行って来ました、復興した嘉穂劇場! ギンギラ太陽’sの公演、『南国から来た寒いヤツ』! いやぁ、いろんな意味で感動しました! 何から話していいのやら……その前に、流行り風邪の方ですが、医者に行ってる時間もないので、市販の薬(葛根湯エキスやらパブロンNやらいろいろと)とアルコール、そして、にんにくとカプサイシン(つまり、辛いやつ)で誤魔化してます。おかげで、変にハイな状態で、とりあえず元気です! いや、ほんとの元気ではないと思いますが……ま、今の時期、弱音なんか吐いてられないですからね! やらなきゃいけないこと、いっぱいあるし!
12月の『聖ミカエラ学園漂流記』の方は、先週、会場の博多市民センター(キャパ500人)に行って、装置というか美術の打ち合わせをして、本火を使うという話をしたら、煙草やろうそくの火はこれまでにも例があり、消防署の許可を取れば大丈夫だけど(ま、それは今、当然といえば当然になってますけどね)、松明や火吹きは例がないのでダメだといわれてしまいました。う〜ん、またしても「例がないことはダメ」というお役所的答弁ですか……ま、私も自分の劇団じゃなくて学校のことなので、問題が起きては困るので無理はいいませんでしたが、例がないことをやらせていかなきゃ、新しいものは生まれてこないと思うんですけどねぇ。でも、まぁ、演出家としては、何かしらの制限があれば、それに代わる何かを見つけてこようとすることで、さらに意識も結果も高められると思うので、すぐ代案を考えましたけどね、フッフッフッ。楽しみにしていて下さい!
さて、忙しかった先週末、金曜日には、毎度おなじみ西鉄ホールに、松田正隆の新作『帰郷』を観に行って来ましたが、実は私は、松田正隆作品は、平田オリザ演出の舞台もいつも観に行きたいと思っていても、なぜかタイミングが合わず、一本も観れてない、と思うんですけど……あ、でも、昔、なんか観た気もするなぁ。とりあえず、最近はないですね。福岡で今年の4月に、日下部信氏の劇団轍WaDaChiと劇団道化の合同公演として上演された『坂の上の家』も観れなかったし。つまり、私は、松田正隆作品にとっては、あまりいい観客ではないってことですね。で、『帰郷』なんですが、脚本は例によっておもしろかったんですけど(舞台は観てないんですけど、戯曲はよく読んでますし、割と好きな方ですが)、今回の舞台はイマイチでしたね。何がって、演出がねぇ。こういった不気味な脚本は、やはり思いっきり不気味にしてほしいなぁ、と思いました。G2の演出とかだったら、おもしろくなってたんじゃないでしょうか、って、そりゃ確かにすごそう! とにかく、なんか淡々と進むだけで、ちょっと眠くなっちゃったし……ま、新劇といえば新劇ですからね。私が期待していたのとは、ちょっと違ったってだけのことですけど。そうそう、昔観たのは『月の岬』でしたね。あれは、よかった! やっぱ、松田正隆作品は平田オリザとのコンビがいいんでしょうかねぇ。
芝居はともかく、楽しかったのはその後でして、“福岡演劇のひろば”の薙野さんと西鉄ホールの中村さんと、餃子の游心以来1ヶ月ぶりに飲みに行ったんです。いえ、ただ飲みに行くだけじゃなくて、いろいろ話があったんですけどね。ま、その内容は来年度の福岡の演劇界に関することなんで、ここでは公に出来ませんがぁ(って、そんな大袈裟なことではありませんけどぉ)、とにかく、薙野さんに連れて行ってもらったその店が、またまた私のお気に入りになってしまったんです! そこは、福岡の長浜(ラーメンで有名ですが)にある、鮮魚の卸売市場、といってもビルになってるんですけど、その市場会館の一階にある“おきよ食堂”という店です。何がいいって、鮮魚市場にあるわけですから、当然、魚が美味いわけです! 刺身の盛り合わせを頼んだんですが、見た目は決して、どっかの料亭とか高級居酒屋なんかで出て来るような豪華な感じにはなってないんですよ。いたってシンプル。ただ、お皿の上に何種類かの魚の刺身が並べられてるっていうだけ。でも、一口食べたら、「え、何これ!」って、思わずいってしまいましたもん! いや、福岡に来てから、いろんなところでおいしい刺身食べましたけど、ここの刺身は、もう全然、歯応えが違うんですよ! コリコリ、シコシコと、刺身ってこんなに歯応えがあるもんだったのか! って、まさに感動もんでした! そう、韓国・仁川[インチョン]の月尾島[ウォルミド]の刺身料理屋で、元・月光舎の佐藤誠と大きな魚(ヒラメだったかな?)を丸ごと一匹、刺身やいろんな料理にしてくれたのを食べて以来ですね、刺身でこんなに感動したのは! 要するに新鮮だってことです! もう、食べるのに(と、話に)夢中で、写真も撮り忘れてしまいました。残念っ! まあ、近いうちに、ぜひまた行きたいと思ってますけど。そうそう、今週末には、昨年11月の三男に続いて、長男が福岡に遊びに来るので連れて行って……いや、子供にはもったいない、もったいない! 大人の味わいですね、あれは!
で、翌13日の土曜日の3時過ぎ、前夜の西鉄ホールに続いて、また天神まで行き、バスセンターから飯塚行きの特急バスに乗り、嘉穂劇場へ向かいました。天神バスセンターから往復割引切符で、1.600円(片道800円)!
嘉穂劇場については、私がとやかくいうより、この週刊StagePowerのnewsheadlineの昨年7月のニュースでも取り上げられている通り、昨年の九州北部の豪雨で大変な被害に遭って休業した後、芸能人やいろんなところからの支援があり(私もわずかですが、今年1月のギンギラの公演の時、支援の寄付をしました)、ようやく今年の7月に水害1周年復興式典が行われ、9月17日から正式に再開出来たばかりなんです。今回、私が観に行ったギンギラ太陽’sの『南国から来た寒いヤツ』も、元々は、昨年の秋に嘉穂劇場で行われる予定だった作品を改訂したものなんです。昨年の春、福岡に来た時、ぜひ行きたいと思っていた場所のひとつが飯塚の嘉穂劇場だったわけで、水害に遭った時は、どうなっちゃうんだろうと心配していましたが、よくぞ1年で復興出来て、ほんとによかったと思います!
さて、初めて行った嘉穂劇場なんですが、行く前は、水害に遭ったということや、芝居小屋というイメージから、ずっと、山の中とかにあるんだろうな、なんて勝手に思っていたんですが、なんと普通の街の中にあったんで、びっくりしました! 普通の街を歩いていたら、突如、家々の間に出現したという感じなんです。しかも、駐車場の奥にあるんで、まさか、こんなところに……という感じです。外観は当然、芝居小屋そのままで絵看板があり(これが、いいですねぇ!)、開場になると、靴は脱いで劇場の中に入ります。もう、一歩入った時から、気に入ってしまいましたね! 廊下は古い旅館のような感じがして落ち着くし、1階の客席に入ると、そこは6つの座布団が置いてある桝席がいくつもある造りになっていました。それを見た時、私は久しぶりにデジャ・ヴを経験しました。「あれ、いつか来たことあるなぁ、ここ!」って。でも、思い出せませんでした。ていうか、もちろん来たことはないはずなんですが、なんか、相撲の両国国技館とか、末広亭や鈴本なんかの寄席に似ていたからなんでしょうか?
私の席は、ろの43番。すでに初日は売り切れ状態だというところを、この日しか行けないんですよぉ、と無理矢理頼んだ席なので、当日券と同じように後ろの方の席でしたが、私は逆に後ろの方から全体を観るのが好きなのと(演出家の性[さが]ってやつですね)、桝席では飲み食いOKということで、席に着くとすぐに持参した日本酒のカップ酒を飲み始めました。劇場の中では弁当やつまみも売っていましたが(一応、弁当の持ち込みお断りと書いてあります)、私はバスを降りたところから嘉穂劇場まで歩いてくる途中にあった、“飯塚名物・味覚焼き”というのを買って来たので、それをつまみに酒を飲みました。この、味覚焼きというのは、ズバリ、タコの入っていないタコ焼きです。まぁ、すごくおいしいってもんではありませんが、酒には合いましたね! 15個で350円でした。
というわけで、その後、開演までの間、いろいろ売っているおみやげを見たり(嘉穂劇場の暦と団扇と手ぬぐいという三点セット1.000円や、“嘉穂劇場”というお菓子もありました)、劇場の中をいろいろ探索していたら、2階の資料室みたいなところに、昔、嘉穂劇場で行われた興行のポスターが飾ってあって、美空ひばりや三波春夫、なぜか津川雅彦と朝丘雪路の二人の特別公演とかのもありました。津川雅彦は、復興支援の芸能人の中心人物として動き回ったんですよね。そうそう、2000年の7月には椎名林檎もコンサートをやってるし、2001年の10月にはワハハ本舗も公演してるんですねぇ!
さて、嘉穂劇場編、どうもまだ少し長くなりそうなので、まもなく開演、というこの続きは、来週ということにさせていただきます! しかしまぁ、ギンギラの公演も楽しかったんですが、嘉穂劇場に行くまでの、ああいうワクワク感というのも、久しぶりの体験でしたね。大昔、紅テントや黒テントの公演を観に行った頃を思い出しました。つまり、もうあるところがわかっている劇場に行くのと違って、どこに建っているのかわからないテントを探していく時の、あの昂揚感です! 新宿梁山泊のテントや、天井桟敷を晴海に観に行った時もそうでしたねぇ! 最近では、大阪の維新派ですかね! でも、ほんと、そういう、観に行くまでの昂揚感て、少なくなりましたねぇ……
(2004.11.17)