福岡演劇事情

(21) 2001.06.11 「演劇と出会う」

 この週末、私は4本の芝居を見ました。
 ひとつは、学校で全校生徒がそろって観るいわゆる「芸術鑑賞会」で、福岡県太宰府市に本拠地を置くプロの劇団道化の「おとなになれなかった弟たちに」。それから、「リバティー・オン・ザ・ストリート」「六月大歌舞伎」。そして、福岡の地元劇団クロックアップサイリックスの「縦横無尽」。

 クロックアップサイリックスさんでは、毎回千秋楽終演後に「お客様参加型打ち上げ」というのを行っています。今回初めて参加させていただきました。会場はホールを出たところにあるダイニングキッチンのようなコミュニティースペース。ビール片手に、オードブルから寿司・お菓子・さらに果物から甘いものまで。まるで田舎のおばあちゃんちに行って「ほら、遠慮しないで食べんさい」と言われているかのように次々とうまいものが登場し、私はおなかいっぱいご馳走になりました。なんというか、主宰・川原さんの人柄そのままの会でした。

 このような席でいつも話題になるのは、「福岡で演劇を広めるにはどうすればいいのか」ということ。今回も、漂流画報のマヤKさん、地元情報誌の演劇担当Tさんとうーんと頭を抱えました。「リバティー〜」は、テレビ局主催の公演でもあり、キャパ1000くらいだと思われるアクロス福岡シンフォニーホールで5公演行って、そこそこの入り。六月歌舞伎もまあまあの入りのようですが、「船乗り込み」が雨で中止になった(=テレビや新聞で取り上げられなかった)だけで、チケットの動きが5千枚は違うという話を聞いてびっくり。一方のクロックアップサイリックスさん、私が観に行った回に限れば、100人くらいのキャパであろう会場に、半分足らずの入り。恐るべしマスメディアの力!

 たぶん何だって同じなのでしょうが、演劇にも出会う瞬間があると思います。
 男と女が恋に落ちるように、演劇と恋に落ちる瞬間が訪れた人だけが、劇場に足を運ぶようになる、そんなふうに思えます。演劇は「いま」「この場所で」を要求されるメディアだと思います。けれども現在、その出会いのきっかけの大部分が、「いま」「この場所で」を要求しない、テレビなどのメディアであるといえるでしょう。まあ、人と人とが出会い系サイトで知り合う時代ですものね。とりあえず、芸術鑑賞会だろうと、インターネットのホームページだろうと、多くの人が演劇と素敵な出会いをしてほしいと、私はいつも願っています。

 ところで、お客様参加型打ち上げでちょこっと同席したあなピグモ捕獲団の主宰・福永郁央さま、6月23日からの公演楽しみにしております。

ってことで、次回予告「ライオンキングとSAVANNA-CHANCE」
あ、その前に「ギンギラ太陽's」もあるぞ。来週からも忙しくなりそうです。



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