2002年11月第2週

 ハプニング続きの韓国から、先週の金曜日、無事帰って来ましたよぉ。行きはやばかったビートル号も帰りはすこぶる快適。静かな波の上を滑るように走っていると新幹線より揺れは少ないし、やはり波の高い日が揺れるということで、普通なら気持ちいいぐらいなので利用者が多いということもわかりました。ビートル号の当たり外れは心配だけど、韓国内の鉄道を使っていろいろ地方も周ってみたいという人には、コリアレール・パスは絶対お薦めですね。

 韓国へはこれで三通りの行き方をしました。まずは成田空港から普通に仁川空港(その前は金浦空港)まで。あ、釜山の金海空港に行ったこともありましたね。それから、羽田空港から関西空港に行って乗り換えて仁川まで。そして今回の羽田から福岡に行って、博多から釜山までビートル号で。船は下関からの関釜フェリーも有名ですが、最近は大阪や広島からも釜山行きがあるし、小倉から蔚山(ウルサン)までの便もあります。

 どの行き方がいいかというと、私は家が神奈川なのでやはり成田は遠いし、運賃も高くつきますね。便の接続がうまくいけば羽田→関空→仁川がいいんだろうけど、私が行った時は時間が合わなかったので大阪で一泊してしまいました。ま、そのおかげで大阪で友人と飲むことも出来ましたが。そうそう、週末には羽田から直接行けるチャーター便も出てますね。ただ、ちょっと割高みたい。飛行機だと空港での入出国のチェックがかなり厳しいですが、今回の船便は呆れるほど簡単でしたね。おい、ほんとにいいのかよって感じで、ただ普通に改札口を通るのと同じ感覚。それに、持ち込めるのは手荷物一個でそれ以上はお金を取られるって書いてあったんで覚悟してたんですが、それもなし。韓国のおばちゃんたちなんかダンボールいくつも持ち込んでましたもん。帰り、釜山港を出ると海の上なのに、すぐ日本の携帯電話が通じ始めたのもびっくりしました。ホントに近いんですね、韓国は。

 さて、どうしても食べ物の話が多くなりそうなので、その話はまた次回にでもまとめるとして、先に演劇の話から。

 今回は来年の公演日程を決める打ち合わせのための訪韓だったので、かなりタイトなスケジュールでしたが、何とか芝居を一本観ることが出来ました(残念ながら映画は観れませんでしたが……クシュン)。

 10月の韓国現代戯曲ドラマリーディングで取り上げた『代代孫孫』の作者であり、鎌倉を一緒に散策してラムネの瓶を見て喜んだパク・クニョン氏(※10月3週参照)が演出した『カリギュラ1237号』という作品です。作者は、今年の春にも床屋を舞台にした『理髪師薄給区』という芝居(ちょうど5月の月光舎と同じ時期にやっていて観ようと思ったが観れなかった)で話題を呼んだコ・ソヌン。アゴ・カンパニーという劇団で、大学路(テハンノ)のアルングジ小劇場で11月7日から始まったばかりなので、まだ一週間も経っていませんでした。

 『カリギュラ』といえばカミュの戯曲が有名で、私も好きな作品のひとつなので興味を持って観たのですが、いかんせん言葉が詳しくわからないので細かいところは理解出来ず、悔しくて悔しくて。舞台は近未来のテーマパークで、リストラされた男がある一定時間だけカリギュラになれるというプロクラムを試すというもので、その中でいろいろな人間の本性が出て来るというもののようです。主演のパク・チイルの、最初は気の弱そうな男から次第に暴君へと変貌していく演技の素晴らしさに引きずりこまれ、何ともいえない感動を覚えました。道化が出て来たり、笑えるシーンも結構あり、韓国の観客たち(若い観客が多かったです)は楽しそうに笑ってましたが、こっちは言葉がわからないので真剣に観入ってるだけ。でも、そのことで逆に非常に演劇的な観方が出来て、その後に続く残酷なシーンなどを観てニヤリとしながら楽しんでました。とにかく、一人の男が主人公で、愛憎や狂気や残酷さなどの人間性が描かれていて、社会に対する批判性もあるという、私の大好きな世界なんですよ。う〜ん、パク・グニョン氏はこういう芝居の演出もやるんですねぇ。いずれ、彼とも詳しく話してみたいですね。この舞台は12月1日までやっているので、演劇好きな人でソウルに行く機会のある人はぜひ観に行ってみて下さい。

 ところでインターネットで調べると、12月や1月は2万円以下で行けるチケットも出てますね。また行っちゃうおうかな……でも、その時期のソウルは厳寒だしなぁ。

 韓国編、来週も続きます!

(11.18.2002)

(つづく)


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