2003.4.9
NYの日本人俳優(15)

DAVE’S

 役者がその日の舞台を終えて酒を飲むのは東京もニューヨークも同じようだ!

 私は先週まで4週間、マンハッタンのミッドタウン42丁目の西にある劇場で芝居をやっていた。劇場と言えば聞こえはいいが客席50程のいわゆるオフオフの小屋だ。いつものことだが私は劇場の近くに行きつけというか溜まり場のようなバーを見つける。今回も42丁目と9番街にDAVE’Sという酒場を見つけ芝居の後に通うことになる。

 ミッドタウンの9番街はブロードウェイの劇場街に近く、ミュージカル観劇後のアフターアワーの溜まり場としてここ数年人気のあるアヴェニューだ。42丁目から北へ55丁目までの9番街は、お洒落なバーや雰囲気のいいレストランなどが多く夜遅い時間まで客足が絶えない。特に週末になるとバーは客で溢れ、ゆっくりと飲み芝居を語り合うこともできないくらいだ。そんなある日42丁目の南にDAVE’Sを見つけた。外から見るとお洒落でも何でもないニューヨークではよく見かけるアイリッシュバーの外装のつくりで、チケットが100ドルのブロードウェイミュージカルを観た人達が絶対行きそうにない雰囲気を持ったバーだ。そんなバーだからいつ行ってもゆっくりと飲めるし語り合うことも出来る。私は「YACHIYO」の芝居をやっている4週間ちょくちょくとDAVE’Sに足を運ぶようになった。そしてそのうちに気がついたことがある。DAVE’Sの客層はネイバーフードバーの名にふさわしく、バーテンダーはほとんどの客と顔見知りだ。その客達は場所柄もあって舞台、劇場関係の人間が集まっている。

 バーの入り口では黒人の大男がストゥールに座って客のIDをチェックしている。21歳以下は入店禁止。店に入ると右手に15人ほどが座れるカウンターがあり、反対側に二人がけのテーブルがある。奥に入るとプールテーブルが店の中央を牛耳って、その両サイドに四人がけのテーブルがある。左側の壁には壊れたジュークボックスがある。壊れたといっても音楽は流れている。ただお金を入れないで曲の選択ができるので客側は別に壊れたままでかまわない。そのままプールテーブルをすぎてさらに奥にいくと右手にトイレがある。MENとWOMENとあってMENには鍵がないので、用を足しているとちょくちょく誰かが入ってくる。WOMENにはちゃんと鍵がある。いちどWOMENに入ってみたら意外と綺麗なトイレで感心した。「YACHIYO」の舞台の後はいつもDAVE’Sで飲んでいた。一杯4ドルのブルックリンラガーを2杯ほど飲んで地下鉄で帰宅する。チップをいれても10ドルほど、貧乏役者にはありがたい。

 今日は友人ダニエルが出演している芝居の初日で、その後彼といつものようにDAVE’Sで飲んでいたら、BAT THEATER COMPANYで一緒に芝居をしたアイリーンがDAVE’Sに現れた。驚き! 彼女は自分が出演した映画The Guysのプレミアの帰りにハズバンドと寄ったらしい。久し振りの再会だった。すると少ししてマイケルが入ってきた。Oh My God!!彼もBATで一緒だった仲間だ。マイケルは映画「K-19」に出演し、今はオフブロードウェイの芝居に出演中でその帰りに寄ったという。数年振りに彼らと偶然にもDAVE’Sで会うとは! 不思議なもんだなぁ〜!?

 私は自分ではもうDAVE’Sの馴染み客だと思っている。そして「YACHIYO」が終わった今もDAVE’Sに行く。だいたいは数人の仲間と行き演劇などを語る。がしかしもし私一人でDAVE’Sに行っても、おそらく芝居を語り合える誰かがバーカウンターで飲んでいるに違いない。DAVE’Sはそんな演劇人が集まる酒場だ。どこの国の舞台人も酒が好きなようだ。今夜も飲みたい!!!

(つづく)


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