2009年2月第3週
2月に入って52歳になり、まさかこの年で舞台に立つことになるとは、と思いながら龍昇企画の稽古に通っている。いや、もちろん、舞台に立つのに年齢制限はないのだが(森光子さんのような方もいるし)、私の場合は、基本的には役者じゃないから。とはいえ、そんな気持ちで舞台には立てないので、演出家に「ヘタクソだなぁ」といわれながらも(笑)、本番に向けて、6年ぶりの本格的な稽古を、それなりに楽しんでいる。いや、楽しんでいるというのは嘘だな(笑)。とにかく、大変な稽古場で(笑)、いつもと勝手が違うことに戸惑っているような状態だ。まぁ、それぞれあるからね。私は夕方までスクールがあるので、どうしても稽古場に遅れて入ることになり、みんなに迷惑をかけている。それもつらい。
全体的に出来上がってきている中で、私のところだけが、まだダメダメなんじゃないかな(笑)。ま、詳しいことはともかく、本番まではまだ時間があるので、それまでには何とか、ね。ぜひ、その目で、私のヘタクソな役者もどきぶりを確かめに観に来て下さいな! 2月25日(水)が初日で3月1日(日)まで、神楽坂のシアター・イワト。詳しくは龍昇企画のホームページを御覧あれ。あ、来れる人は、私にメールでも下さい。左にある「何でもメール」で。役者・小松杏里なんて、そうそう観れるもんじゃありません。話のネタになりまっせ! 次はまた何年後になることやら。いや、もう役者やらないだろうな……。完全に宣伝と勧誘だな、こりゃ(笑)。
龍昇企画の龍さんとは、かなり古い付き合いだ。彼が、流山児★事務所の前身の、演劇団にいた頃からだから、30年近くになるかな。第二次演劇団の旗揚げ公演の『月蝕歌劇団』(劇団の月蝕歌劇団ではなく、高取英氏が書いた戯曲のこと)には、私も出演して、一緒に地方公演にも行ったりした。その後もお互いの芝居を観に行ってるし、龍昇企画の公演に出させてもらったこともある。龍さんに私の芝居に出てもらったことはないが(笑)。その公演、『まいらない男たち』の演出家が、今回と同じ、福井泰司さんなのだ。『まいらない男たち』が1988年だから、何と21年ぶりになる。その後、福井さんが演出をした龍昇企画の公演を観に行ったことがあるが、なかなか緻密な芝居だった。今回、そういうわけで出ることになったのだが、前述したように、21年前とは違うし、観るのとやるのとでは違うので(演出するのとやるのも違うし)、いろいろ苦労しているわけだ(笑)。
脚本の犬井邦益さんは、龍昇企画の旗揚げ公演(1985年)であり、私も大好きな作品、『風花の駅』の作者でもある(演出も犬井さんだった)。『風花の駅』は、龍さんと大鷹明良と宮村有紀の3人芝居だったが、今でもよく覚えている、いい芝居だった。もう24年前だ。
今回、龍さんと私以外の出演者は、流山児★事務所の栗原茂に阪本篤、元・黒テントの吉田重幸さんに、元・はみだし劇場の樫葉武司、それに女優陣が、北村魚さんに、青年団の堀夏子、大阪芸大で文学座研究所出身の日和佐美香に、道学先生のかんのひとみ。総勢10名だ。もちろん、龍さん以外は初共演。あ、かんのとは、螳螂で、私が演出家芝居で出た時に同じ舞台に立ってはいるが(笑)、役者同士としては、初めて。そう、何度も書いているかもしれないが、かんのは元・螳螂で、つまり、私の演出を受けていた。そんな女優と共演するなんて、不思議な感じだ(笑)。ただ……あ、ネタバレになるからやめよう。まぁ、元・螳螂の人たちが来たら、楽しいだろう。どういわれるか(笑)。そういや、この乾坤の最初の頃、かんのと龍さんが遭遇したことを書いたな。7年経って共演することになったわけだ。
というわけで、いろんなタイプの役者たちと緻密な演出で作り上げられた、ある土地の一夜の物語『風景の没落』。決して堅苦しい芝居ではないし、いろいろ今の時代に感じてもらえることもあると思うので、ぜひ観にいらして下さい!
そんな中、先週末の2月14日(土)のバレンタインデーには、大鷹明良と元・流山児★事務所の小林あや嬢の結婚披露パーティーがあり、龍さん、魚さん、樫葉と私の4人が今回の座組から参加した。当然、稽古はお休み(笑)。会場は、鶯谷にある東京キネマ倶楽部という大きなイベントスペースで、元グランドキャバレーだったというだけあって、舞台があり、客席も3階まである立派なところだった。大鷹の結婚は何回目だなんてことは別として(笑)、19の時から一緒に芝居をやってきた仲間、というか同志としては、今度こそ長続きしろよ(笑)、いや、幸せになって欲しいという思いで、やはり元・螳螂の妻と一緒に行ってきた。
大鷹とは、彼が高校を出て名古屋から上京し、明治大学に入り、螳螂に入団してからの付き合いだから32年になるが、88年に螳螂を解散してからは、それほど頻繁に会っているわけじゃない。それでもやはり、同志なのだ。話すとキリがなくなるのでやめるが、おそらく、一番純粋に演劇というものに向き合っていた時期に一緒にいた、と思う。いや、別に今が純粋じゃないというわけじゃなく(笑)、そう、青春ね、演劇が青春そのものだった時期、とでもいいましょうか。実際、演劇だけで結びついていたからなぁ、あの頃のみんなは。そして、いろいろあったからね(笑)。今回、結婚披露パーティーに行くにあたって、大鷹の最初の女房、というか、やはり螳螂の同志の、冬雁子ことガンちゃんのことを考えたが、おそらく、ガンちゃんも天国から母のように温かく見守ってくれてるんじゃないかなと思い、行く決心をした。ガンちゃんが亡くなって、もう4年になるしね。
会場に入ると、さっそく知り合いにぞくぞくと会った。受付で、ムーチョさんこと舞台監督の北村雅則さん、新白石さん、前田こうしんら、かつての演劇団メンバーに会い、すぐに魚さんや樫葉や龍さん、そして、螳螂の初期の頃にいた、大鷹の名古屋の高校の後輩、角田にも会った。今は名古屋でコンサルタント会社の社長をしている。名古屋に来たら御馳走しますよといわれた。行こう(笑)。そして、やはり大鷹の後輩で、東京に出て来て岸田理生さんの劇団に入った雛涼子も夫婦で来ていた。彼女も、螳螂の初期の頃、手伝ってくれたりした。他にも元・演劇団や流山児★事務所のメンバー(公演中の『オールド・バンチ』に出ていないメンバー)が多数いて、今や大阪の演劇界の重鎮となった小堀純氏が、挨拶で「演劇団の同窓会のようだ」といっていた。小堀氏は、大鷹のお兄さんの友人で、大鷹のことも中学生ぐらいの頃から知っている。大鷹のお兄さんは来ていなかったので、おそらくその日、会場にいる人間の中で、一番古くから大鷹のことを知っている人間だ。スピーチも「昔から目付きが悪かった」など暴露話ばかりで、内輪的には大受けだった(笑)。いや、私ばかり笑っていたのかもしれないが。私も大鷹と知り合ってから名古屋にはよく行っていて、小堀氏とはかなり古い付き合いだし(小堀氏は、最初は名古屋のプガジャにいた)、大鷹が東京に出て来てからに限れば、おそらく、その日の会場で一番古くから大鷹のことを知っている人間だったろう。ま、そんなことはどうでもいいのだが(笑)。
開演(?)前の会場内でいろんな人に挨拶をしていると、螳螂のメンバーにも会った。初期の頃のメンバーで、初演の『聖ミカエラ学園漂流記』で由紀さんをやった水生小夜(今はカメラマンの加藤孝さんの奥様)や、螳螂では美術、私が漫画の編集の仕事をしていたけいせい出版でも働いていて、その後、千野秀一夫人となった新井優子もいて、みんなで同じ席に座った。さらに、元・アリス出版の編集者で螳螂の制作もやってもらった小松克彦氏(同姓なので私の兄だと思っていた人もいたが、まったくの他人)や、螳螂にいた役者の渡辺敬彦や新童龍二もいて、楽しく飲みながらいろいろ話した。今は高円寺のあづま通りで「ヨーロピアンパパ」という中古レコード屋を経営している新童は、ステージでギターの生演奏も披露した。螳螂でも月光舎でも音響をやってもらっていた松本昭氏や奥さんの青蔭佳代さんにも会い、「芝居やってよ」といわれた。いや、やりたいのは山々なんだけど、いろいろとね(笑)。他にも演劇関係者がたくさん来ていて(演劇人同士の結婚なのだから当然だが)、ステージではいろいろ演奏や祝辞をやっていたらしいのだが、話に夢中で、ほとんど観ることが出来なかった。坂手洋二から、ドイツで、螳螂にいた原サチコに会ったという話も聞いた。原はドイツ人と結婚してドイツに行ったのだが、ドイツでも女優をやっている。う〜ん、観てみたい(笑)。そうそう、V6の三宅健も来ていて、妻も含めた女性たちは、年甲斐もなく(笑)、ソワソワしていた。写真を撮ろうと思ったが、ジャニーズは、きっとマネージャーか誰かにダメだといわれると思って撮らなかった。三宅健は背も顔も小さくて、かわいかった。彼女らしき女の子といたなぁ(笑)。
結局、あっという間に3時間が過ぎてお開きになったのだが、帰る時は、出口で二人に会うのに長〜い行列が出来た。一体、参加者は何人ぐらいいたのだろう。大鷹とは、最後にちょっと話が出来ただけだったが(いろんな人と話していて、途中で二人に会いに行っている時間が取れなかった)、まぁ、龍昇企画の芝居も観に来るといっていたし、会おうと思えばいつでも会えるので(といいながら、なかなか会えないのが人の常)、ゆっくり二人と話したい。そういや、ウチの長男は、すでに二人と同じ席で飲んで、大鷹に「まさか、小松の息子と飲めるとは」と感激されたらしい。あや嬢のことも、いい人だったよ、といっていた。その長男は、今、東京ギンガ堂の芝居の仕事で、山口県の宇部に行っていて、3月の20日過ぎまで帰って来ない。この結婚式にも誘われたが、行けなかった。そういや、大鷹の娘は来ているのかなとも思ったが、わからなかった。ウチの次男と一緒だから、もう18になるはずだ。まぁ、そこら辺の事情は、よくわからん(笑)。当然、前の奥さんも来ていなかった、と思う。
その日は、2次会が新宿で開かれるということだったが、体調もあまりよくなく、すでに酒も飲み過ぎたし、充分楽しませてもらったので、加藤さん夫妻らと一緒に、そのまま帰った。後で聞いたら、2次会には、『オールド・バンチ』の公演を終えた流山児さんや塩野谷さんたちも来たらしい。龍さんも、朝まで飲んでいたといっていた。行かなくてよかった(笑)。
というわけで、来週はスクールの方は長い休みをもらって、月曜日から小屋入りだ。次回の乾坤は初日が開けてからだな。くれぐれも、シアター・イワトで、お待ちしてます!
(2009.2.21)