2004年4月第1週

 福岡の天気は安定せず、というより、全国的にそんな感じですが、やはり春は三寒四温でやってくるんですね。そんな中、5日にはメルパルクホール福岡で学院の入学式が行われました。2月には蜷川演出の『タイタス〜』や東京ヴォードヴィルショー、つい10日ほど前には大竹しのぶの『太鼓たたいて〜』が上演されたところです。学生たちや他の先生方はどう感じたかわかりませんが、私は演劇ミーハーになった感じでなんかうれしくて、袖付きを担当したこともあり、舞台裏や楽屋の隅々まで見て回ってしまいました。どういう風に建て込んでいたんだろうとか、どこが誰の楽屋だったんだろうとか考えたりしながらね。劇場っていいなぁ、やっぱり!

 それはさておき、先週に引き続き、今週も韓国編をお送りします。

 毎回、行動の内容が濃くなる韓国行きですが、今回は特に、というか目的がはっきりしていたので、実に充実した三日間を過ごすことが出来ました。映画は『ブラザーフッド(太極旗を翻して)』と『シルミド(実尾島)』は必ず観ようと思い、演劇は少なくとも『三銃士』と『男子衝動』は観て、時間が合えば『裸婦像画』も観たいと思っていたんですが、映画はその2本プラスもう1本、26日に公開されたばかりの『9歳の人生』を観ることが出来ました。映画に関しては、別の場でゆっくり書きたいと思うので、ここではやはりStagePowerにふさわしいように、演劇の話を中心に進めますね。しかし、『ブラザーフッド(太極旗を翻して)』も『シルミド(実尾島)』も、6月に相次いで日本でも公開されますが、これでまた韓国映画ファンが増えるでしょうねぇ。どちらも、ここまでやるか! という映画で、役者たち(男優ばっかりですが)の魅力爆発の上に、たっぷり泣かせてくれます! 先に『シルミド(実尾島)』が、そしてさらに『ブラザーフッド(太極旗を翻して)』が、韓国映画界の興行記録を次々と塗り替えた、まさに韓国映画の王道で、2作品とも内容はかなり深いものがあるんですけど、しっかりエンターティメントに仕上がっています。その合間に見た『9歳の人生』も、韓国のアジュンマ(おばちゃん)が強いのは少女の時からなんだということがわかり(それだけじゃありませんが)、とっても良かったんですけどね。マドンナ少女役のイ・セヨンちゃんは、『秋の童話』のムン・グニョン(最新作の映画『幼い新婦』がまた良さそう!)に続いて期待したい少女女優(?)です! 詳しくはKoreanriから。

 さて、演劇はまず、ソウルに着いてすぐ電話連絡をし(その前に日本からメールも送っていたんですが)、その夜に観に行ったのが、パク・グニョン氏が作・演出の『三銃士(サムチョンサ)』でした。『三銃士』といっても、デュマの小説とは関係なく、パク氏のオリジナル劇。母親が違う三人の姉弟(姉と弟二人)が一緒に住んでいる家の話で、韓国ならではの家族の絆が描かれています。パンフレットには台本も載っているので(韓国のパンフはそういうのが多いようです。『男子衝動』も)、少しずつ訳していき、三人だけの芝居なので、いい役者を使って、いつかやってみたいとも思いました。劇場は大学路の一番南端にある大学路劇場。100人も入ればいっぱいの小劇場です。パク・グニョン氏は乾坤にも名前が何度も登場している友人の韓国の劇作家で、前回行った時には、彼が演出した『カリギュラ1237号』を観ることは出来たんですが、会うことは出来ず、今回、韓国現代戯曲ドラマリーディングの後に鎌倉に行った時の写真も渡そうと思って持って行きました。『三銃士』は、アリスフェスティバル以来、交流のある劇団東崇(トンスン)舞台にいた役者で友人のオム・ヒョーソプと、月光舎内では「韓国の佐藤誠」と呼ばれていた(韓国に行くと、知り合いにそっくりな人が多く、「韓国の○○」と我々は呼んでいます)、やはり元・東崇舞台のイ・ギュヘがダブルキャストで主役を務めていました。私が観た時はオム・ヒョーソプ版でした。この舞台で姉を演じていたコ・スヒは、私の大好きなペ・ドゥナ主演の映画『ほえる犬は噛まない』でペ・ドゥナの親友役で出演していた、とても存在感のある女優さんです。公演が終わって近くの、映画人や演劇人の溜まり場のようなビアホールにみんなで飲みに行き、やがて、前日に、演出を担当しているミュージカルの『裸婦像画』が始まったばかりで何かと忙しい(始まっても変更やらなんやらいろいろあるようです)パク氏も現れ、久しぶりに一緒に飲むことが出来ました。そして、演劇のプロデューサーや役者など新しい友だちも紹介してもらい、韓国演劇界や映画界との交流はさらに深まっていきました。

 韓国の友人たちと飲んでいる時は、切り上げる時にははっきりいわないと、朝まででもずっと付き合ってくれるんですが、翌日のこともあるので、この日は早めに、といっても夜中の2時ぐらいにみんなにお別れをして、タクシーで明洞の宿泊先(今回は鶏林荘旅館[ケリムジャンヨグァン]というところにしたんですが、一日中動き回っててただ泊まるだけなら、とにかく便利で最高の環境でした! しかも一泊一部屋二人でも3.000円!)まで帰りました。タクシー代は360円。ちなみに映画は700円です。

 翌日は昼間、韓国でDVDやVCDを買うなら一番安いテクノマート(前にも書いたかもしれませんが秋葉原が大きなビルの中に入っているようなところで、江邊[カンビョン]というところにあります)まで行き、たっぷり買い物をして、映画を観て、一度旅館に戻って荷物を置き、夜、前日約束をしていたパク氏に会い、チョウ・ガンファ氏が作・演出の『男子衝動』を観に行くため、再び大学路に向かいました。ところが、すごい役者たちがたくさん出ていて人気の『男子衝動』は、東崇アートセンターという大きな劇場にもかかわらず、土曜日の夜ということもあって満席だということだったんですが……う〜ん、さらに長くなりそうなので、この続きは、また来週! これがまた素晴らしい舞台だったんですけどね! てことは観れたってことなんですが。

 そうそう、新しい写真もちゃんとスターショットで撮ってきたんで、模様替えしてもらおうと思ってますが、もうょっと待って下さいな。やはり、もう少し暖かくなってから……関係ないか。

(2004.4.6)


前週
週刊FSTAGE掲示板