役に立っているのだろうか、誰かに刺激を与えているのだろうか、と疑問がわいてきます。その時に感謝のメールを頂くと金メダルを取った様に嬉しく思うものです。プリントアウトして家族中に見せて回ったのもこのころです。そのような励ましに支えられてホームページは発展していくのです。

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『お酒の話』も軌道に乗ったところで始めましたよ『落語の話』。インターネットの中を歩くと沢山の落語ファンが各自思い思いのホームページを作っています。どうしても重なるところが出てきます。それでは意味がないし、やり甲斐がありません。と言う事は自分自身続かない事が分かっています。

 さぁ〜どうする!

 以前、若手の落語家さんと話していた時、噺の中身が理解出来ていないし、場所の理解も出来ていない事に気が付きました。”自分でも出来て楽しめる”をもっとうに落語の舞台を歩く事にしたのです。題名も『落語の舞台を歩く』、だんだん形が見えてきました。

 第1話は「百川」(ももかわと読みます。ご存じでしたか。それは失礼)です。この噺は先ほどの若手落語家の勉強不足を実地検証で穴埋めするつもりで出掛けました。まず5人ほどの落語家さんの噺を聞いて、一番いい出来の噺を取り上げて概略を書きます。その中から、分かりにくい言葉や地名や歴史をピックアップして図書館で調べ上げます。あれば直ぐに仕上がるのですが、資料がないと別の資料館などを当たります。持ち寄った資料の中から使うのは数分の一ですが、これによって中身が濃くなると思っています。写真も5、60枚ほど撮りますが使うのは極わずかです。

 目黒のサンマ芝浜と続いて江戸四宿の噺に入っていきます。このころの10話近くはプロトタイプの様で最近の定型と少し違いますが、初期作品?として触るのは今のところ考えていません。

 どうしても避けて通れない舞台があります。遊郭の”吉原”です。ここを舞台にした噺は数多く、また楽しい噺が目白押しです。しょうがありません、行きましたよ。当然昼の吉原、ここには過日の遊郭は一切ありません。有るのは今風特殊浴場ばかり、昼間からネオンちかちかさせて早朝割引とかデイサービスとか言って袖を引くお兄さんがいっぱい居ます。当然この時間にはお客はちらほらしか居ませんので、カメラを持った私に視線が集中するのは仕方がないのでしょうが、落ち着いてカメラも向けられません。今の吉原の中心にはマンションや飲み屋さんがあって駅前の様な町の情景を作っています。子供達がランドセルを担いでその前を通り過ぎます。

 あらら、ちょっと長くなってしまいましたね。今日はここまでにしましょう。

(つづく)



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