(49) 2002.11.30 ■「落語とWeb、そして私」(3)わたしと上方落語と寄席熱目(よせあつめ) 松永 啓太(まつなが・けいた)
大阪在住の上方落語ファン。上方落語関係サイトでは圧倒的な注目度を誇る「寄席熱目(よせあつめ)」の世話人。 ★ごあいさつ はい、どうも。 上方落語サイト「寄席熱目(よせあつめ)」の世話人、松永啓太と申します。サイトの内容としては、トップページに「世界一、上方落語の『今』を熱く語るページ!をめざす…」とあるとおり、上方落語を今現在の視点で、色んな角度から斬り込んでみよう…というのが目標でありまして、
等々、種々のコンテンツを、よく言えばバラエティ豊かに、悪く言えば場当たり的に展開しております。 ★Q)なぜサイトを作ったのか? A)そこにサイトがなかったから。 で、なんでこんなサイトを始めたのか?ですが、これはもう、 「こんなサイトが見たい」→「けど、ない」→「自分で作らな、しゃあない」 という、単純極まりない思考回路の末端です。 そも、僕が初めてパソコンを買った1995年秋(=パソコン通信全盛のころ)はもちろん、その数年後、ネットが普及するようになっても、ネットワーク上での落語関係コンテンツと言えば、そりゃもう圧倒的に江戸落語関係コンテンツ、でした。上方落語関係のコンテンツと言えば涙が出るほど少ない上、切り口自体、僕が「見たい〜!」と思ってるのと違いました。 例えて言うなら、大阪近鉄バファローズのファンがプロ野球関連のTV番組を見ても、内容は圧倒的に巨人を初めとする在京セ・リーグの話題ばっかり。たまに在阪球団の話題が出た!と思っても、阪神タイガースしか話題になってない…、みたいなもんでしょうか。 ぼ〜っと座って見てても、この状態が変わるような気配は全くないわけでありまして、となれば、もう、これは自分で作るしかなかったわけです。 ★欲しかったのは、「ナマ」な落語会(落語界)の情報 上方落語サイト。 落語の題名とかあら筋とか、そういうのは別にどうでもよかったんです。知りたい!と思えば、本屋行って、そういう本買えば済むわけですから。また、TV・ラジオでおなじみの噺家さん…っていうかタレントさんの情報も、別にいらんわけです。TV・ラジオでイヤっちゅうほど会えるんですから。 欲しかったのは本屋で売ってないような、TV・ラジオで得られない情報を伝えてくれるような、そういうサイトでした。とりわけ、最近の落語会。それも、客が30人ぐらいしか入ってない、でも僕は好き…みたいな会の雰囲気を伝えてくれるレポート。これは、めっちゃ欲しかった。学生時代、落語会に行き倒してた(「行きまくってた」の意)んですが、社会人になってからは、なかなか思うように落語会には行けなくなり、フラストレーションがたまる日々。野球中継がなくても「プロ野球ニュース」や翌日のスポーツ新聞があるみたいに、落語会にもちょっとした雰囲気だけでも伝えてくれるメディアはないものか?→ない→じゃあ作ろう。 …てなもんですね。 「誰かレポートして〜!」と、呼びかけるだけでは、到底情報が集まりそうには思えないため、考えた作戦としては、
・大学の落研の後輩に簡単なレポートを書いてもらう(報酬を出す? というのを目指したわけです。 「私的上方落語家ランキング」他のコンテンツも、言わば客寄せ企画。訪れてくれる方が増えれば、その分情報の集まりも増えるだろう…という考え方。あとは色んな人からのレポートがメールで届くのを待つばかり…、の、予定だったんです。 ところが、ところが…。 確かに落研の後輩以外の人のレポートも、ぼち、ぼちといただけ始めたんですが、それらを読んでるうちに、「俺も行きてぇ〜!」気分が増大。カタギの社会人にあるまじき、僕自身の「落語会通い熱」に再度火がついてしまい、またも落語会に「行き倒す」状態になってしまいました。(学生時代よりも、ひどくなってしまった…) ★上方落語の魅力 東京のちば けいすけさんの名言に 「私にとって落語は『趣味』じゃありません。『生活』です」(ご飯をたべたり、お風呂に入るのが「趣味」じゃないのと同様、もはや、日常的にそこにあるのが当たり前のものである) というのがあるんですが、僕にとっても上方落語は今や「生活」となってしまっているため、改めてその魅力を…というのも、なかなか表現しにくいものがあるのですが、あえて言うなら、う〜ん、何でしょうねぇ…。 決して「今どき」じゃない昔ながらのスタイルで、でも、今でも十分楽しいものが存在してる不思議。みたいなもんでしょうか。(想像を必要とする芸ゆえ、楽しむには、観る側に多少の素養が不可欠ですが) ことに上方落語は、「一時滅びかけてたものが復活した」ちゅうあたりに、何や必要以上にロマンを感じてしまいます。江戸落語と比較して、ネタ数が少ない分、必要以上にネタが深く作り込まれてる部分やら、当たり前のように入るハメモノ(三味線・太鼓等によるBGM)やらの、上方の独自色を感じさせる部分は、落語に限らず世の中なんでも東京中心・東京の色に染まりがちな昨今、どっこい独自の色がある、って感じで、それも好きですね。 サイト開設時よりも、上方落語にどっぷりつかった分、落語の見方としては、 「まぁ、こんなのもアリか」「むぅ…、これもアリか」 という風に、何でも許せてしまえる範囲が広がった感じが、個人的には、します。(健全な批判精神がちょっとボケてきてる、といえば、そうかもしれません) ★コンセプト「情報の持ち寄り散財」 「持ち寄り散財」は落語の「寄合酒」に出てくる表現です。それぞれの家にある、ちょっとした残り物でもみんなで持ち寄ったら、十分豪華な宴会になるよ、というのにあやかって、「情報の持ち寄り散財」というキャッチフレーズをつけました。それぞれが持ってるちょっとした情報を、みんなで持ち寄ったら十分有用なサイトになるよ、…てなわけで。 開設して5年が経とうとしてるんですが、おかげさまで賑わったサイトになってると思います。「先行者利益」ちゅうほどのもんでもないですが、先にやった分、注目度も高かったのではないのでしょうか。(まあ、「上方落語関係で」という、世間からすれば、せまいエリアでの話ですが) また、開設当時に比べて、上方落語関係のサイトも、もうほんと、爆発的に増えて、よそさんを廻る楽しみも爆発的に増えてうれしい限り。 サイト運営者の、おそらく共通であろう悩みというか疑問というか、 「俺、これ、いつまでやるんやろ…?」 というのがあるにはあるんですが、まぁ、しばらく続けてみたいと思っています。
|
|
![]() |
![]() |
![]() |