大江戸演芸捜査網
〜楽屋口と客席の間で〜

(6) 2000.9.18 落語をインターネットで(5)
 〜落語協会の場合(3)〜

(3)楽屋生中継!

当日の生中継の目玉が、「真打昇進披露直前の楽屋生中継」でした。

なかなか見ることができない楽屋の中の様子をリアルタイムで見ることができる。しかも、それが新真打昇進披露の直前、というあわただしくも興味深い瞬間。そして、高座とは異なる素顔に出会える、という期待感。

ジャケット姿の春風亭正朝師匠のインタビューに、それぞれのスタンスで、それぞれの個性で答える出演者の皆さん。思わず正座してインタビューを受けてしまう柳家さん喬師匠のお人柄や、弟子の真打昇進の嬉しさが画面を通して伝わってくるこん平師匠。そして、インターネットの粒子の粗い画面からも、緊張が伝わる新真打の林家たい平師匠、柳家喬太郎師匠。

馴れ合いすぎずかしこまりすぎず、でしゃばらず埋もれずのインタビューは、楽しく見聞きすることができました。

本来は、楽屋中継レポーター正朝師匠と中継ブースにスタンバイしていた三遊亭円窓師匠とのやりとりなども予定していたそうです。しかし、「マイクコードの長さが足りない」という理由で断念。楽屋中継の楽屋裏は、ちょっと準備不足でどたばたしていたようです。

「楽屋生中継」はインターネット回線のみでの特別企画でした。しかも、現在、これも残念ながら、オンデマンドで見ることはできません。
「当日生中継で見てくださったお客さまだけへのサービス」(落語協会・山形さん)
だったんだそうです。そうと知っていれば…(どうにもならない)。

いちばんこの楽屋の様子を見たかったのは、初日の客席に詰めかけていらしたお客さまだったのではないでしょうか。

当日、鈴本演芸場の客席にモバイル機器を持って入った人はいたそうなんですが、生中継がある、ということを知らなかったので、会場で中継回線とつなげる、ということはなかったそうです。


中継をずっと見ていた側として、ひとこと感想を言うとすれば、生中継はとても楽しかったです。もちろん、客席の熱気がそのまま伝わってきた、とは言いません。当日客席にいた人でないとわからないものもあるでしょう。けれども、生の楽しさがあるけれども、足を運べない人にとっても、新しい関わり方がひとつ増えた、ということ。

たい平・喬太郎両師匠の真打昇進を祝うとともに、楽しみ方の選択の幅がひとつ増えたことも喜びたい。そんな自宅での夜席でした。

(続く)

落語協会



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