大江戸演芸捜査網
〜楽屋口と客席の間で〜

(53) 2003.1.13 ■「落語とWeb、そして私(6)」


「我如何ニ系圖書キト成リシ乎(2)(われ いかに けいずかきとなりしか)」

鹿流亭主人 難遊亭萬年(なんゆうてい まんねん)
鹿流亭(ろくりゅうてい)

 せっかくHTMLで系図作ったし、噺家系図メインのサイトなんざ無いし、というわけで「鹿流亭」開席が平成11年5月8日。早くも3年半が経過しました。最初は正味噺家系図だけでしたが、その頃から掲示板はまぁ凄いの凄くないの。って凄かったんですけど。高座名やら落語史やらの話が深くて濃くて私も入り込めなかったぐらい。いやでもホンマに、こういう話が聴ける場をこさえた、というこれだけで「鹿流亭」を開いた甲斐があったと思っております。何かに答えてくれる人が誰か必ずいる、ここがインターネットの面白いところですね。

 そうこうしているうちに、とんでもないモノが発売されました。『古今東西噺家紳士録』(エーピーピーカンパニー発行、丸善発売)です。噺家系図と落語人物事典と現役噺家名鑑に加えて落語255席と出囃子が一枚のCD-ROMに入っていては当席商売あがったり。これ以後、「初代桂枝曾丸について調べられるのはここだけ」という一点を心の支えに続けていくことになります。

 『古今東西噺家紳士録』をいじっていくうちに生じた「上方の噺家が、東京ならばどのぐらいの位置にいるのか」という疑問から作ったのが「東西現役噺家入門年表」。このとき一番考えたのが「いかに横スクロールバーを出さない表を作るか」でした。その結果、今のような入門年月と高座名だけの表になったわけです。その後の「誕生日暦」「過去帳」も必要最低限の情報だけを盛り込むことを念頭に置き作っていきました。ですから「見やすい表」って言われるのが一番嬉しいです。

 これら系図以外の表によって、コアな落語史ファンだけでなく、普通の落語ファンの方にも楽しめるサイトになったと思っているのですが、どうでしょう?

 さて、当席のデータですが、前述の『落語系圖』『古今東西落語家事典』『古今東西噺家紳士録』の3冊が底本になっています。それからチラシ・インターネット・当席の「根多帳」にある文献を参考にデータを増やしていきました。文献によって異なる場合は、基本的に新しい資料の方を優先するようにしていますが、間違って転記していたり、系図中で同一人物のはずなのに整合性が取れていない、という部分も多々あると思います。その際は是非ともお教えいただきたくお願いいたします。

 こういう物好きをおもしろがってくれる人はいるもので、エーピーピーカンパニーの小島豊美社長の目にとまりまして、去年12月に発売された『江戸東京芸能地図大鑑』制作を、最後の最後のホンの少〜しですがお手伝いしました。『古今東西噺家紳士録』は46時間分の落語を収めてますが、『江戸東京芸能地図大鑑』は江戸東京にまつわる芸能30ジャンルを48時間分を収録、演目にまつわる土地も地図で検索できるという、全くもってとんでもないシロモノです。『古今東西噺家紳士録』の2巻も出す予定ですし、この会社のとんでもなさは当分続きそうです。

 えー、「鹿流亭」の話に戻しましょうか。上方噺家系図は一段落ついて、ここ最近表ばっかり作ってきたんで、系図作成欲が頭をもたげてきて去年の初めに出来たのが「江戸噺家系図」。系図の形にこだわって作ったので噺家のデータは改名歴だけ。見やすい系図に仕上がったという自負はありますが、あまり検索に便利な物じゃない。いかに系図作成欲を満たすためだけに作ったかがわかりますな。

 という変遷を経て、現在の当席があるわけです。今まで同様、欲望のおもむくままに系図書いたり表作ったり長いこと何もしなかったり…となるでしょうけども、「またあの不精者が更新さぼってやがる」と呆れつつ、調べ物に使っていただければと思います。じゃ、ま、そういうことで。

(この項ここまで)



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