2003年3月第1週

 花粉症がひどくなってきました。不精して医者にも行っていない私の対策は、もっぱら昔の仮面ライダーの口のようになる紙マスクのみなんですが、先日、小田急線の売店で『杉花粉飴』なるものを見つけて試し始めました。これには「杉花粉と体を仲良くさせる飴です」と書いてあり(一瞬、えっ、そんなの嫌だと思いましたが)、「1日2個を目安にお召し上がりください」ということなんですが、原材料として、杉花粉と杉葉が入ってるんです。つまり、身体の中に抗体として杉花粉を取り入れちゃうってことなんですね。ワクチン飴みたいなもんですか。味はお茶の飴みたいな感じです。効果の方はまだはっきりとはわかりませんが、幾分和らいだような気もします。興味のある方は小田急線のホームで買って下さい。あ、100g(20個ぐらいかな)で300円でした。

 さて、先週は試写会で久しぶりに韓国映画を観て来れました。昨年10月の韓国現代戯曲ドラマリーディングのアフタートークの時に私が紹介したチャン・ジン監督の『ガン&トークス』です。いやぁ、お気に入り韓国映画がまたひとつ増えました!

 この映画の一般公開は3月21日(金)からで、詳しくはオフィシャルサイトを見ていただくとして、私も日本語字幕なしのVCDでは何回か観ていたんですが、やはり、チャン・ジン作品は台詞のおもしろさがわからないとだめですね。いえ、映像も音楽も素敵で、特に映像は、撮影監督が、もし私が今度映画を監督するなら韓国から呼んでも撮影をお願いしたい大好きなホン・ギョンピョ(『イルマーレ』や『ディナーの後に』や『反則王』も彼の撮影)で、また、カッコイイ男優たち(ま、いわゆるミーハー的一番人気はウォンビンでしょうが、他の男優たちも実に魅力的ですよ)を見ているだけでも楽しいんですが、韓国現代戯曲ドラマリーディングの『無駄骨』でもわかるように、シチュエーションを裏切るような台詞のおもしろさがチャン・ジン的世界の一番の魅力だと思うので、日本語字幕付きで観て、100倍楽しめましたね! この字幕がまた簡潔でわかりやすく、しかもチャン・ジンのエスプリをしっかり残しているので、とてもよかったです。

 内容は、「劇場の大観衆が観ている中で殺してくれ」(クライマックスです!)とか「左手だけを失くしてくれ」(この実行シーンのシン・ヒョンジュンの表情がいい!)とかいう、どんな殺し方の依頼にも応えるという4人の殺し屋の話で、「え〜っ、人殺しの話なんて嫌っ!」という人もいるかもしれませんが、この4人がカッコイイけど実に人間味溢れる連中で、いきなり愛に目覚めてみんなで感動して、殺しの依頼を断りに行ったりしちゃったりするわけです。しかも、4人とも美人ニュースキャスターに憧れていてテレビの前でニヤニヤしながら手を振ったりする始末。だから、殺し屋の話だからといって必殺仕事人のような殺しのシーンに期待してはいけません。といっても、殺しのシーンは充分スタイリッシュでカッコよくて楽しいんですが。これは別に人を殺すことがいいといってるんではありませんよ。まぁ、そのことについては、最後にチャン・ジンらしい、いい台詞があるんですが。

 私がこの映画をお気に入りベストに入れた理由は、ひとつには絞れません。というより、個人的に好きなシーンがたくさんあるのがこの映画に惹かれた理由ですね。好きなシーンは観直す度に増え、結局は全編が好きになってしまった感じです。

 そしてもちろん、男優たちがみんないいのも惹かれた理由です。シン・ヒョンジュン、シン・ハギュン、チョン・ジェヨン。ウォンビンもミーハー的にだけでなく、なかなかいいですよ。中でも私は、4人の殺し屋を追うチョ特捜検事役のチョン・ジニョンが今回は一番好きですね。彼も、私が好きな韓国の役者たちと同様、舞台出身で、昨年の10月第5週に紹介している『達磨よ、遊ぼう』でも僧侶役でいい味を出してました。しかし、彼を見ていると、どうしても杉本哲太を思い出してしまうんですけどね。

 韓国映画の星取表でいうと、『ガン&トークス』は当然、★★★★☆です。

 今年はすでに、これまた私のお気に入りの『猟奇的な彼女』(これも★★★★☆!)も公開されてヒットしているようですが(観てない人はぜひ観て下さいね!)、『猟奇的な彼女』は笑えて泣けるという、まぁよくある映画といえばそうなんですが、『ガン&トークス』は泣きながら笑える映画です。こういうのは、まぁあまりないですね。ぜひ劇場で泣き笑いして下さいな! もちろん、それだけじゃないですけど。

(2003.3.11)
(つづく)


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