2005年2月第3週

 久しぶりに神奈川からの発信です。

 先週の金曜日、授業終了後、3月14日の卒業式の時に渡す2年生の成績表付けを終え(学院長の最終チェックがあるので早いんです)、夜8時発の飛行機で福岡を発ちました。相変わらず金曜夜の便はサラリーマンで混んでますね。それでも、風や雪の影響もなく、ほぼ時間通りに羽田に着き、実家にも11時前には帰ることが出来ました。結局、その日は疲れてて(いやぁ、週末になるとどっと疲れが出る年になってきたのか、仕事がハードなのかわかりませんが……)、風呂から出てちょっと飲んで、すぐ寝てしまいました。

 翌日の土曜日は、夜、三軒茶屋のシアタートラムで行われている韓国現代戯曲ドラマリーディングVol.2に行く予定で、昼間はちょっと休みがてら、部屋にある資料の片付けをしようかと思っていたのですが、第1回東京競馬が開催されているのに、しかも、翌日が最終日なのに行けないということで、朝から雨が降っているにもかかわらず、行ってしまいましたよ、東京競馬場! 三軒茶屋に行くのも、府中から京王線で下高井戸に出て、そこから東急世田谷線で行けますからね。いつ以来かすぐ思い出せませんが、久しぶりでしたねぇ。いろいろきれいになっていましたが、まだ、スタンドは全部完成してないんですよ。春のGTには間に合うのかな。

 この日は土曜日にもかかわらず、メインレースがGVのクイーンカップで、同時開催の京都競馬でもGUの京都記念があるという、競馬ファンにとってはうれしい日だったんですが、やはり雨の影響か、東京競馬場はそれほど混んではいませんでした。とはいえ、小倉競馬場とは圧倒的に人の数が違いましたけどね。

 さて、メインのクイーンカップですが、三連複4.470円、見事的中! 私は3連複を買う時、3着以内に入るだろうという軸馬を1頭決め、その馬から5〜6頭に流すか(これだと10点か15点)、5〜6頭のボックス(これだと10点か20点)で買うのが主なんですが、この時は、4番人気のラドランファーマを軸にして、武豊のライラプス、昨年の最優秀2歳牝馬のショウナンパントル、相性は悪いけどちょっと気になった横山典のジョウノビクトリア、この日調子よかったペリエのパーフェクトマッチ、そして名前が気になったシャドウムーンへの流し10点を買ったところ、1着ライラプス、2着ジョウノビクトリア、3着ラドランファーマで、取れてしまったわけです。まぁ、取れる時っていうのは、簡単に取れてる気がするわけで、この日は他にも、2.000円台、3.000円台、4.000円台の3連複馬券を取ったんですが、それぐらいの配当ではあまり儲かるわけもなく、取れなかったレースにつぎ込んだ分の差し引きは、マイナスでした。京都記念も、私が軸にしたダイタクバートラムは直線も伸びないままで9着に沈み、3連複は32.170円という穴馬券になりました。ちょっと人気薄で2着3着に来たトウショウナイトもヒシミラクルも買ってたんですけどね。

 ま、競馬に興味のない方には申し訳ありませんが、雨の中で行われた武豊の表彰式も、しっかり見て、写真も撮ることが出来て(弟の武幸四郎はおととしの小倉競馬で馬単を取らせてもらい、写真も撮らせてもらいましたが、武豊の写真は初めてかもしれません)、うれしかったです。しかし、足は長いし、やっぱりカッコイイですよね、武豊は。そうそう、背の高さは違いますが、野田秀樹に似ていると思ったんですけど、どうでしょうか?

 雨の東京競馬場を後にして、夕方には三軒茶屋に行き、観て来ましたよ、韓国現代戯曲ドラマリーディングの『豚とオートバイ』。去年の8月に韓国で会った劇作家イ・マニ氏の作品で、翻訳はその時一緒に韓国に行った熊谷対世志さん、演出は鐘下辰男氏。複雑な話なんで、手短に紹介するのは難しい、っていうか、大事な部分が伝わらないようでどうかと思うんですが……妻との間に奇形児の赤ん坊が生まれ、その子を殺してしまったことで投獄され、出所した男が主人公で、男の服役中に自殺してしまう妻とその男を愛し続けるかつての教え子の女性が、男の苦悶の中で描かれていく作品です。まぁ、暗いといえば暗く、鐘下演出にはぴったりな題材かもしれませんが、実は、というか、私はこの作品を演出したいと思っていたので、そういう立場でだいぶ前に戯曲を読んでいたんでねぇ、演出的には、正直、物足りませんでしたね。役者はよかったですよ。特に、妻をやった渡辺美佐子さんは、さすがというか、もう、すごい! という言葉しか出て来ないぐらい、よかったです。リーディングなんて生易しいもんじゃありませんよ、あれは! 主人公の男をやった大鷹明良も、リーディングとはいえ、難しくて多い台詞を、短い稽古期間でよくあそこまでやったと思います。ただ、風邪気味だったとかで、時々鼻をすすっていたのがちょっと気になりましたが。物足りなかったのは、妻を演じた渡辺美佐子さんがすご過ぎたからかもしれませんが、教え子の女性の描き方なんですよ。役者の力云々ではないと思います。妻との対比をもっとわかりやすく描くことで、この作品の持つ深さが伝えられたと思うんですけどね。他の登場人物にしてもそうです。みんないい役者の人たちばかりですから、それなりに作られてはいるんですけど、やはり稽古不足だったのか(鐘下氏もいってましたが、それを理由にしてはほしくなかったです)、表面的な感じがしましたね。それも演出の力なんでしょうか。アフタートークで鐘下氏がいっていた、韓国というものに縛られない普遍的な、あるいは日本的な描き方をすることも、全然構わないと思うんですが(韓国のことを知らないのに知ったかぶりして描くより、よっぽどいいと思いますが)、まぁ、私だったら、やはり、脚本に描かれている表面の部分ではない、いわゆる比喩についても、過去の歴史や事件が及ぼした影響について、しっかり勉強した上で描きたいと思いますけどね。リーディングでそこまで望むことはないのかもしれませんが。いや、そこまで描いても、理解してくれる観客がいないと、虚しいばかりですが。

 それにしても、おととしの最初のドラマリーディングの時と違って、今回は客も入っていたようですし(韓流ブームが影響していることは確実だと思います)、終演後のロビーは、すごい人たちでいっぱいでした。主催の日韓演劇交流センター会長の大笹吉雄さんや副会長の西堂行人さん、委員で今回の演出もしている石澤秀二さんやふじたあさやさん、やはり委員で『豚とオートバイ』のアフタートークの司会もした鄭義信さんなどは当然ながら、平田オリザや坂手洋二もいましたし、他にも演劇人がいっぱいでした。当然、私は「今、福岡にいるんですよぉ!」と久しぶりの再会で、それぞれの方々に挨拶して回りました。しっかり、「福岡に来て下さい! その時は飲みに行きましょう!」と、福岡を売り込むことも忘れませんでしたよ。その後、リーディングの出演者たちや韓国の劇作家の方々、翻訳や演出の方々も含めて、そのすごいメンバーで飲みに行ったそうですが、私はちょっと別の用事があったので(終演も結構遅かったので)、一緒に飲みには行きませんでした。

 この韓国現代戯曲ドラマリーディングVol.2は、翌日の日曜日までやっていて、日曜の13時からやる『エビ大王』には、南谷朝子や近藤結宥花も出ているので観に行きたかったんですが、日曜日は、今年の1月5日に亡くなった、かつての演劇舎螳螂の冬雁子、ことガンちゃんの四十九日法要が行われるため、行きませんでした。

 というところで、またまた長くなりそうなので、日曜日以降のことは、来週、報告しますね。そうそう、先週ちょっと触れた、演劇に関するタイムリーなことというのも、来週に!

(2005.2.22)
(つづく)


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