(32) 2002.05.13 ■漢方ときかん坊(10)
漢方ときかん坊 〜その10〜
「芸協Eメールマガジン」
桂 歌助
芸協Eメールマガジンはホームページを立ち上げて半年後の平成12年の春、新しい試みをしたいと思い、何がいいか、と考えた末に始めたものです。準備はその年の春からで、実際に始めたのは芸協70周年記念行事が目白押しの秋に合わせ、8月から始めました。
落語協会さんはその日の寄席の出演者を、毎日ホームページで情報を提供しています。これは我が協会でもやったらいいだろう、その上iモード対応のホームページを作れば、電車に乗っていてもいつ誰が出てるかわかるのでお客様が喜ぶだろう、といろいろと当たってみましたがどうもうまくいきません。事務員は手が足りず、芸人が手分けしてやる事も、かなりの協力がないとできません。お金で業者を雇うのは「自分たちの手でやる」という最初の方針に反します。落語愛好家の方を準会員扱いにして、寄席入場をフリーにしてその代わり毎日の作業をやってもらおうかとも考えましたが、それでも仕事をお持ちの方おひとりに全部負わせるのは酷です。そんなわけで、毎日の出番変更をデジタル化して情報を流すには、適任者がいませんでした。その代案として、10日ごとの番組の変更ごとに、主任(トリ)の変更だけは流そうと思いました。
メールであれば、携帯でも受けられますし、ホームページを見に行く手間が省けます。お客様が直接見に行かずとも情報が届くわけで、これは喜んでもらえるだろうと思いました。例によってSo-netのSさんにどうしたらいいか相談しますと、So-netのサーバーより、「まぐまぐ」など、メルマガ専用のサービスをしているところの方が良いだろうという事で、「まぐまぐ」を使わうことにしました。登録は簡単に済み、すぐに発信出来ました。
配信内容は以下の4項目です。
1、【ニュース情報】
協会内、あるいは落語界で、お客様にお知らせした方がいい内容を載せています。芸協のニュースをホームページに載せていましたが、それをここに移し替えた形です。情報ってのは生ものですので、鮮度が一番大事です。ただ、このニュース情報の源は全て協会ですので、公式な物です。もし、あやふやな要素が含まれている場合は「ある筋からの情報ですが」と断らないといけません。そうしているうちに落語関係のメーリングリストの方が先と言う場合があります。それはそれで仕方がないと思います。知っていても載せられない事もあります。例えば、真打、二ツ目昇進の決定情報というのは、その当事者の師匠が本人に伝えて後、正式に発表という手はずです。本人に知らせているのを確認してからでないとこちらでは流せません。落語関係のメーリングリストは会員さん同士の内緒話的ですので、「小耳にはさんだ」情報も書けますが、こちらはそうもいきません。随時「これは流してもいいか」と事務局ないしは当事者に問い合わせしております。
2、【今席の催し物情報】
当初【エベント情報】としてました、これはお客様に来ていただきたい、特に注目し てもらいたい催し物を載せてました。ただ、ニュース情報との区別があいまいで、現在はニュース情報で流した情報のうち、直前の10日間で行われる物を再送するようにしました。
3、【寄席主任代演情報】
これがメルマガの一番の目的です。そして一番難しい所です。協会事務員との協力で、時には自宅まで携帯電話で追っかけて、次の寄席の番組(=出演者)の情報を得ます。突発的な理由で配信後に変更される情報もありまして、お客様にご迷惑をおかけすることもあります。
主任の代演とはそれ程簡単に決まる物ではありません。
主任が休みを出す→協会が寄席のお席亭に、この方の代わりにこの方にしたいとお願いを立てる→お席亭のOKが出る、そして始めて代演が決まります。寄席興行の前日に全てが決まっているケースはまれです。
大看板の代演は本来、その人以上の方を探さなくてはお客様に失礼です。しかし、そういう立場の方がどうしても都合がつかない場合もあり、直前まで決まらない場合があります。この春芸術協会では5日興行が導入され、主任を含めて明らかに出番の変更が少なくなりました。毎回「休演ありません」が続き、この項目がなくなるといいですね。
4、【寄席事前情報】
主任が決定した定席の出演者を載せています。寄席の主任は、ほぼ60日前に決まる寄席とほぼ30日前に決まる寄席とがあり、その顔付け(話し合い)が行われるのは、10日ごとに番組内容が変わる、寄席の千秋楽の日です。それは毎月10日、20日、30日、つまりメルマガ発行の当日でもあります。決まった情報を即座にオープンにしてもいい場合と、変更が発生する可能性があるので掲載できない場合があります。そのため、情報の掲載は、協会に問い合わせて、聞いています。
「今決まりました」というホットな情報がうまく載せられる時と、「明日、各師匠に確認を取ってから正式に決まるから、まだ載せないで」と言う場合があり、後者の場合、情報を掲載できるのは、決定の10日後になります。とにかく毎月10日、20日、30日は協会でも60日か30日前の顔付けが行われ、翌日からの新しい寄席興行の準備等でどたばた忙しい中、こちらが電話して、ニュースと主任の変更情報と新しい主任情報を、載せていい範囲で流しております。文書で届くと楽なのですが、事務局から聞いた話を私が文章にしますので、伝えたいニュアンスが事務局と私で違いが出る場合もあります。旅先から電話して聞き出す事もあります。でも、自宅へ戻ってからでないと配信できませんので、一日遅れることもあります。メルマガ配信の予約は「まぐまぐ」では一週間前からできるのですが、最新情報は前日でないと聞き出せません。そこが苦労する点です。どうしても家に戻り切れない時は興行が始まってからの時もあります。電話するのを私が仕事で忘れていて、夜中に事務員へ電話したこともあります。協会から電話をかけて来てくれる事もあります。なにしろ、協会の協力で個人で行っていることですので、どうしても、情報の偏りと、誤字など明らかな間違いが起ります。お客様へ届いてから気がつく事もあり、メールでご指摘いただく事も多々あります。そこの所はご理解をいただきたく思います。長く続ける事で、喜んでもらえる価値のある物としてゆきたいです。
つづく
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