2002年10月第5週

 先週も韓国映画を何本も観に行かなくちゃならない中、地元のジュニア演劇ワークショップの発表会も、新生オキナワ月光舎の12月公演の台本も、韓国とのメールやFAXでのやりとりも、何とかギリギリで終えることが出来ました。でもそのお陰で、週末と連休に行こうと思っていた芝居を観に行けなくなってしまい、関係者のみなさん、すみませんでした。今週末と来週の舞台も、韓国に行ってて観に行けません、悪しからず。

 さて、先週観た韓国映画は結局6本でした。東京国際映画祭が『結婚は狂気の沙汰』と『復讐者に憐れみを』。

 『結婚は狂気の沙汰』については月光舎のBBSにもちょっと書いたけど、★5つ満点(☆は★の半分)で★★★ですね。またじっくり観てみたいです。(先週紹介した『火山高』は★★☆)

 『復讐者に憐れみを』は、おそらく日本で公開するでしょうが、あまりヒットしないと思いますね。何しろ内容があまりに暗くて衝撃的ですから。でも、私は大好きな作品です。監督は『JSA』(★★★★)のパク・チャヌク。同じく『JSA』に出てたシン・ハギュン(この前私が演出した韓国ドラマリーディングの『無駄骨』の韓国版でユ・ダルスを演じた)扮する聾唖の青年が、腎臓病の姉の手術のために貯めていた金を臓器密売組織に騙し取られてしまい(自分の腎臓も)、その費用を捻出するためにソン・ガンホ扮する電気会社の社長の娘を誘拐してしまうという話です。

 誘拐の手助けをするのが、チョン・ジヒョン、シム・ウナ(引退)と共に、私の大好きな韓国三女優の一人、ペ・ドゥナです。何といってもこの三人の演技派俳優たちのぶつかり合いが見所ですね。シン・ハギュンはまったく台詞をしゃべらず(唖ですから)、復讐の鬼と化すソン・ガンホの哀しみの表情、そして、ペ・ドゥナの手話やシン・ハギュンとのベッド・シーンも凄いです。ちなみに、シン・ハギュンとペ・ドゥナはこの映画の共演がきっかけで付き合い出したらしいですけど、納得ですね。

 物語は、弟の誘拐の事実を知った姉が自殺し、耳が聞こえないために誘拐した娘が川に落ちたことに気づかず死なせてしまったことから、さらにエスカレートし、それぞれの復讐が始まるわけです。暗い映画ですが決して重いわけではなく、悲愴感はありますが三人の演技に引き込まれているうちに、むしろ心地よさを感じるほどです。とにかく凄い映画です。おそらく観終わってしばらくは何もいえないと思いますよ。当然、★★★★☆です。

 予想通り『復讐者に憐れみを』の文章量が多くなってしまったので、コリアン・シネマ・ウィークで観た他の作品については簡単に触れときますね。

 『イエスタデイ』は近未来を舞台にしたSFアクションながら、自分探しや親子の問題、クローンの問題など深いテーマを抱えていて、はまる人にははまりそうな映画ですね。この上映の時のアフタートークに『シュリ』(★★★★)のキム・ユンジンが来ていて身近で見ましたが、きれいでしたね、やっぱり。こんな時に限ってカメラを持ってなかったんですよ。う〜、残念。映画は★★★。

 『オーバー・ザ・レインボー』は韓国でも観たんですが、やはり字幕で台詞がわかってすっきりしました。記憶喪失ものラブ・ストーリーのただの記憶回復ではなく、ひと捻りあって泣けました。イ・ジョンジェはやっぱりさりげない演技が巧いし、チャン・ジニョンもかわいいです。★★★☆。

 『達磨よ、遊ぼう』は、今回一番楽しかった映画です。内部抗争で身を隠さないといけなくなった、キッチュに似ているパク・シニャンを中心とした暴力団員たち(キム・スロもいます)が山寺に逃げ込み、チョン・ジニョンらの僧侶たちと対決するという話で、みなそれぞれ個性があり、大笑い出来るコメディに仕上がっています。これは日本で公開したら案外ヒットするんじゃないかな。★★★☆。

 そして、意外な拾い物、なんていっちゃ失礼かな、日本映画の『英二』に出たイ・ナヨンと、イム・グォンテクの『春香伝』で主役を演じたチョ・スンウが共演している『フー・アー・ユー』が、わたし的には★★★★です。オンライン・ゲームを通じて知り合った若い男女のラブ・ストーリーなんですが、今まで観たネットを題材とした映画の中では一番よかったし、主演の二人がかわいいし、演技も自然で素直でいいんですよ。これもぜひ公開してほしいな。応援したい映画です。

 というわけで、今週は韓国映画星取り表になってしまいました(そのうち演劇でもやりますね)。興味のなかった人、ごめんなさい。でも、どんどん観て下さいね、韓国映画。来週はもう韓国に行っているので、韓国生情報かな。今度泊まるソウルのホテルには各部屋に一台パソコンがあるそうなので、しっかり送れると思いますよ。 じゃ。

(11.4.2002)

(つづく)


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