大江戸演芸捜査網
〜楽屋口と客席の間で〜

(17) 2002.01.07 ■特集:落語協会ウェブサイト


新年特別企画第二弾は「落語協会ウェブサイト特集」。サイト運営の副編集長に語っていただきました。

(とりばかま)


「偉そうだけど、偉くないんです」

〜落語協会ウエブサイト・副編集長大いに語る〜


落語協会の公式ウエブサイト(http://www.rakugo-kyokai.or.jp/)について、何か言ってくださいと頼まれました。

本来ですとこういうものは、正式に協会の事務局を通していただいて、いろんな方の意見を交えて、社団法人落語協会としての公式なお話をしなくちゃあならないんですけれども、私に直接依頼が来て「いいですよ」ってんでこうやって書いてしまうという背景をまずご理解いただきたいと思います。

さて、落語協会の会員の中で協会ウエブサイトを見たことがある人はいったいどのくらいいるのでしょうか?半分いたらそれはものすごいことですね。そうあって欲しいものです。つまり落語協会のサイトというのはそういった中で運営をされているサイトである、というのが落語協会サイトの最大の特徴です。

ん、まずいかもしれない。このまま書き進めるとえらいことになりそうですね。気分を入れ替えましょう。

落語協会ウエブサイトは、ほとんどがボランティアによる運営です。運営のための予算は冗談だと思われるくらい少ないですから、サイトに関わるあらゆる人があらゆる方法を使ってお金を使わないように努力しています。

「だったら広告をいれたらいいじゃない」
そーんな安直な、ドットコム的な努力ではありません。
「だったら自分たちでやったらいいじゃない」
・・・もっと安直な、努力なのでした。

協会サイトは誰でも更新が出来るように設計されています。ただしこの「誰でも」というのがくせ者で、じゃあ誰だよ・・・ということになってきます。噺家がホームページを持つのはそんなに珍しいことじゃなくなってきましたし、ホームページを持ってるからって別にどうということはないわけですが、自分のホームページを運営しながらなおかつ落語協会の分までやってくれるという人はなかなかいないものです。

そこで「落語協会ホームページ委員会」というものが設けられています。三遊亭圓窓師匠をリーダーとして、編集長に春風亭正朝師匠、働き者の副編集長としてわたくし柳家三之助、そのほかにも10人程度の芸人が参加しており、時々会合を開いては

「うちのパソコンが調子悪くってさあ」
「そうなんすか」
というような真剣な議論を戦わせております。

それぞれが担当を持っていろいろとやっておりますが、なにせ技術的に素人集団、さっき「誰にでも更新」なんて書きましたがそれはパソコンを操れる人なら「誰にでも」というレベルの話でありまして、やっぱり芸人実働部隊としてはわたくしだけだったりいたします。

現在、キラーコンテンツとして力を入れているのは何だと思いますか。たぶんジャーナリスティックな視点からご覧になると「インターネット放送」という答えが返ってくると想像できます。でもそれは実は二番手以降です。

一番大事にしているのは「本日の寄席」(http://www.rakugo-kyokai.or.jp/koban.htm)。これは毎日の寄席興行で発生する出番の入れ替わりの告知です。花火が小さくてがっかりですか。でも、これは我々にとっては大切な事なのです。毎日毎日、こつこつこつこつ寄席に出演して、自分の芸を磨くのと同じように、毎日毎日少しずつではありますがみなさんに寄席に来ていただけるような努力の一つとして、代演の告知を行っております。

どうぞ寄席にお越しになる直前に、ホームページにてチェックしてください。「直前」というのがポイントです。寄席の番組というのは本当に直前まで確定しないものなのです。どうかすると、すっかり高座にあがる支度をしてからも「急ぐから先にあげとくれ」なんて出番が後回しになったりするのも寄席です。あ、これはいくらインターネットでも対応不可能ですね・・・。

その次に、寄席においでになれない、落語を聴いたことがないという方々に向けて「インターネット放送」(http://www.rakugo-kyokai.or.jp/inetrakugo/inetrakugo3.htm)というおまけがあるわけです。落語は生が一番だ、というのは一度でも落語を聴いたことがある方ならおわかりになると思いますから今更説明をすることはないのですが、見たことがない方には何とかしてトッカカリを作っていただこうというのが落語をネット配信する理由です。

ところが実際問題としてこの「おまけ」こそ、潜在的な市場規模が一番大きいなものなんですよね。この事はよく分かっているつもりですし、このネット配信については、現在様々な方面から様々なアプローチがあることも事実です。落語協会としてはもっともっと話し合いを重ねた上で、この部分だけはボランティアで行われることがないようにきちんとしたシステムを拵えて行かなくてはならないかなあと考えています。実は、動画コンテンツへの対応として密かにサーバーや回線を増強しちゃったりしています。してますが、それはハード面でのことです。それよりも大切なのがソフト面での整備ですから。それは落語の素材という意味でもそうですし、課金システムとか、著作権、放映料とか頭の痛くなる問題なども含んでいます。

「課金はするけど、最低限の経費としてお代を頂く」というところが、落語協会として行う落語ネット配信のぎりぎり上限かつまたぎりぎり下限だなあ、というのが私の個人的な意見です。もちろん、そこまでのシステムが出来上がるのもまだまだ努力が必要なのですが。

協会サイトには一つだけ、わたしの勝手なページがあります。「落語協会二ツ目ホームページ」(http://www.rakugo-kyokai.or.jp/futatsume/)というものが落語協会のディレクトリの一部を割いて運営されています。これは私が落語協会ホームページ委員のみなさんに直談判をして、はじめさせていただいたページです。ここの管理は私に一任されており、またデータの作成も全部私一人でやっているものです。覚えたホームページテクニック(ってほどのものはありませんが)を一番に試したりするのもここですし、忙しいときには更新もしないし、なるべく無理をしないようにして作っています。「二つ目」という真打目指して芸道に精進している若手の等身大の姿を「公式」というオブラートになるべく包まないようにしてお伝えできるように、協会ホームページのゲリラ的な存在になれるようにしてゆきたいと思っています。

落語協会のホームページの紹介をしようと思ったら、すべてを網羅できずに終わってしまいそうです。実のところ紹介というほどのものはそれほど必要ではありません。とにかくどうぞ一度のぞいてみてください。木戸銭は取りませんから、それから先はちょくちょくおいでください。で、何かご意見がありましたらば、ご遠慮なくメールを頂きたいと思います。私たちのサイトは、ちょっとだけプロの方に手伝っていただいていますが、大企業のホームページみたいに四六時中監視しているわけではありませんので「サーバー落ちてるぜ」なんてお知らせも大歓迎です・・・。ナサケナイ感じもいたしますが、実際そうです。まあ、落ちるのは大事ですから、落語のバヤイ。

社団法人落語協会ホームページ委員会 副編集長 柳家 三之助



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