2007年6月第3週

 先週は、月・火・金と、学校で、学生たちがオーディションを受ける時に必要なプロフィール用紙の写真撮影をした。以前(5月第2週)、「10何年ぶりかの再会」と書いたカメラマンの加藤孝さんにお願いしたのだ。ヘア&メイクさんも4人も来てくれて、プロの人たちにヘア&メイクをしてもらうのはほとんど初めてという学生たちを、各日、20名近くも面倒見てくれた。加藤さんが機材を持ち込み、レッスン室がたちまち素晴らしい写真スタジオと化し、今のところはまだどこにでもいそうな学生たちも、瞬く間に、声優雑誌のグラビアを飾ってもおかしくないような姿に変身していった(笑)。いやぁ、プロの力はすごい! もちろん、それに見合った中身を作っていくのが、これからの課題だけどね。

 加藤さんが、前から「小松さんも写真撮ろうよ」といってくれていたこともあって、私も最終日の金曜日に撮ってもらった。これがまた、自分でも「これ、誰?」と思うほど、自分でいうのも何だけど、いい男に撮れたのだ(笑)! だいたい、乾坤に載せる私の写真は、酔いどれてる時が圧倒的に多いし、ニヤケた写真ばかりなのだが、プロのカメラマンにちょっとアドバイスをいわれて、そこのところを気にして撮られると、なかなかのものになる、と思う(笑)。

 誰でも、自分で鏡に向かって格好つけたり化粧したりしているが、信用と実績がある第三者に見てもらった方が、絶対いいと思う。要は、自分だと、自分自身をなかなか客観的に見れないということなのだ。女性がデパートの化粧品売り場とかで化粧をしてもらうと、ガラッと変わるのもそうだ。私も顔や髪の毛もいろいろしてもらったし、眉毛も何年ぶりかで剃って整えてもらった。その結果は、いずれ公開するが、驚かないで(笑)、いや、笑わないでほしい。ついでに加藤さんに「遺影にするからね」といったら、「遺影はやっぱり酒がないとダメでしょ(笑)」といわれたので、いつか古里庵ででも撮ってもらおう。そうそう、加藤さんは、フサイチの馬主の関口房朗氏の写真も専属で撮っているそうだ。競馬新聞で見た関口氏の写真も加藤さんが撮ったという。やはりヴィクトリアマイルで2億儲かったという話も聞いた。すごい。

 プロフィール写真撮影は授業時間外で、正規の私の授業の方は、ボイスサンプル作成のための録音と、ネットゲームの出演者のオーディションを兼ねた録音を行った。そのため、先週は、私はほとんど録音スタジオに入りっぱなしだった。ボイスサンプルには、いろいろな声の表現を入れるのだが、今回はCMナレーションを中心に行った。いい子がいれば、ぜひ学校のCM(ラジオで流れている)の声もやってもらいたいと思っているし。ネットゲームのオーディションの方は、登場人物のメイドの声で、女の子だけだが、なかなかいろんなタイプのメイドがいて楽しかった! 萌えってやつだな(笑)。そういえば、いまだにメイド喫茶に行ってないなぁ。最近は、さらにいろんなタイプのメイド喫茶があるそうで、早く行かなくては、どんどん流行に乗り遅れてしまう。もちろん、個人的にというより、仕事の一環としてだけど(笑)。結構有名なメイド喫茶で働いている在校生も何人かいるので、詳しく聞いて早く行こうっと! ま、行くなら秋葉原だろうな。

 木曜日は、夏の合宿の下見のために、富士五湖のひとつ、河口湖に行ってきた。何年ぶりだろう。小さい頃、よく行った記憶があるのだが、最後に行ったのがいつだったかは思い出せない。螳螂の時には、やはり合宿稽古で山中湖に行ったり、『ヴォイツェク』のポスターの写真撮影で西湖に行ったことがあるが。

 河口湖へは、八王子で待ち合わせ、そこから学校のK先生の車で、中央道を走って行った。合宿をする宿には昼前に着き、中をいろいろ案内してもらい(稽古が出来る広いホールもある)、昼食にカレーと近くで採れたという野菜の煮物を御馳走になった。その後、K先生は近くの高校に学校の挨拶に行き、その間、私は近くの河口湖畔の施設をいろいろ探索した。河口湖畔は広いが、宿の近くは東岸というところで、大池公園という広い公園がある。その公園の周りにいくつかの施設があるのだが、私は「アートガイア河口湖ミュージアム」がすっかり気に入ってしまった。

 福岡にいる時は、時々、「福岡アジア美術館」に行ってはいろいろなアートを観て癒されていたが、こっちに帰って来てから、考えたら、あまりアートに触れていなかったので、久しぶりに気分が癒された。常設展示の他に、中で行われている、期間の決まっている展示も、すべて無料で観ることが出来るのもいい。しかも、その作品を気に入ったら、買えるのだ。展示の他にも、いろいろ芸術的な作品を売っている。その中で私が気に入ったのは、“カウ・パレード”という、牛にいろいろな装飾をした(もちろん、本物の牛ではないが)アートのミニチュアだ。この本物の方は、去年、日本でも行われたという。ミュージアムの外には、その原寸大のアートな牛たちが何頭かいて楽しませてくれるし、ミュージアムの中にも1頭、「スシ」という「ウシ」がいた。ちょっとミニチュアをコレクションしたくなったが、妻や子供たちになんといわれるかわからないので、やめた(笑)。写真だけでいいや。

 その他に、ここの2階に通じる階段と踊り場の壁に、細かいイラストが描かれていて、まだ未完成だが、その絵も気に入った。高橋信雅という作家だ。8月の合宿に行った時には完成していると思うので、楽しみだ。近くには、「アートガイア河口湖ミュージアム」の他にも、いろいろな原石や加工した鉱石を売っている「石ころ館」や、いろいろなハーブが植えられていて、売ってもいる「河口湖ハーブ館」もあり、そこも気に入った。その日はあいにく雨だったが、雨に濡れた花々もきれいだったし、帰りにK先生と食べたラベンダーアイスもおいしかった。他に「香水の舎」というところもあったが、それは8月に行った時に入ろうと思う。夕方近くなり、高校の挨拶から戻って来たK先生と合流し、八王子に戻って来て、遅かったので学校には行かずに家に直帰した。

 金曜日は、写真撮影だけで授業がなかったので、夜、ちょっと早めに学校を出て、下北沢の「劇」小劇場に、横浜の劇サロ仲間である大西一郎氏の劇団ネオゼネレイター・プロジェクトの5年ぶりの新作公演『THE MIST〜ある霧夜の物語〜』を観に行った。実は、下北沢の劇場だということだけは覚えていて、どこだったか確認していなかったので、最初、駅前劇場に行ってしまった。開演時間も7時半ということは覚えていたのだが、ギリギリになってしまい、あわてて駅前劇場に駆け込んで受付でチケットを買おうとしたら、なぜかすでに開演していたので、「7時半じゃなかったんでしたっけ?」と訊いて、初めて違うということがわかった。周りをよく見りゃポスターとかでわかるだろうに、慌てているとそんなもん目に入らないから、こういう人も結構いるんじゃないかな。そのまま観て、観終わっても、違う芝居だってわからなかったりして(笑)。そんな奴はいないか。

 芝居の方は、5年ぶりということを感じさせない、というより、これまで観たネオゼネレイターの公演の中では一番良かったように思う。さすがに、その間の5年間の充実ぶりが伺えるという感じで、脚本もおもしろかった。ただ、作品としては、ミステリー仕立てながら、人間の妄想の怖さやおもしろさを描いている(と思う)のだが、その部分が必ずしも舞台ではうまく伝わっていなかったように思う。笑えるべきところが、笑えなかったり。もちろん、馬鹿笑いするような笑いではないが。そこが、ちょっと残念だ。もう少し、オーバーに作っても、いや、オーバーに、というか、はっきりさせる作り方にした方が、この脚本のおもしろさが伝わったような気がする。怖いところは充分怖かったんだけどね。テツタのキャラは、もっと笑わせて欲しいなぁ。あと、ガマさんの役ね。私的には、あの役の存在感がもっと欲しかった。美術も、私は一番前で観てしまったが、後ろで観るのとでは、かなり違う印象になるだろう。しかし、ネオゼネ、次は何年ぶりになるのかな(笑)。なんて、人のことはいえない。私だって、月光舎はもう5年もやってないし(笑)。来年の秋辺り、一応、考えてはいるんだけど、もう、ゼロからの制作なんて、とても自分じゃ出来やしない。よくやったと思うよ、昔は(笑)。あぁ、誰かに制作やってもらえればなぁ。

 そうそう、その日、なんと劇場で、七里ガ浜オールスターズ主宰の瀧川英次に会った。彼と会うのも、おそらく5年ぶりだ。2002年の12月に、今はすでに解散したP.E.C.T.の公演で競演して以来。私も役者はそれ以来やっていないが。そんな彼は、今や若手演劇人の劇団に多くゲスト出演する役者として有名だが、今から13年前の月光舎の公演『莫』が初舞台なのだ。まだ16歳の高校生だった。『莫』は湘南台文化センターを皮切りに名古屋・大阪公演もし、次の『眠れぬ夜のアリス』では、横浜のSTスポットから大阪、北九州と公演をし、翌年には新宿のタイニイアリスで再演もした。その後、彼はP.E.C.T.に入ったり、桐朋学園の演劇専攻科に入学したりした(中退したが)。なんとなく付き合いは続いていたが、私が福岡に行った頃から活躍の場が広がり、最近はチェルフィッチュの公演でベルギーやフランスにも行って来た。福岡公演もあったので、ぜひ“ふとっぱら”に行くようにも薦めた。最近、私が知り合った赤澤ムック嬢とも、桐朋学園時代からの知り合いだ(ムック嬢は後輩)。とにかくフットワークが軽いので、付き合いの幅が広く、顔も広い。とてもいいポジションにいると思うし、彼の活躍は本当にうれしい。公演の後、久しぶりに飲んで、お互いに年を取ったのは感じたが、基本的には変わっていないのがうれしかった。またいつか組んでみたいと思ったし、「英次が演出する芝居に役者として出してよ!」とも頼んだ。多分、お声はかからないと思うが(笑)。彼は今、事務所にも入っているので、これからテレビにもどんどん出て来るだろう。次の舞台の出演は、イキウメの9月公演だ。彼の芝居を観るのも5年ぶりなので、楽しみだ。

 土曜日は午前・午後の授業が終わった後、平塚の病院に行き、義母を見舞った。実は、福岡から帰って来た日、羽田空港から家に連絡をしたら、妻が「お母さんが倒れたという連絡が入った」というのだ。妻はすぐ、長男と一緒に小田原にある病院に行った。脳梗塞だった。幸い、大事には至らなかったが、義母はその日から、意識はしっかりしているのだが、話すことも出来ず、右半身が麻痺した状態で、入院してしまった。そして、先週の土曜日に転院したのだ。本当はもっと家の近くの病院がいいのだが、義母は他の病気の治療もしているため、すべてを看てもらえる病院というのはなかなかないらしい。乾坤にも、私と次男と義母との合同誕生日会などで登場している、私と誕生月と干支(酉年)が同じ義母だが、脳梗塞のリハビリは先が長いということなので、ゆっくり治療に専念して欲しいし、私もしっかり見守っていきたい。

 日曜日は、久しぶりに三男のバスケットの試合を観に行った。といっても、練習試合だが。第一試合が8時50分開始ということで、休みの日はいつも10時頃まで寝ているのだが、珍しく早く起きて、座間中まで20分ほど歩いて観に行った。試合は、女子の試合を挟んで2試合あったが、2試合とも勝った。いや、相手の中学があまり強くないというのもあると思うけど(笑)。まぁ、三男は、以前に比べて格段にうまくなっているとは思った。いや、親バカじゃなく(笑)。ランニングシュートは確実に入れられるようになり、安心して観ていられるようになったからな。身長も170になり、ついに私は、三人の息子たち全員に抜かれてしまった(笑)。そういえば、平塚の病院の待合室に身長を計る機械があったので、久しぶりに計ったら、前より小さくなっていたけど、年を取ると縮むのかな。いや、そうだろうな、きっと。老人を見ると、背や腰が曲がっているし。私ゃまだ老人じゃないから、姿勢に気をつけようっと!

 というわけで、今週もなんやかやとあって遅れてしまった。すみません。今週末の24日の日曜には、横浜市高等学校演劇連盟の招きで、横浜桜陽高校に行って、高校生のための演劇ワークショップをしてくるので、来週は、その報告を! あと、長男も頑張って毎日、椿組の稽古場に通ってるから、その話もね! そうそう、忙しい合間を縫って、最近よく韓国映画のDVDを借りて観ているので、その話も! また長くなりそう……

(2007.6.21)


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