大江戸演芸捜査網
〜楽屋口と客席の間で〜

(9) 2000.10.15 落語をインターネットで(8)
 〜落語協会の場合(6)〜

(6)「インターネット」で客が引く?

一回目の「インターネット落語会」の時には、面白い(と言っていいのかな?)反応があったんだそうです。

「『インターネット』と高座で言うたびにお客さんがひいてゆく。インターネット落語会の楽屋で『今日はインターネットという言葉は禁句です』とお触れが出た」。
(「ぞろぞろ」 '00 陽春号)横目家助平さん「助平の二つ目日記」)

この時、助平さんは楽屋にいて、舞台裏を逐一見ていたそうです。

私は一回目の時は客席にいて、「全世界に中継されている」(当日の高座より)などという言葉を聞くとわくわくして、「インターネット」に無理にこじつけたようなくすぐりに思わず笑ったりもしてしまったのですが、改めてオンデマンドで中継を聞き直してみると、「インターネット」という言葉に反応する笑いの間が少々不自然気味に空いていたりしています。
演者にはそのあたりが「引いた」と感じさせるようなところがあったのかもしれません。その「引き」が楽しかった、というのはちょっとひねたとらえ方でしょうか^^;。

理由は「(客席が)ほとんど普通のお年寄り」(助平さん・上記文章より)、「平日ということで『インターネット』というものになじみのない,普段の寄席に来るようなお客さまが多かったからでは?」(落語協会・山形さん)

その教訓を生かして?か、二回目の中継の時には、高座では「インターネット」という言葉は出ませんでした。
唯一カメラの向こう、テレビではない、パソコンの前の観客を意識してたなあ、と思えた発言は、楽屋中継の時に、真打披露の主役のおひとり・林家たい平師匠がマイクの前で最初に発した一言。

「今日のインターネット中継のために自宅のパソコンをマッキントッシュに買い換えました」(*)

・・・ウインドウズユーザーの立場はどうなるんだあ、て気もちょいとばかししましたが、カメラの前の観客を忘れないその姿勢、さすが。
とはいえ、確かに「生中継!」と高座で連呼されると、後日ソフトとして二次利用などを利用する際に、時間的食い違いが出て不都合になるかな、と解釈したのですが、どんなもんなんでしょ。

(*)記憶モードで書いています。正確な言葉を覚えていらっしゃる方、もしよろしかったら教えてください。

「第一回インターネット落語会」(横目家助平さん「すけべえののぞきあな」)

(続く)

落語協会



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