2004年8月第2週

 さて、世間はお盆休み突入で、連日、昼は高校野球、夜はオリンピックという人も多かったであろう先週でしたが、掲示板にも書いた通り、9日の月曜日の夕方、真夏のソウルに着き、2泊3日の実質1日半ながらも濃い〜ソウル滞在を終え、水曜日の午後にはアシアナ航空で福岡着、ちょっと福岡の家に寄って、夜にはスカイマークで神奈川の実家に戻り、月曜日まで過ごして、火曜日に福岡に帰って来たわけで、またしても一日遅れになってしまい、本当にすみません! いやぁ、オリンピックや高校野球のことも書きたいことは山ほどあるし、東京で卒業生たちと飲んだことや箱根の温泉に行ったことも書きたいんですが、それより何より、今回のソウル訪問の充実度といったら、滞在時間に比例した密度がとても濃くて、一回では書き切れないほどなんで、とにかくソウルの話から進めていきましょう!

 今回のソウル行きの一番の目的は、もちろん、大好きな韓国の女優ペ・ドゥナの記念すべき初舞台『サンデー・ソウル』を観に行くことで、本人にも会えたらいいなぁ、などと思っていたぐらいだったんですが、2002年の韓国ドラマリーディングの時以来、懇意にしている翻訳家(本業は塾の先生だそうですが)の熊谷対世志氏も同じ時期にソウルに行くということで、日程を合わせ、向こうで落ち合うことにしたわけです。熊谷氏は、来年の2月に東京で行われる2回目の韓国ドラマリーディングで訳を担当している作品『豚とオートバイ』の作者イ・マニ氏に会うという目的もあったんですが、私も、出来れば、前回の『無駄骨』で、ほとんど動きもつけず、音楽も使わなかったこと(というより、最初の演出上の約束では、動きも音も規制されていたはずなんです)、そして、チャン・ジン氏にも「小松さんの好きなようにやった方がいいのに」といわれたことの雪辱を果たす(?)ために、再度、リーディングの演出をしたいので、5作品の作者のうちの一人であるイ・マニ氏にも会えたらいいなと思ってました。ていうか、『豚とオートバイ』というタイトルがえらく気に入ってしまい、その作者に会えるのなら会いたいと思ったんです。

 そして、月曜の夕方、真夏のソウル(半端じゃなく蒸し暑い!)に着いてすぐ(今回は仁川[インチョン]空港から大学路[テハンノ]まで直通バスで7.000ウォン[≒700円]で行きましたが、とっても便利でした!)、熊谷氏に連絡を取り(さっそくグローバルパスポートの携帯が役に立ちました!)、熊谷氏行きつけの大学路にあるバーに行きました。そこは“SCREAN”という名の、小学校まで日本にいたという日本語ペラペラのミカさんという美しい女性がやっている店で(このミカという名は、月9で放送中の『東京湾景』で仲間由紀恵扮する主人公の名前のモデルになった名だそうです)、私はすっかり気に入ってしまいました(多分、ソウルに行く度に訪れることになるでしょう)。“SCREAN”では、熊谷氏の韓国の友人の役者・趙徳濟氏などにも会い、翌日の打ち合わせをした後、私は、翌日はとても買い物なんか出来る状態ではなくなるだろうと思い、「この後、今日のうちに先にいろいろ買い物をしておきたい」といって、“SCREAN”を出ました。そして、ちょっと離れた江辺[ガンビョン]にあるテクノマートに行って安いDVDを買って来ようと思ったんですが、営業している時間(夜の8時までで、定休日は火曜日)に間に合いそうもなくなったので、もう一軒の、いつも利用している近くの鍾路のCDショップ“MUSIC LAND”に行ってDVDとCDをしこたま買って来ました。これがまた、今日もいろいろ観てたんですが、いい買い物が出来たんですよ! それについては、乾坤一滴プラスの掲示板に書きますね。

 で、結局、今回は鍾路[ジョンノ]をブラブラして、頼まれていたその他の細かいものも買い、ソウルに来て初めて、一回も明洞[ミョンドン]に行かずに終わりました(ま、時間もなかったですしね)。

 翌日は、今回は日本にいる間からあらかじめ連絡を取っていた、月光舎の韓国公演でお世話になり、私と同い年ということもあって、すっかりチングになりながらも、昨年の月光舎韓国公演中止のお詫びも、直接会ってすることが出来ずにいた(3月に訪韓した時は会えませんでした)、韓国戯曲作家協会の理事長でもあるキム・デヒョン氏に、昼前に大学路のケンタッキーの前で会いました。久しぶりの再会の時には、思わず男同士でもギュッと抱き合ってしまいましたよ! ま、韓国ではよくあることですが。そして、近くの海鮮料理屋に案内され、昼間から一杯やりながらいろいろ話し、イイダコ[ナクチ]入りのポックン(辛い炒めもの)を食べました。仕上げは当然、御飯を入れてチャーハンにしました。しかし、まぁ、この時は昼飯時だったんで当然ではありますが、韓国の人は、とにかく会うと、「食事はしましたか? 行きましょう!」と、食事に誘ってくれます。どんな時間でも、です。お腹が空いてる時はいいんですが、満腹の時は……と思っていたんですが、この日、キム氏と別れた後、3時過ぎにやはり大学路で、熊谷氏の導きでイ・マニ氏に会い、喫茶店で薄〜いアイスコーヒー(とにかく韓国のコーヒーは薄いんです)を飲んだ後、やはり食事に誘われました。そこは大学路では有名な“ナクサンガーデン”という焼肉の店でした。ここのプルコギがですねぇ、とてもお腹いっぱいで食べられないと思っていたんですが、おいしくて、どんどん食べられたんですよぉ! 地元の人にも人気のある店は、さすがに美味いですね。ここはお薦めです!

 ところで、イ・マニ氏の名前ですが、私は前から聞き覚えがあったんですが、一人は映画監督で、そのイ・マニ氏は75年に亡くなっていましたが、私が会った劇作家のイ・マニ氏も、映画の脚本を書いていたんです。しかも、これは後で(帰って来て調べてみてから)わかったことなんですが、その4本(『約束』『ワイルド・カード』『ボリウルの夏』『9歳の人生』)すべて、私が観た映画で、しかも、好きな映画ばかりだったんです! これは、まさに縁としか思えませんね。前回のドラマリーディングのチャン・ジン氏に続いて、私のミーハー度がすっかり増してしまいました!

 イ・マニ氏と熊谷氏と三人でプルコギを食べている途中、熊谷氏の連絡で、ペ・ドゥナの舞台『サンデー・ソウル』に出演しているベテラン俳優のチェ・ジョンウ氏が劇場入りの前に挨拶に来て、「ペ・ドゥナにも公演終了後、一緒に飲みに行くようにいっておきますよ」といってくれました。これで、ほぼ確実にペ・ドゥナに会えるようになりました。本当は、『サンデー・ソウル』の演出のパク・グニョン氏に連絡が取れれば話が早かったんですが、彼はどこに行っているのか、熊谷氏でさえ連絡が取れなくなっていたので、心配していたんです。そこで、熊谷氏が私のことを、「一昨年の韓国ドラマリーディングではチャン・ジンの『無駄骨』を演出し、自分の劇団で韓国公演もした日本の劇作・演出家で、ペ・ドゥナの大ファンで、今回、わざわざ日本からペ・ドゥナの舞台を観に来た!」と楽しそうに紹介してくれたため(いや、まったくその通りなんですが)、みんな、話を聞いて協力してくれるようになったわけです。とにかく、周りの協力度といったら、実際にペ・ドゥナに会えた時もすごかったんですけど、どうも話が長くなりそうなので、本題の〈ペ・ドゥナ遭遇篇〉は、次回にしましょう! う〜ん、毎度、ソウルの話は長くなるなぁ……ま、今週は、学生は休みだけど学院も始まるし、例によって残業でいろいろ忙しくなり、何も出来ないと思うので、来週も、このお盆休みの話になりそうですね。

(2004.8.18)
(つづく)


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