演劇というものに携わって、もうかれこれ10年以上が過ぎている。
私が芝居を創るようになってから意識して観た初めての舞台は、地元厚木に帰ってきていた、当時「善人会議」 (今の扉座) の「曲がり角の悲劇」だった。
少なからず衝撃をうけたし、私もこれが創りたいと思った。高校1年の冬だった。
高校生になってから、気軽な気持ちで演劇部になんて所属してしまったけど、まわりは中学からやっていたり、機材にやけに詳しかったりして
なのに私はなんの取り柄もなかった。たまたま書くことが好きだったので「台本ならかけるかな」。ほんととんでもない高校生だった。
顧問がいった。「どうせ書くならこいつのようになれ」それが善人会議の横内氏が高校時代最初に書いた戯曲だった。
正直そんなに真剣にやるつもりなんてなかった。演劇なんてお祭りのようなもんだと思ってた。実際書いてみて、なんども書き直しをさせられ、くじけて、部活にもでなかったりした。でも、なんだか書いてみたかった。
自分を出すところは他にどこにもなかった。
何ヶ月もかかってくしゃくしゃになったノートは、今の自分の原点になった。
舞台は魔物で、そこに魅入られた人は必ず関わりたくなる。
進学して何度もやめようと思った。でも友だちが劇団を創ったと聞いて、いてもたってもいられなくなった。また書き直しの日々。
でも、それを通過すれば、私の中には何かが残る。幕があけたら、もうその台詞は生きて、私から離れて、でも、私の声にならない叫びがちゃんとそこにある。「おもしろかったよ」。その言葉以上のなにかを言わせたい、そう思ってずっと長いことやってきた。
欲がでる。私以外の人の作品を観て、世の中がどういう作品を求めているのかをどんどん知りたくなる。友だちからFSTAGEというのがニフティにあると聞く。パソコンがないとだめなのか。じゃあ買うか。
ボーナスをはたいて買う。そこにいくためだけの機材。高い出費だ。
だけど、そこにいけばなにかがある。
情報の洪水がある。確実に自分が小さかったことを思い知らされる。
イタの上ではないのに心に痛い。ここにはきっと何かがあるんだ。
そう思ってその渦に入る。いつの間にかその世界がないとやっていられないくらいになる。世界にはこんなにおもしろい作品があるんだ。
いつかこれを超えたい。ずっと思ってきた。
偉そうなことをいっても、実際FSTAGEの情報の中で何を得たのか。
自分の劇団の志の低さに呆れただけだった。そこにいなければ自分をだせない私は、そこから抜け出して芝居狂いの道を選んでいる。
観て観て観まくる。そこに何かを見いだすように。
いつか自分のほんとの作品をかけるように。
次回は、私以上に芝居狂いのごろうやっこさんです。
約束していないのに劇場で会いまくる (笑) 。
秋山 美月 (CYF00671@nifty.ne.jp)
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