(31) 2002.04.29 ■漢方ときかん坊(9)
漢方ときかん坊 〜その9〜
「落語芸術協会のホームページの立ち上げ(2)」
桂 歌助
ホームページは、管理が一番大変です。個人のページなら、トラブルの解決は簡単か難しいかに関わらず自分で処理するしかありませんが、協会の物を預かるわけですから、気を使わなければなりません。
1、パスワードの共有
ホームページを専門の業者に任せていない芸協のホームページは、現在、事務員と芸人数名がパスワードを共有しております。「芸協インターネット委員会」と名付けて、インターネットを駆使して協会並びに落語界を発展させるために集まったメンバーです。多数の人間が使う場合は特に強い管理意識がないといけません。意図しない所でパスワードが漏れる場合があります。たまにシステムを再インストールしなくてはならない場合があります。そういうような時にパスワードが漏れやすいのです。落語の関係ですから、パスワードが漏れたり、変えられたりした場合でも命に関わることはありません。だいたいは「洒落」で通りますが、これからは、命に関わる物や商取引でお金が発生する場合は、よほど気をつけなくてはなりません。さいわい、我が協会のホームページでは、現時点ではパスワード流出等のトラブルは起きておりません。
2、メインテナンスと更新の作業の割り振り
役割分担がされてますのでどこのページが誰がやるかは決まっています。ほとんどは私の管理でやっていますので、間違いは起っておりませんが、一度だけ、他の方が、下層ディレクトリのページをトップに載せてしまい、私の携帯へ電話がかかってきた事がありました。その時は、私は旅先で、どうする事もできませんでしたが、その方のパソコンにトップページのデータが保存されてましたので、ことなきを得ました。
人が管理しているページを手直ししたい場合は直した旨をメールで伝えるようにしています。そうしないと直したのを知らずに前のを上書きしてしまう事があります。別々に作業しているので、ちゃんと連絡を取りあわないといけません。
3、セキュリティ管理の問題
昨年暮れのコンピューターウイルスは、我が協会のパソコンにも被害をもたらしました。システムの再インストールはもちろん、業務に滞りが出て、郵便物の発送の遅延など、物理的、精神的にも協会事務員に大きなストレスを与えました。もう一つの大きなストレスは、ウイルス感染を知らずにアドレス帳に載せてある方へウイルスつきのメールを送ってしまったことです。一度目の時は、わたしから協会に電話をして「協会のパソコンがウイルスに感染している」と伝えました。それへの対応が遅れ、再度ウイルス付きメールをお客様に送ってしまいました。お客様からお叱りのメールが届き、メルマガとホームページ上でお詫びの記事を掲載しました。
So-netへ私から電話し、プロバイダーサイドでのウイルス撃退サービスの有無の確認をし、個人で対応しないといけない事がわかりました(今はSo-netはオプションでそのサービスをしています)。ワクチンソフトのダウンロードをし、現在は「ウイルスチェックをこまめにやる」「メールのアドレス帳を使わない」等の対策を立てています。協会事務員もあれにこりて意識を高めてくれたと思います。ハッカーのいたずらには、常に注意していないといけません。
4、情報の偏り
デジタルデバイド(パソコン、インターネットの有無による情報の偏り)が協会員にもあります。ただ、落語家の場合、存在自体が時代に乗り遅れてるような物で、今さら、驚かないのです。特に幹部の師匠は「パソコンなんぞにうつつを抜かしているから芸がまずいんだ」と言った感じで、危機感がないし、また、それが私などからみると一部頼もしい気もします。ただ、メールのやり取りが出来る人とのつながりが強く、どうしても、取り上げる話題がそういう人に限られてしまうのです。ホームページを管理している「芸協インターネット委員会」の周辺での話が多くなってしまいます。その他の方も色々とお客様に知らせたほうがいいだろうと思う、興味深い活動をしているのでしょうが、どうしても私たちの耳には届きません。
私は一応、この協会で一番パソコンとインターネットが出来る人間にされています。楽屋で「インターネットって何?、どう生かしているの?」って聞いて来る方とは自然とコミュニケーションが深くなり、記事になりやすいのです。また、そういう方は時間がかかっても自己のホームページを立ち上げます。
「インターネットなんて関係ないよ」と思っている芸人さんほど「昔気質の落語家」。愛されるべき気骨の持ち主なのです。私もそういうのにあこがれて噺家になったのですが、ご時世と私のむく方向が「パソコンの先生」にまつり上げられて、どうも、気骨な芸人と私の様な毛唐の文明の先棒を担いでいる人間を隔てて取材がうまく行かず、情報が集まらない傾向があります。これからも私自身の努力のほかに、インターネット委員会の人数が増えて、色々な情報が集まるようにしていくしかないでしょう。
どのメディアでもそうですが、載るか載らないかは情報量と編集者の好みとが強く出ます。そこの所をご理解いただきたいと思います。
つづく
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