2005年10月第3週

 芸術の秋が深まってきた今日この頃ですが、めっきり寒くなってきましたねぇ。忙しさにかまけて出してなかった冬物をあわてて出して、ようやく衣替えです。といっても、私はあんまり着るものには執着がない、っていうか、気持ちよく着れさえすればいいって感じなので、持ってる服は少ないんですけどね。気に入った同じ服を何回も着てますから。昔の写真を見ても、まだこの服着てるぅ! って感じです。衣食住のこだわり度でいうと、食住衣の順ですね。食住と衣の間にはかなり差もあると思いますが。

 さて、先週末の土曜日、昼は学院の体験入学でした。ゲストはみやむーこと宮村優子さんと和田学院長。前に宮村さんが来てくれた時にも書きましたが、今回も楽しい、というか、アブナイ話をいっぱいしてくれました! 宮村語録はおもしろいし、アクションも披露してくれたし、いやぁ、ホント楽しい方です! お子様も1歳と1ヶ月になったそうで、しっかりママの顔も見せてくれました。和田学院長とも久しぶりだったんですが、お風邪を召していたらしく、その上、日帰りだったもんで、ゆっくりお話は出来ませんでした。ま、いずれまた、改装なった中洲のふとっぱらで飲むこともあるでしょう。

 で、夜はぽんプラザホール劇団きららの『INDEX.6th』を観に行きました。きららは池田美樹さんが主宰されている熊本の劇団で、熊本以外にも、年に1回ぐらい福岡と東京で公演をしています。タイニイアリスフェスティバルにも出たんですよ。私がきららを観るのは去年の4月以来1年半ぶり。前回も同じぽんプラザで、ギンギラの大塚ムネト氏がゲスト出演した『ほね屋』という公演でした。その作品で、去年の11月には上海公演をやりました。もちろん大塚氏も行ったわけですが、行く直前にパスポートが見つからなくなって大変だったそうです。その辺りの顛末は、大塚氏の超不定期日記に書かれています(大塚さん、勝手に発表してごめんなさい、って日記に書いてあるんだからいいんですよねぇ)。あ、なんでこんな話になったかというと、『INDEX.6th』を観た後、きららの人たちの飲み会に参加させてもらったんですが、そこに後から大塚さんもいらして、池田さんと話していて、その話が出たので思い出したんです。大塚さんには、他の劇団の飲み会の席でしたが、しっかり「おめでとう!」と、ギンギラの、東京という“地方公演”のお祝いを述べ、握手もがっちり交わしました! そして、今回の東京公演の話を聞いたり(超不定期日記にも書かれています)、私も、「ギャラクシー賞も取ったし、次は岸田戯曲賞だね! 人間が出て来ない作品で岸田戯曲賞なんて、今までないから!」とか、「来年、東京公演がある時には、絶対行くから!」などと話をしました。そして、東京の人の“福岡”というイメージの中に、とんこつラーメンやめんたいこ、もつ鍋、ソフトバンクホークスなどに続いて、ギンギラ太陽’sが入ったであろうことを喜びました。改めて、福岡や福岡の演劇界に興味を持ってくれた人もいたんじゃないでしょうか。

 さて、大塚さんばかりでなく、当然、きららの池田さんや、私がとてもお気に入りになった女優・宗真樹子さんともお話をしました。今回の『INDEX.6th』は、ひとつのストーリーがある芝居ではなく、熊本のダンスグループや弦楽演奏のミュージシャン、バレエダンサーや日舞のお師匠さん、造形作家やラジオパーソナリティの方などが、情熱や嫉妬、希望といったものをテーマにしたショートストーリーを次々と見せていく構成舞台で、なかなか中身の濃いものでした。熊本にもこれだけの才能のある人たちがいるんだ、ということを教えてもらった意味でも有意義で、コラボレーションとしても楽しかったです。特に、宗さんが演ずるキャラクターはそれぞれ魅力的で(特に、ファンにはおなじみらしいんですが、恋島恋太郎という日舞のお師匠さんがすごかったです!)、表情と動きの変化とキレの良さには、これだけの実力があれば、どこでも(東京でも)通用すると思いましたね。ぜひ、私の舞台にも出て欲しいと思いましたもん。あ、偉そうにいってるわけじゃありませんよ。

 きららのメンバーには新人もいて、みんなテンションも高いし、見せる意識も高くてなかなか頑張っていたので好感が持てたんですが(前に『ほね屋』を観た時にも書いたかもしれませんが、みんなマジメなんですよね)、きらら以外の劇の部分(特にコントの部分)は、どうもいただけませんでした。飲み会の席で池田さんにもいってしまったんですが、途中で帰ろうかと思っちゃいましたもん。発声や動きに関する技術的な部分はもちろんのこと(まぁ、その辺りは何をやりたいのかがしっかり伝わっていれば、多少、目もつぶるんですが)、ぜんぜ〜ん、おもしろくないんですもん! 白けても、馬鹿馬鹿しくて笑ってしまうようなおもしろくなさ、じゃないんですよ。ほんとにおもしろくない。コントなのに、笑えないんですから! もう、頼むよ、って感じでした。空しい風が場内に吹いていたのを感じたのは、私だけじゃないと思うんですけどねぇ。あ、笑ってた人もいたので、あれはあれでいいのかもしれませんが、私にはどうしてもアマチュアにしか見えませんでした(金を取る舞台に出る以上、プロだと思うので。あ、金取らなくても、プロ意識は大切ですが)。でもまぁ、最後まで帰らないでいたから、後半の恋太郎やきららの芝居の部分を観ることが出来たし、飲み会に参加することが出来たので、よかったと思いますが。

 池田さんとは、いろいろマジメな話をしました(やっぱり主宰がマジメな方なんですね。私がマジメじゃない、っていってるわけじゃありませんよ!)。熊本と福岡と東京でやっていても、なかなか評価されないし、動員もきついということなどなど……。でも、タイニイアリスでは、アリス賞をもらっているんですよね。ただ、動員はね、今は、純粋なエンターティメントじゃないときついかもしれませんよ、どこでも。若い人たち(学生たち)と接していて思うんですけど、深く考えるということをしなくなったような気がするんです。すぐ表面的な答えを求めるというか、演劇にしても、あまり考えないですむ、わかりやすくて単純明快なものが気に入られてるようですね。きららのように、ストーリーよりも、より演劇的に作ることを大切にしている(演劇というものに携わっている以上、当たり前のことだとは思うんですが)ところは、なかなか一般客の動員に結びつかないのかもしれませんね。大昔の螳螂も、実験劇っぽいことをやったりしてる頃は客が入りませんでしたからね。それが、『聖ミカエラ学園漂流記』とかやり出したら、ぐ〜んと動員が伸びましたから。あ、あれは“わかりやすくて単純明快”というより、現役女子高生が出るとかで話題になったからですね。でも、それで動員が伸びて、やる方も、少しずつ方向性が変わってきましたから。劇団て、ひとつの作品で話題になったり、観客動員が伸びると、それで芝居の傾向が決まるところがありますよね。青年団だって昔は普通の演劇やってたし、新感線だって最初の頃はつかこうへい作品ばっかりやってたんですから。ま、きららは20周年だそうですが、しっかりしたものはあるし、熊本の劇団として、まだまだこれから注目されてくると思いますよ、という話をしました。

 結局、飲み会は1時ぐらいまで続き、翌日曜日は休みだったので、もうちょっと飲みたいかなとも思ったんですが、体調管理を考えて(学生たちにも口うるさくいっているので)、まっすぐ家に戻りました。そうそう、飲み会では、ギンギラやSAKURA前戦やいろんな福岡の劇団の照明をやっているシーニックの荒巻久登氏にもお会いして話をしました。パルコのギンギラ公演の時、照明のオペ室に福岡の照明の人間が入ったなんて、おそらく初めてだろうと感激したそうです。いいなぁ、そういう思い。他にも、私も少し教えたことがある元・代アニ福岡校生(途中で辞めた)や、代アニ福岡校を卒業して(特別講義で私の授業を受けたことがあるそうです)、今は社長になっているという人にも会いました。あれ、何の会社だったっけかな? ま、今度飲む約束をしたので、いいか、その時で。

 というわけで、いろいろ新たな出会いが広がった土曜日でして、翌日曜日は、12月2日・3日の2年生の舞台発表会の台本の直し。上演するのは、月光舎で再演の公演もした『ピカイア』の“2005年・博多版”です。それについてはまたの機会に詳しくね。

 しかし、日曜の菊花賞、シンボリルドルフ以来、21年ぶりの無敗の3冠馬が生まれましたね! ディープインパクトももちろん強いんですが、やはり、武豊はすごいです! 普通の騎手だったら、あの1周目の引っかかりをなだめられなくて行ってしまったと思いますよ。シンボリルドルフと岡部、そして、ディープインパクトと武豊、名馬には、やはり名騎手ですね。感動しました! 菊花賞は観に行けなかったので、こうなったら、来年の凱旋門賞、思い切ってフランスまで観に行きますか! エルコンドルパサー[2着]の果たせなかった夢を(他にもいろんな馬がいますが)、ぜひ叶えて、世界一の馬になって欲しいですね! 長くなりそうなので、ここら辺にしておきますが、ディープインパクトという馬と出会った、いや、ダービーで生で見たのは、今年の一大事件だったということがはっきりしました!

 さて、今週の日曜日は天皇賞ですが(好きな馬がいっぱい出ています!)、その日は清和文楽玄海竜二の芝居を観に、熊本行きです! これがまた楽しみなんですよぉ! おっと、土曜日の競馬(武蔵野ステークス)も、ダート界のディープインパクト(ダート戦で6連勝中!)、カネヒキリに注目です!

(2005.10.26)
(つづく)


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