2006年8月第2週

 東京大停電! 最初にこのニュースを聞いた時には、まだ原因がわからず、確実に、何らかのテロだと思った。そして、原因がわかった時には、これじゃ、もっと大規模なテロや犯罪、すぐ出来るじゃんと感じてしまった。クレーン船を盗んで送電線にぶつけ、東京全部を停電にして、その隙に何かやればいいんだから! なんて、恐ろしいことを書いてぇ、なんて思わないでほしい。イギリスのテロ未遂事件があったばかりだし、きっと誰もが思ったことだと思うので。

 それにしても、電気が供給されなくなると、現代社会では何も出来なくなってしまうんだな、とつくづく感じた。いちいちあげてたらキリがないのでやめるが、時期的なことでいえば、お盆休みで帰省している家族とか、家に帰ったら、冷蔵庫の中のものとかは全部捨てなきゃならないんだろうな、とか、ビデオの予約もダメになるんだろうな、とか……まぁ、あまり大したことじゃないね(笑)。しかし、ニュースで見る限り、実際は大変なことが多くて、それらの賠償請求ってのは、クレーンを上げてしまった作業員にされるのだろうか。一体、いくらぐらいになるんだろう。かわいそうに。保険とかあるのかな。その後どうなったかも、ぜひニュースで報せてほしいものだ。

 そのせいというわけじゃないが(我が家は神奈川なので……といっても、近くの町田市まで停電になったらしい)、家のパソコンがまたおかしくなった。起動しても、ネットにつなぐとすぐに消えてしまったり、エラーメッセージが頻繁に出るようになったり。これはもう、リカバリしなくてはダメだ、ということになり、いろいろスケジュールが狂ってしまったため、今週の乾坤を送るのも、またしても大幅に遅れてしまった。すんません。まぁ、火曜日に何とかリカバリして、おかげで、我が家のパソコンはすっかりスッキリした状態になった。これからちょこちょこ、お気に入りサイトを登録したり、チョン・ジヒョンの壁紙を作ったりしていかないといけないが。ていうか、停電になったら、ネットももちろん使えないってことじゃん! いや、当たり前だけど。しかし、江戸時代は当然電気なんかなかったわけで……何度も書いてるかもしれないけど、私はやっぱり、江戸時代に生まれたかった! ちょんまげはともかく。今、江戸時代にタイムスリップしたら、どうなるかなぁ……あ、そんな話書こうなんて、前に書いたかな。うん、いつか書こう!

 さて、この9日間の夏休みは、すっかり高校野球にはまってる。これもいちいちあげてると長くなるのでやめるが、おもしろい、というか、なかなか劇的な試合が多く、観始めるとテレビの前から離れられなくなってしまう。まぁ、やってる当人たちにしてみれば大変なことなのだろうが、最近の高校球児たちは、インタビューや取材記事を見ても、「甲子園で楽しみたい」といってる子が多く、そういう意味では、たとえ負けたとしても、楽しめた試合が多かったのではなかろうか。観ている方にしても、記憶に残る試合。しかし、ここまで来ると、やはり甲子園での試合経験の差が出るのかもしれない。やはり優勝は、駒大苫小牧の史上2校目の3連覇か。石垣島の八重山商工や、夏は10年ぶりの王監督の母校・早実にも頑張ってほしいが。あと九州勢も。しかしやはり、田中や大嶺や斎藤といった、ピッチャーのいいところが勝ち残るのかな。とはいえ、そういうピッチャーにも落とし穴があったりするのだが。う〜ん、意外なところ(といっても、実はちゃんと勝ち残る理由はあるのだが)が優勝するかもしれない。

 そんなわけで、結局、家でゴロゴロしながら高校野球やDVDを観て過ごしている夏休みだが、いろいろなんかいいたくなる、つまり、コメントしたくなるようなニュースも多い。mixiでニュースを見ると、それについて日記で書いている人のところがリンクされていて、たまに読んだりするのだが、内容的には、ただいいたいことをいってるだけで、分析して考えてコメントしているような人は稀だ。だから、あまりおもしろくない。まぁ、個人的な日記ってのはそれでいいんだろうけど。ただ、mixiでおもしろいのは、そういう人に、どんな友人(マイミク)がいるのかとか、どんなコミュニティに参加しているのかとかを見ることが出来ることだ。そう、mixiのおもしろさは、とにかくオープンに、その人のいろんなことがわかってしまうことだ(だから逆に嫌だという人もいるが)。その人のマイミクはどんな人がいるのか(やたら数の多い人もいるが、要は中身だと思う)、コミュニティはどんなところに参加してるのか(これも、やたら何でも参加しているという人もいるし、厳選して参加している人もいたりして、いろいろおもしろい)。そのコミュニティを見ると、どういうものが好きなのか、どういうものに興味があるのか、その人物像が見えてきてしまうのだ。で、この人とは合うな、とか、この人とは合わないなぁ、とかわかる。たまに、自分と同じコミュニティに、それもいくつもダブっている人がいたりすると、親近感を感じてしまったりする。そういう人の他のコミュニティを見ていると、「あこれ、俺も入ろう!」と思うものがあったりして、新たに参加してしまったりする。

 今、私が参加しているコミュニティは、ホント自分の好きなものばかりなので(小学校や中学校や地域の情報のものもあるが)、あれを見りゃ、私の好みがあからさまにわかってしまうだろう。その人のマイミクについても調べていくとおもしろい。なんでこんな人と友人なんだろう、とか思ったりすることもある。ま、マイミクの基準をどこにおいているかというのも人それぞれだとは思うが。で、そういったところを見ると、必ず足跡というものが残っているので、自分がサイトを覗いた人が、逆に自分のところを見てくれたのもわかったりしておもしろい。私は、コミュニティにトピックが立ったりして、おもしろいことやヘンなことや文句みたいなことを書いている人のところは、必ず、どんな人なんだろうと覗きに行ってしまう。まぁ、みんなもそうなんだろうけど。ただし、私が書き込むことは滅多にない。日記も書いていない。なぜかというと、要は、いろいろめんどくさいからだ(笑)。一言二言で伝えられることならいいが、本当に伝えたいことを、つまり、真意を、この程度の文章じゃ伝えられないだろうな、と思ってしまうのだ。真意が伝えられないのも嫌だし、ちょっと書いたことで誤解されるのも嫌だ。だから、ついつい文章が長くなってしまい(未熟なせいもあるが)、それなら最初から書かない方がいいと思ってしまうのだ。

 とにかく、文章は難しい。フィクションの小説とかはともかく、特に私信的なものは。メールの文章も、難しいといえば難しい。よくわかっている相手ならともかく、あまり相手の性格、というか理解力とか知らない人だと、こちらの思惑と相手の受け取り方がまったく違っていて困ったりすることもある。いや、長年の付き合いで充分わかっているはずの妻へのメールでも、全然理解されていなかったりする場合もあるのだ。いや、夫婦なんてのはそんなものだが(笑)。だから、メールは用件だけ伝えるのが一番いい。もちろん、私の場合だ。たまに絵文字も使ったりするが、あれは完全な遊びの場合。それ(絵文字)にしても、本当は恥ずかしい。年配の人で使っている人もたくさんいると思うが、大の大人が、恥ずかしい、と思わないだろうか。絵文字を気軽に使えるのは、せいぜい20代、それも前半までだと思う。ま、精神的に若い、というか、幼い人に、本人が楽しいんだからいいじゃない、といわれれば、そうですね、としかいいようがないが。

 そうそう、夏休みもそうなのだが、関内への通勤の往復も含め、神奈川に帰って来てから、読書をする機会が増え、少し前に、書庫の奥にあった向田邦子の最初のエッセイ集『父の詫び状』を再読した(最近、そんな感じで、昔読んだ本の再読が多いのだが、昔の本はいい! ていうか、いい本を昔から読んでたのかな……自画自賛で、すんません。しかし、最近のは、読み返したくなるようなのが、あまりない)。これは、名エッセイ集と呼び声の高いものだが、これがやはり、抜群におもしろのだ。非常に丁寧な文章でありながら、いや、だからこそだと思うが、その情景がしっかりと目に浮かんできて、微笑ましくなる。とても気持ちの良くなる文章なのだ。もちろん、難解な文章ではない。私は、自分よがりの、変にレトリックを駆使した難解な文章や、笑わせようという意図が見えるような文章は嫌いだ。作者が伝えたいことを素直に書いていることがわかり、素直に読むことの出来る文章が好きだ。特にエッセイの類いはそう。ブログの日記もそうだし、芝居のチラシに書かれている文章や、上演の時に配られる演出家の文章なんかも、変にカッコつけてるようなのを読むと、それだけでそのブログを閉じたり、芝居を観たくなくなる。いや、そういうのに限って、書いている本人はその文章のイメージとまるで違っていたり、芝居と文章の中身が全然違っていたりするのだが。いや、人のことばかりいえないけど。とにかく、向田邦子の文章は、上手いでも、巧いでもなく、美味い! あぁ、こんなエッセイを書けるようになりたい、と思ってしまうのだ。

 いつの間にか文章に関する話になってしまったが、夏休みなので、何も書くことがないからこんなことを書いた、というわけではない。まぁ、自分でも、そろそろ真面目に、なんか文章を書こうかなという気になっていることは確かだ。いや別に、この文やこれまでに書いてきた文章が真面目じゃなかったというわけではない。ただ、演劇の方も、5年も新作を書いていないし、まとまった文章を書いていないので、「書きたい病」になっているのかもしれない。だから、この乾坤もいつも長くなってしまっているのだろう。すみません、読み難くて。ま、いずれ、というか、そろそろ書き出そうと思う。その時はまた報告する。

 そうそう、忘れていたが、先週、10日の木曜日、久しぶりに横浜の山下公園に行った。長男の高校が出る吹奏楽の神奈川県大会が山下公園のすぐ横にある県民ホールで行われたのだ。山下公園には、関内から歩いて行った。仕事以外で関内駅に降りるのは久しぶりだし、県民ホールに行くのは初めてだ。山下公園で、遠くに見えるベイブリッジを眺めながら、ここに来たのはいつ以来だろうと考えたが、記憶が甦って来ない。確かに山下公園には来ているし、氷川丸にも乗った記憶があるのだが、いつだったか覚えていないのだ。ベイブリッジがなかったのだけは確かなのだが。山下公園は相変わらずアベックが多いが、夏休みということもあって、家族連れも多かった。地方から来た観光客のような人たちや外人も多くいた。公園の岸壁で海を眺めていたら、2年前の6月、福岡のベイサイドプレイス博多埠頭でビデオの撮影をした時のことを思い出した。この山下公園も、映画やテレビのロケにはもってこいの場所だ。もちろん、ラブストーリーの。私もいつか撮ってみたいと思った。結局この日は、山下公園を端から端までブラブラ往復歩いただけで、近くにある氷川丸とマリンタワーには入らなかった。赤い靴〜履〜いてた〜お〜んな〜の子〜の像のところで、親子連れの観光客に写真を撮ってもらったが。

 県民ホールで行われる吹奏楽の県大会は、長男にとっても高校生活最後の大会で、この県大会で金賞を取って10位までに入れば(出場は25校)、9月に宇都宮で行われる東関東大会に出場出来るのだ。長男のいる座間高校は、全員が赤いブレザーを着ていた。目にも鮮やかで、演奏もなかなか迫力があり、その前に聴いた高校よりはいいと思った。福岡に行く前、中学でやっていた時はよく聴きに行ったりしていたのだが、あきらかに高校はレベルが違う。親としては、その成長ぶりがわかるだけでうれしいのだ。演奏終了後、みんなで外に出て来て記念写真を撮っている時、「お疲れさん!」と声をかけ、感想をいった。長男は、「いやぁ、ダメだよ」といって暗い顔をしていた。ミスが結構あったらしい。夕方、家に帰る途中、家に電話をして聞いた結果は、残念ながら銅賞だった(座間高校の前の高校も銅賞だった)。これで、長男の高校での吹奏楽人生は終わったわけだ。秋の学園祭では一人芝居をやるらしい。今は、その脚本を書くので四苦八苦している。高校卒業後は、どういう道に進むのだろう。楽しみでもあり、怖い気もする。

(2006.8.17)
(つづく)


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