「演出家のためのワークショップ」が終わった。その内容やレポートについては、主催であるFPAPのサイトで報告されているので、ぜひ見ていただきたいと思う。とりあえず、先週から今週までの動きを、久しぶりに日記形式でまとめておこう。
■6月3日(日)
福岡での「演出家のためのワークショップ」第1週、最後の日。13時から福岡市民会館で各ユニット毎の通しを観た後、演出家にアドバイス。その後、全体でテクニカルな部分での打ち合わせをし、17時に終了。最後に、次週までにやっておくべきことを伝え、解散。その後、FPAPの高崎氏と「福岡演劇のひろば」15回目のオフ会の会場、“瑛琳”に向かう。私は、送別会をしてくれた去年の3月以来、1年3ヶ月ぶりの参加。とはいえ、「演出家のためのワークショップ」のメンバーもいるし、3月に来た時に飲んだメンバーも多いので、あまり懐かしいという感じはしない(笑)。主宰の薙野さんとも、去年、横浜や下北で会っているし。これはつまり、福岡は私にとって「懐かしい」と思うところではなく、当たり前のような場所になっているってことか。うれしい。“瑛琳”の中国・山東省の料理は、2004年の忘年会以来だが、相変わらずおいしく、他とは違う味の紹興酒もガンガン進むが、アッという間に飛行機の時間が近づく。もっとおいしい料理をたくさん食べたかったが、残念ながら今回は車のため一緒に飲めなかったハンキンさんに、空港まで送ってもらう。JALの最終便のひとつの前の便で、無事、帰京(最終だと、飛行機が遅れると電車で家に帰れなくなる!)。
■6月5日(火)
韓国の女優コ・スヒの友人で、現在東京に住んでいる留学生のキム・ミソンから連絡があり、6月中旬から大阪に行くことになったというので、その前に飲もう、ということにする。で、この日、授業の後、清水夫妻を誘って高円寺の“抱瓶”で沖縄料理を御馳走することにした。“抱瓶”は、高円寺で芝居をしていた80年代初めの頃から来ているが(30年近くになるかぁ!)、ここの沖縄料理は本格的でおいしい。行く途中、高円寺の駅でお相撲さんを発見。ミソンがびっくりしていたので、記念に一緒に写真を撮ってもらう。春日野部屋の浴衣を着ていた若い二人の力士は、快く写真に応じてくれた。出世したら貴重な写真になる。頑張れ! “抱瓶”では、最近、沖縄によく行く清水夫妻のお薦めの沖縄料理と泡盛をガンガンいく。ミソンも20歳だというのに、結構強い(笑)。ミソンは大阪の後、福岡や札幌にも行くといっていたので、各地の友人たちを紹介するから会うように、といっておく。私も、その時期に合わせて福岡に行きたいなぁ。来年は韓国に帰るというミソンは、ソウルの演劇のメッカ、大学路[テハンノ]に住んでいるというので、ソウルで一緒に芝居を観に行く約束をして、別れる。
■6月7日(木)
この日、PS2用のとあるゲームの声優のオーディションに学校の在校生も参加出来ることになり、急遽、内部オーディションを行う。もちろん、プロの仕事だから、それなりの力が必要とされるわけだし、急な日程(翌日が本選のオーディション)にも合わせられないといけないし、制約は多い。結局、その日授業があった午後・夜間クラス、それと土曜クラスで選んで連絡して都合がついた子の中から、男女15人ほどを選んだ。オーディションを受けたのは35〜6人。最終的には男子2名、女子1名が選ばれるようだ。あ、もちろん選ばれないかもしれないが。ただ、翌日の本選、私は立ち会えなかったが、後で立ち会った人に聞いたところ、みんな意外に出来るので驚いた、といわれたそうだ。そりゃ、厳しく選んだメンバーだからね(笑)。これからはさらに、意外に出来ると驚かれる子を増やさなきゃ!
■6月8日(金)
この日から「演出家のためのワークショップ」第2週が始まる。先週と違って余裕を持って家を出て、3時発の便の40分前には羽田空港に着いた。ところが、予約チケットを受け取る手続きが面倒臭く、ゲートラウンジに入れたのは、結局、出発15分ぐらい前。いやぁ、先週はかなり優遇(?)された、いや、大変だったってことなんだなぁ。すみません。今週は、福岡空港に着いてもハンキンさんの出迎えはなし(笑)。いや、笑い事じゃなく、参加ユニットのメンバー(役者)の一人でもあったハンキンさんは、4日に事故にあって入院してしまい、参加出来なくなったのだ(ユニットの方は、結局、代役を立ててやることになった)。
福岡空港からは地下鉄で天神に出て、ホテルにチェックインし、19時から“ゆめアール大橋”で稽古。広い稽古場の一部を幕(ここでの発表公演等で使う緞帳)で区切って、他のユニットに見せないようにして(笑)、というか、他のユニットが気にならないようにして、1ユニットずつ、稽古場ゲネ。途中、ギンギラ太陽’sの大塚さんが見学に来てくれて(本番は観れないので、ということで来てくれたのだが、うれしいことだ!)、11月の新作公演はぜひ観に来たいし、東京公演も待っているという話をした。この日は、他にも何人か見学者がいた。確かに発表公演を観るのもいいけど、ワークショップをやっているところ(どういう風に作られていくのかというところ)がメインだからね。といっても、演出家のダメ出しへのダメ出しの部分は、あまり公開しなかったけど(笑)。最後に主催者側から翌日の段取りの話があり、私も最終的に確認してほしいことを伝えて、本番前のワークショップは終了。本番の発表で終わりではなく、本番の翌日にもワークショップがあるのだ(笑)。
その後、先週、飲むことが出来なかった代アニ福岡校の春日先生に連絡をしたら、まだ他の先生方も残業をしているというので、博多駅近くで飲もうということにし、私の大好きな“ふとっぱら”で、春吉店と並んで行っていない博多駅前店に行くことになった。結局、12時近くになって柳瀬先生や佐々木先生、黒岩先生や大野先生らが揃い、2時ぐらいまでみんなで飲みながらいろいろ話をした。今年の4月から声優科の先生になった、元・教え子の葛西とも久しぶりに飲んだ。そこからさらに、春日先生と中洲の辛麺・桝元に行ったが、すでに店が閉まっていたので、結局、行きつけの中洲の“ふとっぱら”に行き、改めて店長に挨拶をして、新しい名刺交換をした。福岡は離れましたが、年賀状とか送って下さいね、とかいって(笑)。3時頃にホテルに帰って、もちろん、爆睡。
■6月9日(土)
「演出家のためのワークショップ」の発表本番日。9時から会場である大野城まどかぴあ小ホールの仕込みで、私は高崎氏にゆっくりでいいですよ、といわれていたのだが、早く行くつもりでいた、が、やはりダメだった。結局、連絡を取り、各ユニットの場当たりに間に合うよう、昼過ぎに着いた。大野城まどかぴあは、福岡にいる頃、芝居も何回か観に行ったことがあるし、代アニの入学式もやったし、私自身、簡単な講演のようなこともやったことがある場所で、かなり親しみがあるところだ。まどかぴあには西鉄の春日原駅から行くのだが、駅を降りてまどかぴあに向かうところに並んでいる商店に、なぜか八百屋がやたらと多いことに気がついた。なぜだろう。しかも、それぞれ、おいしそうな野菜が並んでいて繁盛している。それと、頭上を飛行機が飛んでいくのだが、すぐ近くなのだ。しかも車輪を出している。そう、福岡空港に着陸する飛行機が博多湾の方から来て、ちょうど迂回する場所が、大野城の上なのだ。前に、飛行機の窓から見たことがあったのを思い出した。
小ホールは客席数118の手頃な大きさで、どこからも観やすい。各ユニットは、前日の最終稽古後に決めた順番(演出の傾向や全体の構成を考えて決めたのだが、結果、女性演出家の作品が3本続き、休憩を挟んで男性演出家の作品が2本という順番になって、おもしろかった)で場当たりをし、その後、すぐにゲネプロに入った。この辺りの時間は、演出家というのはただひたすら観ているしかない。しかも、私は直接役者にダメ出しも出来ないし、演出にも直接タッチ出来るわけではないので、かなりストレスが溜まった(笑)。要するに、必要以上に疲れてしまったのだ(笑)。やはり、演出家は、というより、私は、動き回っていないとダメだね(笑)。
ゲネプロ、本番とすべてのユニットを観て、その後、私と5人の演出家との簡単なアフタートークがあった。このアフタートークは、ウェブラジオで配信されたらしいのだが、聴いてくれた人や録音した人がいたら、うれしい。そこでもいったのだが、今回の「演出家のためのワークショップ」の意義は、それこそいろいろあった。そして何より、それらを次につなげていくことが大切なのだ。その辺りは、改めて別の機会にでもまとめたいと思う。アフタートーク後、片づけをして、小ホールのロビーで、希望する観客も参加しての初日乾杯。代アニの卒業生や、福岡の演劇関係者、他にも懐かしい顔などたくさんあり、また新たな交流も広がった。劇場を出た後は、10時ぐらいから近くの居酒屋で打ち上げ。西鉄の最終電車が早いこともあって、あまり話せないかなとも思ったが、結局、最終電車は無視して居残り、最後は、高崎氏とタクシーで、もうどこにも寄らず(笑)、ホテルに帰館。発散出来ない疲れが溜まっていて、もちろん、爆睡。
■6月10日(日)
「演出家のためのワークショップ」最終日。13時から福岡市民会館。本番発表をすれば終わりじゃない、というのが今回のワークショップのミソ(笑)。まずは、観客のアンケートをみんなで回し読みし、各ユニットの演出家が、今回の感想を発表する。観客のアンケートで辛辣な意見が書かれているユニットもあり(確かに5ユニット観比べられるわけだから)、感想も演出家によって様々。悔しい思いを涙を流さんばかりにぶつけているところもあった。その後、私の全体的な講評。こういう試みは、観客にとってのワークショップでもあるわけで、あまり観客のアンケートは気にしない方がいい、と発言。逆に観客の程度がわかっておもしろい、とも。実は、これはいつもアンケートを読んで思うこと。もちろん、観客の意見はある意味大切だが(特に制作的には)、理解力のない観客に作品そのものをわかってもらおうと思う必要はない、理解力のある、わかってくれる人の意見(批判も含め)を大切に受け止めよう、とさらにいう。
休憩を挟んで、私が観ていて気になったところを実際に演出していくという試みを行う。ようやく、私も動けた(笑)。各ユニットの作ろうとしている世界を生かしながら、また、全然別の捉え方も出来るということなどを、各ユニットの役者たちに出てもらって実践。勢いに乗って、萌えギャルのキャピキャピぶりまでやってしまった(笑)。すぐ息が上がったけど(笑)。そんなこんなで、ワークショップ終了。主催のFPAPの高崎さんが、またやって欲しいという声が多いので考えます、といってくれたのでホッとする。いや、別に私が講師じゃなくても、こういう試みはどんどんやればいいと思う。
みんなと名残惜しみながら挨拶をして別れ、飛行機の出発便まで時間があるので、今回の福岡行きで食べていない焼き鳥を食べたいと思い、『豚とオートバイ』組の劇団HoleBrothersの幸田君と萩原嬢に博多駅まで車で送ってもらう。残念ながら行きつけの“太一”は日曜で休みだったので近くの焼き鳥屋に入り、焼き鳥と酢モツで3人で一杯飲みながら話す。HoleBrothersの次の公演(7月)を観に来てもらえるのなら泊まるところは何とかしますよ、といってくれたので、ちょっと心が動く。7時過ぎに2人と別れて福岡空港に行き、帰りは久しぶりのANA便で帰京。東京は雨だった。
というわけで、正式名「小松杏里の演出家のためのワークショップ」は、無事、終了して帰京したわけだが、その後、身内にいろいろあったりして、今週もバタバタと動き回っている。来週も、もしかすると遅れるかも知れないが、御容赦いただきたい。ま、必ず書くので。芝居も、知り合いの芝居が何本かあるのだが、行けないかもしれないし。そうそう、ミソンとも、大阪に行く前に韓国料理を教えてもらう話もあったのだが(彼女は料理の学校に行っていた!)、それもキャンセルした。実は今、私より長男の方が、夏の椿組の公演の手伝いに行ってたりして、演劇の現場に近いところにいるのだ。帰って来て、楽しそうにいろんな話をする。ちょっとうらやましい(笑)。その話は、また来週にでも。
(2007.6.13)