(14) 2001.11.01 ■インサイド「WWW pages about RAKUGO」by ちば けいすけ
「WWW pages about RAKUGO」は、落語・演芸関係のリンク集としては最大・最強のものです。ただ単にアドレスを並べるのみならず、各サイトの経緯・変更等がわかる点が他にはない特徴として優れている点だと思います。
◆はじめに 私は「WWW pages about RAKUGO」という演芸に関するリンク集を、作成し、管理しています。ここでは、このようなものを作った経緯や、どのように維持しているかといったことについて書いてみたいと思います。何かに関するリンク集を、これから作ろうと思っている人や、現在管理している人にとって、参考になれば幸いです。 ◆歴史 最初はなんとなく作ってローカルディスクに置いた、自分のためだけのリンク集でした。1995年ごろ検索エンジンというものの存在を知り、検索エンジンを知った人が誰でもするように、自分の好きなものに関係ある言葉、私の場合は「落語」「寄席」「噺」などを、片っ端から入れて検索してみました。 そうすると、現在に比べてページの数自体がずっと少なかったとはいえ、何十という数のリンクが集まりました。そうなると当然、分類して簡単なコメントをつけたり、覚えたてのHTMLで体裁を整えたりしたくなります。また、面白いページを発見すると、人に教えたくもなります。 当時は自分のウェブサイトを持っていなかったので、現在も活発に活動している落語のメーリングリスト「熊八メーリングリスト」(以下熊八)で、新しく見つけたページをときどき紹介していました。それが1996年ごろです。ちなみに、「WWW pages about RAKUGO」というのは、そのときのメールのタイトルです。なぜ英語かというと、このころの電子メールは、ソフトによっては本文は大丈夫だけれど、タイトルに漢字が入っていると文字化けすることがあるから、熊八ではタイトルにはなるべく漢字を使わないようにしよう、という約束になっていたからです。そういう時代があったのです。 そんなことをやっていたら、熊八の管理人さんからメールがあり、ホームページをリニューアルするので、リンク集の作成に協力してくれないか、と言われました。そのときは既に私のリンク集も、目次や索引が整備されていて、自分だけが見るためにしては無駄にちゃんとしたものになっていました。そこで、せっかくだから、作ったHTML のファイル群を管理人さんにメールで送り、そのままアップロードしてもらうことにしました。それが確か1997年です。 それからしばらくの間、ときどき新しいファイルを送っては更新してもらうという状態が続きました。そして1999年、ようやく自分のウェブサイトを立ち上げました。熊八のリンク集は、依然として利用者がいるようなので、URLはそのままで私のサイトを参照するようにしてもらい、現在に至っています。したがって、現在熊八のリンク集と私のリンク集とは同じ実体を指しています(ミラーサイトではありません)。 ◆方針 編集やページのデザインなどの方針について説明します。 まず、載せる載せないの基準ですが、演芸に少しでも関係あればなんでも載せているというわけではありません。しかしながら、演芸の好きな人が興味を持つだろうと思われるページは、なるべく載せるようにしています。たとえ私自身に興味がない内容でも。リストが巨大なため、初めて見る人は途方にくれてしまうかもしれませんが、もし載っていたら絶対見に行ったはずのページを落としてしまうよりは、少しくらい余計なものが載っていたほうがいいだろう、と考えています。利用者がそこから取捨選択して、オリジナルのリンク集やブックマークを作ってくれればいいと思っているのです。 各ページへのコメントは、なるべく簡潔に、かつ客観的に書くように努めています。詳しく書かない理由は二つあります。ページが膨大な大きさになってしまうからということと、リンク先のページは内容が常に変化しているので、すぐに実情に合わなくなってしまうからということです。客観的に書くのは、リンク集の利用者に先入観を持たないようにしてもらうためです。とはいえ、感動のあまり、思わずほめてしまうことはありますが、批判的なコメントだけは書かないようにしています。欠点は見ればわかることだし、書いていても楽しくないし、あまりにもひどいものは、そもそも掲載しませんから。 ページが移動したり内容が大きく変わったりしたときは、気がつくたびにコメントを追加して対応しています。前のコメントを削除しないのは、それも資料として価値があるかもしれないと思っているからです。コメントを書いた日付を明記しているのも同様の理由です。また、ページが削除されたときにリンクをすぐに削除せずに「削除されたようだ」というコメントを追加していますが、それは、削除されたということも情報として意味があるだろうと思うし、また、一時的に読めなくなってもやがて復活するということがよくあるからです。困るのは、ページの作者の責任ではないのですが、内容が少しずつ変化していって、いつの間にか最初と全然違う性質のページになっている場合です。そういうときは、コメントをつける時期を逸してしまって、何も対応しないままになっていることがあります。 リンクするときにページの管理者に連絡するかという点については、基本的には、不特定多数の人が見ることができる場所に置かれているページは勝手にリンクしても構わないと解釈していますが、リンクしたことを隠しておく必要もないので、次のようにしています。
今のところ、リンクを拒否されたことはありませんが、リンクするならこのページではなくこのページにしてください、と言われることはときどきあります。そういうときはできるだけ希望に応えるようにしています。 視覚的なデザインは、実に素っ気ないものです。字ばっかりで絵がひとつもないし、背景や文字の色も指定していません。こうしている理由はいくつかありますが、最大の理由は、環境を選ばないようにするためです。人によって使っているOSやブラウザの種類、モニタの解像度などはバラバラです。また、字が小さすぎると読めない人や、画面の半分で仕事をしながらもう半分でブラウザを開いている人(私ですが)もいます。さまざまな環境にできるだけ対応しようとしたら、指定しないですむものは指定しないようにするのがいちばんだと思っています。内容は面白そうなのに、ブラウザがInternet Explorer でなかったり、OSが Windowsでなかったりするなど、本質的でない理由で見られないページがあるのは残念なことです。 ◆技術 情報収集やHTMLファイル作成に関する技術的なことについて説明します。 ページに関する情報をどうやって集めているかということは、ときどき聞かれますが、技術的に特別なことは何もやっていません。誰もが思いつくようなことを丹念にやっているだけです。すなわち、infoseekやgoo、googleなどの検索エンジンで「落語」をキーワードとして検索したり、他のサイトのリンク集や掲示板をチェックしているだけです。それだけでたいていのページは引っかかります。そんなことを長くやっていると、ここは毎日チェックすべきだとか、ここは週にいっぺんで充分だとか、そういうことがなんとなくわかってきます。それがノウハウと言えば言えるかもしれません。 メールや掲示板への書き込みで情報を提供して頂くことも、たまにあります。たいへんありがたいことですが、このページを立ち上げたときに期待したほど多くはありません。 苦労するのは、情報を集めることよりも、現在掲載しているページが閉鎖されていたり、移動していたり、内容が大幅に変わっていたりしていないかどうかをチェックすることです。見るたびに更新されているページもありますが、多くのページは、以前と変わっていないことをただ確認するためだけに見ているので、ほとんど単純作業です。しかし、私のページのいちばんの「売り」が、まめに更新をチェックしていることだと、自分では思っているので、一所懸命やっています。といっても最近は、掲載しているページの数が増えすぎたため、チェックがおろそかになる傾向があり、悩んでいます。 HTMLファイルの作成は、普通のテキストエディタで作成した一個の巨大なファイルを、自作のスクリプトを通して、セクションごとに分割し、目次と索引を生成する、というようにしています。 最初はLaTeX2HTMLという、LaTeXから HTML に変換するフリーのソフトを使っていました。学生時代からずっと UNIX を使っていて、職場でも報告書やマニュアルは LaTeX で書いていたこと、Emacs 系のテキストエディタとシェルを愛していたこと、非WYSIWYG ツールが好きなヒネクレ者だったことなどがその理由です。 LaTeX2HTMLはたいへんよくできているのですが、最初から印刷するつもりはなくて HTML にするだけの場合でも LaTeXで書かなければならないのは、面倒な上に制約もあったので、しばらく使ったのちに、自分でプログラムを書くことにしました。当時お気に入りだった(今でもそうですが) Rubyというスクリプト言語と、Ruby の拡張ライブラリとして提供されているXMLパーサに、自作のスクリプトを組み合わせたシステムを作りました。OSは最初 IRIX、それから Linuxを経て、現在は Windows Me ですが、このスクリプトはほとんど変更せずに今でも使っています。 ◆これから いま気になっているのは、前にも述べたように、内容がいつの間にか変わって、本来はコメントを追加しなければならないが、時期を逸してしまったというページが少なくないことです。いつか全体を改訂しなければならないと思っているのですが、横着なせいか、なかなか踏みきれません。 もうひとつの深刻な問題は、リストがどんどん大きくなって、いずれ私一人では管理できない大きさになるだろうということです。そうなったら、方針をガラリと変えて、特にお勧めのリンクだけを載せる、もっとコンパクトなページにするか、完全にやめてしまうか、どちらかを選ぶでしょう。もし同じようなリンク集を、演芸に詳しくて、長期に渡って保守してくれる人がいるなら、私はいつやめてもいいと思っているのです。 |
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