乾坤一滴最新版 5月6日更新
さて、世間がゴールデンウィークで浮かれている中、ほとんど自宅にいて(5月2日だけは東京競馬場に行き、新緑の芝生の中をサラブレッドが疾走する姿を見て癒されてきた)、毎年同じように、部屋の掃除やら粗大ゴミの整理やら台本直しやらDVDの整理やら何だかんだやっているので、乾坤の方も、この空いている時間に、何とか今年2回目(5月だというのに)をまとめておこう。こういう連続した休みでもないと、落ち着いて書いてる暇がないし(笑)。
前回は1月末で、去年の10月にスヒの結婚式でソウルに行った話と、3月のd'Theaterの公演『銀幕迷宮−キネマラビリンス−』に関する話だったので、まずは、10月のソウル行きのまとめから。
10月18日(日)、スヒの結婚式の後、みんなでどこへ行こうかということになり、何と何度もソウルに行っているにもかかわらず、私は一度も行ったことのなかったソウルタワーに行くことになった。行く途中、妻が大好きな『私の名前はキム・サムソン』のラストのラブシーンの舞台になった南山公園の階段や、青木さんにいわせると、私が似ているらしい民族運動家の金九[キム・グ]の像や、伊藤博文を暗殺した安重根[アン・ジュングン]の像などを見て、ロープウェー(韓国ではケーブルカーと呼ぶ)に乗って頂上に行き、ソウルタワーに上った。いやぁ、初めて上ったソウルタワーの上から見る景色は素晴らしかった! ちょうど、夕暮れ時で、夕日に染まるソウルの街並みが次第に闇に包まれていく様子も見ることが出来、昼景と夜景と2度おいしいという感じだった。ソウルタワーに行くなら、ぜひ夕方の時間をお薦めする。乾坤のトップページにあるような、明洞[ミョンドン]の街を見下ろせるトイレがあったり、東京はこっちだよ、という標識があったり、広い漢江[ハンガン]を見渡せたり、360°のパノラマをたっぷり楽しんだ。そして、その夜は、中村さんの友人で私も何度も会っている李さん(韓国では100人中15人は李さんだそうだが)の御馳走で、チャドルベギを食べた。この、牛肉を紙のように薄くスライスしたものを軽く焼き、岩塩をつけて食べるチャドルベギというのは、初めて食べたのだが、これがまた絶品のおいしさだった。薄いから際限なく食べられて、酒が進むのも早いし、皿になくなると、また盛られて出てくる。はたして東京でそれほど食べられるかどうかわからないから(東京で食べられるところがあるかどうかもわからないが、牛肉の値段のことを考えるとね)、韓国に行ったら、ぜひまた行きたいと思った(残念ながら今年の1月に訪韓した時には行けなかったが)。
10月の韓国行きでは、ほかにも、初めて韓国のチャンポンを食べたり(これが、長崎チャンポンとまったく違って、辛過ぎて、朝、すきっ腹で食べたということもあるのか、後で胃の調子がおかしくなった)、大きなスーパーマーケットで買い物をしたり(デパ地下ではなく、庶民が行くHome plusというスーパー)、普通に韓国の人たちが行くチムジルバンに行ったり(これもすっかりお気に入りになり、1月にもホテルの近くで探して行った)、と、これもみな、いつもの明洞や鍾路[チョンノ]に泊まる旅ではなく、中村さんの友人のウンジョンの家に泊まらせてもらったからだ。この10月の韓国行きで、ますますソウルに住みたくなった。
ほかに、久しぶりに、というか、ソウルでは初めてカジノに行った(昔、仁川のホテルに泊まった時、ホテルにあったカジノには行ったことがある)。今回行ったのは、イ・ビョンホンが宣伝をしているセブンラックカジノで、ミレニアムソウルヒルトン店にも、江南店にも行った。さっそく会員にもなってしまった(1月にも行ったし、これからも行くだろうし)。やったのはルーレットだけ。これが、昔、仁川でやった時に、隣りの女ギャンブラーに教わったやり方をやったのだが、収支は、みんなに御馳走して、おみやげを買うくらいプラスになった。その秘訣は、いずれまた(1月の時も、このやり方で、そこそこプラスになった)。
また、仕事と関連してくることなのだが、青木さんの知り合いの、韓国で外国のアニメの吹き替えを引き受けている会社のスタジオに行き、スタジオを見せてもらったり、スタッフと話したりした。韓国でもアニメは人気なのだが、声優を育てる学校とかはないので、韓国で作れば流行るかもしれないという話をした。こうなったら、向こうで声優スクールやるか! まぁ、まずはハングルをしっかり覚えなきゃな。
今までとは違う体験がいろいろ出来て楽しかった10何回目かの韓国行きだったが、最後の夜には、私がソウルで一番お気に入りのおいしいフグの店「チョルチョルポッチッ」に行き、みんなで焼きフグとフグ鍋を食べて大満足だった。
そうそう、帰りの仁川空港で、スヒの結婚式の引き出物のライターが取り上げられてしまったのだ。何しろ、100円ライターの5倍ぐらいある大きさのライターなのだから当然といえば当然なのだが(笑)。鄭義信さんはじめ日本からの招待客たちも、みんな取り上げられたんだろうなぁ。しかし、こんなものを引き出物にする韓国人の感覚って……(笑)。ま、持って帰られれば、実用的ではあっただろうけど。
去年の乾坤は、6月から9月まで休んでいた。もちろんクマさんの死が影響していたことは確かなのだが、そろそろ一周忌にもなるので、その間のことも簡単にまとめておこう。
クマさんが、急性大動脈乖離による心嚢血腫で亡くなったのは5月25日の深夜で、発見されたのが6月4日。まぁ、そこら辺のことについて話し出すと長くなるので、それは一周忌に取っておくとして、6月13日には福岡に行き、福岡のメンバーとクマさんのことを報告しながら飲み、翌14日には、初めて久留米に行った。月光舎の韓国公演やブロードバンド・ムービー『BE MY SELF』にも出てくれた女優の野口藍子の結婚式で、前日は小郡の薙野さん宅に泊めてもらい、翌朝、薙野さんに車で久留米まで送ってもらった。藍子は、実家の近所にある牛の牧場を経営するイケメンの伴侶を得て、牧場のおかみさんになる。これからは狭い劇場ではなく、広い牧場を舞台にして、牛という観客にも気に入られるようになっていくのだろう(と、こんなようなことを祝辞でもいった)。
6月25日には、まさかその後、d'Theaterの公演に出てくれることになるとは思ってもみなかった丸山厚人が出ている芝居を観に行った。東京ギンガ堂の公演『新宿パラダイス』だ。この時、妻や中村さん、青木さんも一緒に行き(本来だったら、クマさんも行っていたはず)、その後の、この中年親父たち(私も含めて)との腐れ縁的付き合いが、ここから始まるのだ(笑)。
6月27日(土)の夜には、明石スタジオでクマさん追悼の「クマさんのいない、クマさんを囲む会」を催した。長い付き合いの明石スタジオでは、公演だけでなく、今は亡き冬雁子ことガンちゃんと、今は3回目の結婚をして幸せにしている大鷹明良の最初の結婚式も催し、まさか、結婚式と追悼会をやることになろうとは、という複雑というか、感慨深いものを感じた。その後、今年の3月にはd'Theaterの公演でもお世話になったわけだし。螳螂、月光舎、d'Theaterと、みんな明石スタジオで公演をした。こうなったら、俺の銀婚式も明石スタジオでやるかな。
「クマさんのいない、クマさんを囲む会」は、120名近い人が来てくれて、会が終わった後も、深夜まで高円寺で飲んでいた。翌日には、クマさんの住んでいた経堂の自宅で、ものすごい数の蔵書の形見分け会も行なわれた。
追悼会の詳細やクマさんのことについては、mixiに熊谷対世志というコミュもあるので、mixiに入っている人は、そちらも見てもらえたらうれしい。で、参加してもらえたら、もっとうれしい。といっても、もう本人がいないのが残念だ。
7月からは、d'Theaterの第2回公演『天神さまのほそみち』の稽古が忙しくなり、その合間にも、追悼会の反省会やら報告会やらで、相変わらずション横の「きくや」で飲むことが多かった(ま、いつものことだが)。
夏休みもほぼ返上で稽古をし、8月20日(木)〜23日(日)には、サニーサイドシアターで本番があった。この公演は、別役実作品ばかりを上演する第14回サニーサイド演劇祭参加公演で、私としても、久しぶりの別役作品だったが、結果として、最優秀演劇団体賞を受賞することが出来た。これは、若いd'Theaterのメンバーにとって、いい励みになったと思う。で、公演が終わり、9月に入って遅ればせながらの夏休みを兼ね、韓国に行ったわけだ。
11月から12月にかけてはいくつかの芝居を観て(結局、『ブッダとテロリスト』とプロジェクト・ムーの岸田理生作品『フォーシーズン』とオルガンヴィトーの『幻探偵』、ラ・カンパニー・アンの『月いづる邦−mother moon−』と流山児事務所の天野天街・演出の『田園に死す』の5本)、12月13日には、今年の11月にやる女優3人だけの芝居『紅い春』(作・演出は私)の打ち合わせで栃木の小山に行き(小山市長にも会った)、12月27日には、日本演出者協会の忘年会に出席した。演出者協会の忘年会には毎年行きたいと思っていたのだが、なかなかスケジュールが合わずに行けなかったが、去年は初めて行くことが出来て、楽しかった。
そして2010年を迎えるわけだが、今年に入ってからは3月公演の稽古が中心で、それ以外の主な出来事としては、1月に日韓演劇交流センターの関係で韓国に行ったことと、2月に『銀幕迷宮―キネマラビリンス―』の川島雄三の墓参りで下北のむつに行ったことがある。それについては、また改めて報告しよう。
さて、4月からはスクールの方も新学期が始まった。4期目になる。スクールの経営母体が変わり、事務や教務のメンバーも大分入れ替わったが、私はとりあえずまだいる(笑)。忙しいのは相変わらずで、本社の人からも、「最近、乾坤一滴、更新してませんね」といわれた。ま、書きたいのは山々なのだが。今年は、久しぶりに授業に出て教えているし、今はd'Theaterの第4回公演の稽古も始まっている。今度は、リオフェス2010参加公演だ。d'Theaterのホームページも更新した。詳しくは、次回お送りする。ま、なるべく早い更新を目指すので、よろしく。
(2010.5.6)