2003.9.10
NYの日本人俳優(18)

ロイヤリティー(リジジュール)

コマーシャルの仕事が入った。ヨーロッパの某高級自動車メーカー。今度はプリンシパルだ。ナショナル(全国ネット)ではないがリージョナル(地方ネット)。でも放映回数が多くなればそれだけリジジュールも増える。久々のオンキャメラの仕事。

撮影日朝7時、集合場所のセントラルパークウエストと67ストリートに行く。2台の撮影用トレーラーとケイタリング車が停車してあった。1台はプロダクションのオフィス目的として、もう1台はワードロープとメイク用のために使用されている。ケイタリング車の前にはテーブルが並べられ、シェフらしき人がオムレツを焼いていた。テーブルの上にはビュッフェスタイルで朝食が準備されてあり、その周りはスタッフと思われる人であふれていた。ADの一人に来た事を知らせるとすぐにメイクに行くように指示された。プエルトリコ人のメイクアップアーティストは一目見ただけでゲイだとわかった。メイクが終わると次は衣装合わせ。私の役柄はニューヨークの日本人ビジネスマンなのでスーツ。一応自前のスーツを持ってきた。衣装を持参するとその分ちゃんと支払われる。メイクと衣装が終わると最終のOKを取るために広告代理店の担当者に見せる。靴を別のに変えて完成。出来上がった自分の姿を鏡で見ると、私はニューヨークのジャパニーズビジネスマンに変身していた。

撮影はパークアヴェニューと53丁目の交差点で行われた。ちょうどお昼時で、人と交通量が一番ピークのとき。日本人ビジネスマンがパークアヴェニューを横断中、猛スピードで走ってきて信号停止した新型の車を見て、そのカッコよさに見とれるというセチュエーション。51丁目から54丁目までのパークアヴェニューを完全シャットアウトする。その作業を何人ものADが行う。NYPDのポリスが交通整理をやっている。車と人を完全ストップしたパークアヴェニューは大混乱するが、お構いなしに撮影は始まった。そのためにポリスを雇っているわけだ。

撮影直前に、その日初めてディレクターと会う。ボサボサなヘアーにやや大きめな頭。静かな声でシーンのディレクションをする様子にアーティスティックなオーラを感じさせる。ディレクターとはオーディションで会っているが、そのときは彼がディレクターとは知らなかった。オーディションには日本人、韓国人、中国人が30人くらい来ていたが、最終的に私ともう一人の日本人2人が選ばれたのはラッキーとしか思えない。

撮影は3時間ほどで終了した。コントラクトにサインをして私の仕事は終わった。あとはこのコマーシャルが長い期間テレビで放映されるのを期待する。

撮影から4ヶ月、もう9月中旬になろうとしているが、私はまだそのコマーシャルを見ていない。もう夏も終わり秋の風が吹く季節になって来た、、、。

(つづく)


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