先週も更新出来なくて、またしてもズルズルといきそうなので、とりあえず出来ている分を送っとくことにする。いや、実はかなり夏バテが来てるんだけどね。ていうより、この暑さで、春からの諸々の忙しさの疲れがドッと溢れ出て来たって感じかな。いろいろ大変だったからね。五十而知疲労編だな。
先週、13・14の月・火と、DCS[ドワンゴ クリエイティブ スクール]の夏の強化合宿があった。場所は河口湖。6月に下見に行った場所だ。
13日の朝、学校がある水道橋の三崎町に8時半に集合。そこから、総勢49名が乗った大型バス(横にライオンの絵が描いてある西武バス)で、西神田の入口から首都高に入り、新宿に出て中央高速を一路、河口湖へと向かった。すでにお盆の影響なのか、首都高は混んでいたが、中央高速に入ると割りとスムーズに進み、心配していた渋滞もうまく回避出来たかと思っていたら、「右に見える競馬場、左はビール工場」(荒井由実『中央フリーウェイ』)辺りになったら、渋滞が始まった。しかし、今の若い子に、この名曲を口ずさんでもほとんど知らなかった。知っていたのは30代以上の講師陣だけ。まぁ、30年以上前の作品だから、30代でもリアルタイムで知ってるわけじゃないと思うけど。私もここは何回も通っているが、フジビュースタンドが出来てからの東京競馬場を見たのは初めてだし、サントリー武蔵野ビール工場の大きなエンブレムの看板がなくなったのがいつからなのかは、覚えていない。
高速道路上の案内表示板に「相模湖まで3時間以上」という表示が出てからは、予定時間の11時に着くようなことはまずないだろうと、合宿所に「1時近くになると思います」と携帯から連絡をした。向こうも毎年のお盆渋滞を知っているからか、「いつでも結構ですから、気をつけていらして下さい」といってくれた。談合坂の休憩所まで行く予定が石川でトイレタイムを取ったが(ここも混んでいた)、その時点ですでに出発して2時間経っていた。その後、渋滞を予測して私が家から持って来た、チャウ・シンチーの『喜劇王』のビデオを流して観ながら、その後は休憩を取らず、結局、河口湖インターを出たのが12時過ぎ。一部で大受けだった『喜劇王』もちょうど終わり、河口湖畔の合宿所には、出発して4時間後の1時少し前に着いた。河口湖は36℃で暑いと聞いていたが、やはりアスファルトの照り返しがない上に、風も少しあるので、東京のようにベターッとまとわりつくような暑さではなく、特に日が沈むと割と涼しくなり、過ごしやすくなった。
合宿所に着いて昼食のカレーを食べた後は、歩いて15分ほどの河口湖畔までみんなで散歩に行き、帰って来てからは、翌日の強化レッスンの発表のための稽古を開始した。この合宿所には広いホールがあるので、そこで稽古や発表が出来るのだ。戯曲リーディングや小説の朗読、寸劇や生ボイスサンプルなどをチーム分けした。普段は3クラス別々の授業をしているが、ここでは3クラス合同なので、チーム分けでも初めて組む相手が多く、新鮮だったのではないだろうか。そうそう、懐かしい「紹介ゲーム」(みんなで輪になり、一人一人隣りの人と名前をいい合って握手をした後に移動していくというゲーム)もやった。
5時過ぎに初日の稽古を終え、順番に風呂に入った後、夕食。まぁ、食事は、別に旅館とかではないので、いたってシンプルだった。もちろん、ビールをキューッと一杯ひっかけたかったが、それは夜の親睦会までお預け。夕食後は、ゲストで来てくれた業界のお偉いさんたちのお話。なかなか普通では聞けないような裏話も多く、「これはブログに書くなよ」というお達しもあった(笑)。話は終始打ちとけた感じで進み、学生たちから質問も出たりして、予定をかなりオーバーして終了。その後の親睦会では、1人1曲はカラオケを歌ってもらう予定だったが、大幅に変更になり、ワンコーラスだけで次々と歌っていってもらうことになった。結局、15人ぐらいだったかな、歌えたのは。私ゃ、カラオケの間はほとんど飲まずに選曲当番(パソコン通信カラオケ)をしていたが、その後の飲み会では、楽しく飲ませてもらい、12時ぐらいになったら、昼間の疲れもあってバタンキューだった。何人かは夜中の2時過ぎまで話したりしていたそうだが(笑)。
翌朝は6時半起きで、河口湖畔まで早朝マラソン。私は一番後ろからついていったが、ここんところずっと痛い膝や腰のせいで、とても走れない。なんか、24時間マラソンの欽ちゃんのことも心配してしまった(笑)。でも、天気も好くて富士山もきれいに見え、早朝の湖畔でやる体操は、ものすごく気持ち良かった。朝食の後は、前日の稽古の続きをして、10時からその成果の発表。その後、ゲストの方たちに講評をしてもらって、13時過ぎに全員で1本締めをして、合宿所での全日程を終了。合宿所の親父さんに、まるで『世界ウルルン滞在記』のラストシーンのように手を振って見送られながら、バスは出発。河口湖畔で自由時間を取り、その間に昼食。私は、下見の時には食べられなかった湖畔の「不動茶屋」で“ほうとううどん”を食べ、おみやげにも買ってきた。昔から、うどん粉のすいとんとかが好きなので(母親がよく作ってくれた)、ほうとうも好きなのだ。その後は、大渋滞の中央高速を都心に向かい、帰りのバスの中では途中から『風の谷のナウシカ』を観てボロボロ泣き、涙が乾いた頃に、水道橋に無事御帰還。都心に入り、混んでいそうだった首都高を降りたら、一般道はガラガラだった。来年は2泊にしたいという声も上がったが、ま、その方が、ちょっとはのんびり出来るかな。1泊の強行軍は確かに大変なのよ。特に幹事兼講師は。
さて、そろそろ夏も終わりだというのに、相変わらず残暑が厳しいが、夏に芝居を観るというのは、暑さを気にする人にとっては結構きついことかもしれない。特に小劇場だと、“演出効果の妨げ”とかで空調を切ってしまうことが多いからだ。そういや、fringeにも書かれていたなぁ。確かに、空調の問題は、一般の人にもっと劇場に足を運んでもらうためには、改善してほしいもののひとつだと思う。ただ、私は、個人的には冷房が嫌いなので、あまり空調設備のいいところで観るのは好きじゃない。むしろ、冷房が効いていると、寒くなってしまうことが多いぐらいなのだ。だから、テント芝居や野外劇が好きっていうのもあるかもしれないが、その芝居の熱気を、自分も汗ダクダクになりながら観るのが、結構好きなのだ。まぁ、根がアングラだからといわれりゃ、返す言葉もないが(笑)。いや、アングラじゃなくて、アバンギャルドのつもりなんだけどね(笑)。
あ、ただ照明の熱気で熱いってのは、もちろん嫌だけど。あくまでも、役者の演技の熱ね。そんな役者たちの熱さを、小劇場の空間でこれでもかと感じ、観終わった時には、汗で服もビチョビチョだった芝居を、先々週の7日の火曜日に、久しぶりに観た。La Compagnie Anの『御母堂伝説』だ。稽古を観に行った報告は前回書いたが、その時観たのはホンのサワリ。全貌を観ることが出来て、この作品の凄さを改めて感じた。う〜ん、私も大好きな戯曲『ゴドーを待ちながら』を下敷きに、ってことや、不条理演劇云々ってことが語られたりしてるけど、はっきりいって、そんなことはどうでもいい(笑)! この作品の凄さは、身体と言葉の触発と融合と、そこから発せられるメッセージ性。私の作品は、結構メッセージ性が強いといわれるのだが、それは別に、社会的なメッセージがどうとか、反○○とか、あからさまにとか、声高らかにとかいうことではなく、人間生きてりゃいろいろいいたいことあるじゃん、てことなんだけど、この『御母堂伝説』にも、そういったものを感じた。なんたって、“御母堂”だからね(笑)。母よ、母! で、母は女であるわけで、女は男に恋するわけで、そういったなんやかやが、身体と言葉のいろいろな表現法を駆使して迫ってくるわけだ! ホントに、久しぶりにいい作品、心も身体も熱くなる、私の大好きな劇世界を観せてもらいました! もちろん、決してアングラじゃないけど、巷のアングラもどき以上にアングラしてて、カントールなんかも思い出したりしてしまった! タデウシュ・カントール、良かったよなぁ……
『御母堂伝説』は、学校の若い子も何人か連れてったんだけど、みんな「すごかった」「よかった」といっていた。そういや、その時の折込のチラシかなぁ、野田秀樹がものすごくいいことを書いてるのがあったので(いや、マジで!)、紹介しよう。
『近頃見た芝居は、ひどいのが多かった。「演劇なんてものは、このくらいのことをやっておけば、客も満員になり、そこそこ喜ぶだろう」というなめきった精神で作っている。芝居の可能性を信じていない者は、舞台から去ってほしい。』
これだよ、これ! ホントに演劇を好きな人は、同じようなことを感じてるんだなぁ、と思った! やっぱ、野田秀樹はいいよね! 『THE BEE』は残念ながら観れなかったけど。ちょっと話がずれちゃったけど、個人的には、演劇をなめてるような芝居は嫌いだし、認めたくないし、この『御母堂伝説』のように、演劇のいろいろな可能性としっかり取り組んでいる芝居は好きだってことだ! ま、西山水木だから当然か! いつか一緒に何かやりたいなぁ……
ところで、先週は、黒色綺譚カナリア派の『リュウカデンドロン』を観て来たり、20年目の結婚記念日があって、金城武とトニー・レオンの映画『傷だらけの男たち』を観て来たり、今週は、例の秋葉原のメイド喫茶“めいどinじゃぱん”でイベントがあったり、月蝕歌劇団の『寺山修司』を観て来たりするので、それらはまとめて、来週! 夏バテ少しは回復したいけど、26日も出勤だし、またしばらく休めない。ま、9月の連休は、ちゃんとした連休で、ちょっとのんびりしたいもんだな。
(2007.8.23)